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空の青さを知る人よ


「 井の中の蛙大海を知らず 」


井の中の蛙大海を知らずとは、知識、見聞が狭いことのたとえ。また、それにとらわれて広い世界があることに気づかず、得意になっている人のこと。                                引用元:http://kotowaza-allguide.com/i/inonakanokawazu.html

有名なことわざですよね。


このことわざには続きがあります。

「 井の中の蛙大海を知らず、されど空の青さを知る 」

「井の中の蛙大海を知らず、されど空の蒼さを知る」という言葉は、確かに井戸の中の蛙は広い海があることを知らないが、井戸から見える空の蒼さなど、井戸の中の世界に長くいたからこそ見えるものを知っているという意味です。
引用元:https://biz.trans-suite.jp/20675#i-7


郊外の小さな街で生まれた私。幼少期は家族もかなり過保護で、一人で買い物したり電車に乗ったりできないような子供でした。父も母もきっとそうやって育ってきたのでしょう。そして、祖父母も曽祖母も従姉妹も。親戚はほとんど同じ街に住んでいます。家から近い学校に通い、家から近い職場を探し、家族や親戚に守られながら生きてきたのでしょう。みんな、平凡で平和で一般的で、幸せな家庭です。私はそこで生まれて、そこで育ちました。その世界が私の中の、普通でした。


あるきっかけから私は、家を出ます。もう6年目になりますね。家を出た私は、

「 自分はなんて狭い世界にいたのだろう。あの人たちはなぜあんな狭い世界にいるのだろう。井の中の蛙。大海を知らないのだ。 」

なんて思っていました。そんな大層な世界をみたわけでもなく、多くの出逢いを経験したわけでもありませんが。その頃から、母が話す言葉や生き方が理解できなくなっていきました。お金に困っているわけでもなく、自分を縛るものもないのに、なぜ狭い世界で生きているのだろうと。


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ある映画を観たんです。

「 空の青さを知る人よ 」

という映画。狭い世界で生きる姉と広い世界に憧れる妹のお話なんですけどもね。「姉のあかねは郊外の狭い世界でしか生きたことがなく外の世界を知らないけれど、そこでしか培えなかったもの、そしてそこで何より大切に思っている妹と一緒にいられることを愛しているということ。」それに妹のあおいが気づくシーンがあります。

私はそこで、有名なことわざの続きがあることを知り、

母の生き方の意味を知ります。

母は学生時代から今までずっとあの街をでず、短大を出てからずっと同じ仕事をしています。母はきっと自分が井の中の蛙であることをとうに気づいており、また他人からもそう思われ続けることにも気づいているのでしょう。50年間ずっと同じ街にいたからこそ知れる深い知識も深い人間関係もあるでしょう。30年間ずっと同じ仕事をしていたからこそ辿り着ける領域もあるでしょう。

そしてその青さを、愛しているのでしょう。






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