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Netflix 「 カーゴ 」の映画情報・評価・感想レビュー

「 オーストラリアで恐ろしい感染症が流行、愛娘のために父親が荒野を進む 」というキャッチコピー、まるで現代の状況を予言しているようでした。

まさかのゾンビ映画でした。

「 28日後(2002)」以降、感染症によりゾンビと化するという設定が定着しましたが。

本記事では、ゾンビ映画の歴史を辿りながら考察してみます。

画像の引用元:IMDb公式サイトより
(アイキャッチ画像含む)

カーゴ

公開日

2017年10月6日

原題

Cargo

上映時間

104分

キャスト

  • ヨランダ・ラムケ(監督)

  • ベン・ハウリング(監督)

  • マーティン・フリーマン

  • アンソニー・ヘイズ

  • スージー・ポーター

予告編

感想レビュー

好きだった点

オーストラリア大陸という広大な舞台、ゆっくりと時間の流れる感覚が心地よかったです。 

高1の頃、オーストラリアに1週間ほどホームステイしたのですが、あの頃に眺めたいつまでも続く壮大な大地を思い出しました。

感染してから48時間でゾンビ化するという設定(痙攣 → 吐血 → 失神 → ゼリー状の何かを分泌 → 穴を掘り頭を突っ込む → ゾンビ化)も、

家族の葛藤や変化をじっくりと追体験できました。

主人公アンディー自身が感染してしまい、小さな娘をどうするのか。

タイムリミットが迫りくる中、先住民(アボリジニ)の少年トゥミと出会い行動を共にします。

そこで、先住民たちの暮らしぶりや風習を垣間見られたのが興味深かったです。

作中では、この少年とクレーバーマンと呼ばれる長老がキーパーソンとなっていました。

ちなみに、先住民の人口はオーストラリア人口(2550万人)の4%未満(今日現在)

嫌いだった点

ゾンビ映画としての見どころに欠ける点。

身近な人がゾンビ化するという哀しみと恐怖はあるものの、執拗に追いかけられて密室に追いやられるという緊迫したシーンはほとんど皆無。

トンネル内でもゾンビは壁を向いて冬眠中という体たらく。

そもそも舞台が広すぎるため、ある意味、逃げ放題的な印象を受けました。

今作はゾンビ映画にする必要があったのかな?

とさえ思えます。

見どころ

マーティン・フリーマン(アンディー)の演技。

愛するものを守るために行動する勇ましさ、自身がゾンビ化する過程で表れる諦念と少しの希望。

そして、娘のために父親として最後に果たした役割。

人間性を尊重していた主人公が、少しずつ人間でないものに変化していく熱演ぶりは、他のゾンビ作品ではあまり見られないでしょう。

娘さんの可愛さも見どころです。

1歳前後の娘が荒涼としたシーンで「 パパ 」と初めて言葉を発したりと、癒し効果は満点です。

考察・疑問点

近年、ゾンビ映画のスタイルを作り上げたのは下記の作品群。

  • ゾンビ(1978)

  • 28日後(2002)

  • ショーン・オブ・ザ・デッド(2004)

  • ゾンビランド(2009)

  • アイ・アム・レジェンド(2009)

  • ワールド・ウォーZ(2013)

  • 日本の「 カメラを止めるな!」(2017)

  • 韓国の「 新感染」(2016)

後者はゾンビ映画の流れに沿わず、コメディやパロディのタッチで独特な仕上がりになっていました。

さて、今作はゾンビ映画としてはどのあたりに位置づけられるでしょうか?

印象としては、長編ドラマ「 ウォーキング・デッド(2010~)」のスピンオフ作品「 フィアー・ザ・ウォーキング・デッド(2015~)」に類似していると思いました。

どちらも、序盤ではほとんどゾンビが登場せず、ゆっくりと時間が流れます。

人間ドラマに重点を置いている部分も共通点。

つまり、今作はゾンビ映画の本流から逸れたゾンビ控えめ且つ、ヒューマンドラマ要素を多く含む作品と言えます。

その点では、ゾンビ系やホラーが苦手な方にもオススメ。(あまりゾンビゾンビしていないので)

まとめ

感染モノだと思ったら、まさかのゾンビ映画でした。

世界中で猛威を奮っているコロナウイルスに対処するためのヒントが、ゾンビ映画には多く隠されているのかもしれません。

今やゾンビは、ウイルスのメタファー(暗喩)だと言っても過言ではないのですから。

さて、どうやら知らぬ間に頭の中が、ゾンビウイルスに侵食されてしまったようです。

今夜は、Netflixの韓国ゾンビドラマ「 キングダム(2019~)」でも見ようと思います。

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