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展示会ブース専門の「空間デザイン会社」/その特徴とは?

本稿では、展示会ブース専門の空間デザイン会社として、少々当社のことをお話しさせてください。
当社は展示会ブースのデザインに特化した「空間デザイン会社」です。以前の記事でお伝えさせていただいたのですが、ブースをつくる会社の多くが「設営会社」や「代理店」であるため、どの組織も大抵の場合、デザイナーは内部に抱えるか外注をしており、当社のような「ブースデザインを主体としたデザイン会社」は業界的には珍しい存在となっています。


「建築」デザインから、「展示会ブース」デザインへ

私自身のことで恐縮ですが、元々は建築の人間でした。大学の建築学科を卒業後、ゼネコンにて現場監督の経験を経て、建築設計、インテリアのデザインを行ってきました。2005年に独立し、現在では展示会ブースのデザインを専門にし、デザイン性と集客力を両立させることを目標に、展示会場内のどのブースよりも来場者を集め、出展社の方々に出展に成功していただくことを最大の目標にしています。
業務の依頼は直接出展社の方からご連絡をいただき、代理店を通してではなく、直接出展社の方と話合い、ブースを考え、出展成功を目指す、という形をとります。出展社の方々とはほぼ二人三脚のような形で出展成功に向けて、寄り添って進むイメージです。この業務の特徴上、出展社との距離感は展示会コンサルタントの方々と同じかそれ以上の近さだと感じています。そして、もちろん、ブースを建てることが主な目的の設営会社の方よりも、より出展社に近い立ち位置で物事を考えている、と言えます。

最速の「PDCA」を回す

このように、出展社に寄り添うような形で、その会社(出展者)のブースをつくり、細やかに出展を支援する、という立場をとると、その思考法は自然と現実的なものになってきます。抽象的な理論や、いわゆる「机上の考え」では通用せず、「現実的な状況」に対処して、1件1件の成功を考えていくという行為が必要になります。これまでもブース1件1件について、様々なことを試し、試行錯誤を繰り返して、どのようにすれば実際に来場者がブースに立ち寄ってくれるのか、どうすれば出展社が本当の成功を掴むことができるのかを、考えてきました。
展示会ブースの良さは、次から次へ新しい案件が発生してくることにあります。ブースを考える際には、その時点での最大の力を持ってデザイン検討をするわけですが、どんなに考えてデザインをしても、会場で「現実」を見ると課題点・改善点などが見えてきます。つまり、今回のデザインで得た気付きや反省点、課題点を、すぐに次の物件に反映できるのです。つまり展示会ブースデザインとは、空間デザイン業界の中で、最もPDCAサイクルが早く回すことができる、顕著な業務と言えるのです。

自身のデザインを「観察」しつづける

ブースデザインを始めた当初は、自身でデザインしたブースをひたすら観察し続けました。ブースをデザインし、会場で設営を行い、会期が始まると、来場者が会場内を歩きまわる中、ブースから離れた場所でじっとブースの様子を観察し続けるのです。1時間、長い時は2時間以上も観察を続けます。ただひたすら観察し、様々なことを考えていると、次第に「見えてくるもの」「気づくこと」が出てきます。もちろん、これは今でも行っているのですが、当時はただひたすら、考え続けていました。図面を手に持ち、来場者がどう動くのか、出展者スタッフは実際にはどう動いているのか、何があればもっと効果が高まるのか、自問自答します。その観察で得た気付きをその次の物件で試し、また観察する。その積み重ねが日頃出展者の皆様にご説明する基盤となってくるのです。

「成功」に必要なものの発見

ブースデザインを始めた当初は、出展者スタッフの方々の立ち方・待ち方まで考えていなかったのですが、回数を経るにつれ、単にデザインしただけでは結果が出難いことに気が付きました。どんなに戦略的にブースをデザインしても、出展者の皆さんの立ち方で結果は変わってしまう、ということに気が付いたのです。そこで、どんな接客の仕方をすれば、どんな立ち方をすれば、どこに立って待っていれば、来場者が寄ってきやすくなるのか、毎回検討を行ってきました。
また、商品の「陳列」についても同様でした。ブースをどんなに綺麗につくっても、商品の陳列でやはり結果は変わってしまいます。ですので、当社でも商品陳列方法について検討、展示会なりの対処方法を考え、お伝えするようになりました。

出展社の「出展成功」が空間デザイン会社の使命

このような「試行と観察による気づき」の連続で、現在セミナーでお伝えしているような考え方を体系化していきました。出展社に寄り添い、その気づきの中で積み上げてきた手法は、概念的で抽象的な内容ではなく、机上の空論的なものでもない、どちらかと言えば「行動経済学」のように、実際の来場者・出展者の心理をベースにした「超現実的」なもの、となっているのです。


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