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どん底から這い上がる系の映画って、中国でウケたりするのかな

『ブラッシュアップライフ』でまんまと安藤サクラさんのファンになったので、たまたま志望企業の作品だということもあり、Huluで視聴。
あとなにやら、中国でリメイク版が大ヒットしているらしい。純粋にどの部分が刺さったのかも気になった。


飄々としたかっこいい安藤サクラさんではなく、ロン毛・プリンのアラサー安藤さんが出てきて、結構度肝を抜かれる。

タイトルについて
百円(=一子)の恋と解釈した。
32歳で実家暮らしの引きこもり。お世辞にも充実しているとは言えない人生を送っていた一子は、語弊を恐れずに言うと、社会的な『負け犬』(Loser)で、百円ほどの価値しかない人間。一子自身の自己評価も同様だったと思う。

一子の社会的なレッテルは、ボクシングの試合に惨敗した後も変わらない。しかし、たとえ百円ポッチの価値しかないかもしれないが、無くすものが少ないからこそ、思い切り挑戦することができる。そんな自分を一子は少し好きなれたのではないかなあ、と考えた。

安藤サクラさんについて
バカかっこいい。「どうせ百円程度の女だから」のセリフとか、めちゃめちゃ痺れた。
序盤の濁った目もリアリティがあって引き込まれたが、その演技があったからこそ、終盤の鋭い目つきが際立っていた。あまりよく知らないけど、割と初期の作品だったらしい(新人女優として紹介されていた)。
2023年の日本アカデミー賞のスピーチも読んだけど、演技だけではなく、人としても等身大で素敵な人だなと思った。『怪物』見逃しちゃったから要チェック。

中国リメイク版のヒットについて
素晴らしい作品だったけど、どうして10年前の作品を今更リメイク(しかも中国で)しようと思ったのか。私は、あんな感じの「がむしゃらに頑張る」系の映画は中国で受けがいいのではないかと推測した。

なんでかに関しては検討中。SLAM DUNKの若年層における成功と関連づけて考察できないか?

中国の映画市場について(東洋経済オンライン2023年4月23日『「スラムダンク」中国人がこんなにも熱狂する背景』)
リンク:https://toyokeizai.net/articles/-/668820

中国におけるSLAM DUNKのヒットについても触れておく。ヒットの要因は若年層からの高評価らしい。
もともと90〜00年代にアニメが人気を博し、当時世代だった30〜40代の青春回帰需要を狙って公開されたという背景がある。
しかし北京大学の体育館で行われた先行試写会の、派手な演出や没入型の視聴体験がSNS上で話題を呼んだそうだ。(最近は映画の試写会も北京大学で行われることが多いらしい。若年層の影響力を見込んでとのことで、初耳だった。)

この記事によると、その他近年の日本映画の人気(コナン、ドラえもん、万引き家族、、、)には共通して「蓄積」があるらしい。
一つ目の「蓄積」は、シリーズ作品の蓄積だ。長期的にファンを育成し、その中で培われてきたブランド力が、映画にお墨付きを与えているとあった。
二つ目の「蓄積」は、レビューの蓄積だ。中国の映画レビューサイト「豆瓣(douban )」には、公開前から1万件以上の映画レビューが寄せられている。これは在日中国人によるもので、口コミのプロモーション力が実感できる結果となっている。つまり中国に馴染みのない作品でも、在日中国人が見て良いレビューをつけてくれれば、中国での成功も夢ではないのだ。

まとめると、SLAM DUNKはこの二つの蓄積がうまく作用した結果であるとも言える。中国でヒットする映画を日本で作るのであれば、
①在日中国人(日本語がわかり、中国語でレビューを書く中国人)をターゲットに設定する
②以前から愛されているシリーズものを扱う
のが効果的だそうだ。

まとめ
話が脱線したが、どん底からがむしゃらに頑張り這い上がる根性に、就活絶賛連敗中の私も励まされるものがあった。
一度挫折していたnoteに感想を残したくなるほどの、胸熱映画でした。こう言う映画もっと見たい。


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