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正味、今年のアカデミー賞衣装デザイン賞は盤上一致でこれだったよね

上演最終日滑り込みで鑑賞!!
金獅子賞受賞の箔だけで見に行ったので期待値は低かったが、多分これは今まで見た映画の中でもトップ5に入ると思う。

絵・セット・コスチュームについて
まずこの映画には、明確な時代設定がない。でも完全なるSFでもなく、かつ近未来的でもない。この唯一無二な世界観をうまく表現できている点に感動した。制作チームについて知りたくてパンフレット買っちゃったくらい。

衣装デザインはホリー・ワディントン。『レディ・マクベス』でも衣装を務めたらしい。逆に関わった作品はこれを含めて3作しか見つからなかった。ウィキペディアもない。でもGINZAがインタービュー記事をウェブに載せてたので読んでみたのと、公式じゃないけどインスタもあった。今ギリシャで映画のコスチュームの展覧会やってるらしい、、

初期は、未発達の幼児のような言動のベラに合わせて服が子供服っぽかったり。あと子供のように、朝はちゃんと着ていても昼には大半を脱いでしまうというアイデアを起用したらしい。
リスボンでは新しい世界を知った興奮を表す黄色と、それにマッチしたカラフルな街並み。船上以降はどんどん黄色の色味が薄くなり、落ち着いたカラーパレットに移行。過剰なパフスリーブ+コンパクトなショート丈のパンツの組み合わせがあさぎーにょちゃんぽくて可愛かった。
私の特にお気に入りのコスチュームはウェディングドレスと学生服。あのウェディングドレスのヴェールが素敵!!!


内容について
ベラの動物(動物的衝動に動かされる)→人間(快楽以外の感情を知り、独立した存在になる)への成長過程かなと思ったけど、子供→自由で自立した大人の移行を意識していたらしい。までも子供って動物とそう変わらないだろうし、同じようなものか。

「独立した女性像」みたいな、フェミニズム的要素もあるが、この映画を女性のみに限定してしまうのはいささか勿体無い気もする。今まで抑圧される立場にあった女性を主人公にすることで、男女関係なく『解放』というテーマを際立たせていると考えたい。

結局哀れなのって誰だったんだろうと考えた結果、ベラの周囲にいた男性たちなんだろうと思った。ベラを自分のものにしたいという独占欲、世間体、お金、常識
に囚われていたゴッドウィンやダンカンは、全てのしがらみから自由なベラに出会うことで変化する。
ただそれだとブレシングトンとハリーとマックスはなぜ「哀れ」なんだろうか、、、まだ考える余地あり。

最後に
何をもってして、「この映画が好き!」となるんだろうと考えた。私の場合世界観のユニークさ+解像度の高さだと思う。現実世界では経験できないであろう世界や出来事を疑似体験できるのが映画の醍醐味だと考えているので、できる限り突飛なもの、かつ、丁寧で深く設定が作り込まれているものは面白いと感じる。
メジャーなものだと、ハリー・ポッターとか、進撃の巨人とかは、その際たるものだと思う。設定がぶっ飛んでるけど細かくて、独自の世界観にどっぷり浸かれるのが好きポイント。キャラクターとかいっぱいいたとしても、その全員にきちんと設定があるとハマるよね。
今まで、監督や制作会社で映画を見たことなかったが、これを機にヨルゴス監督の作品を見てみようと思う。


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