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児童書『のはらクラブのこどもたち』/感想

のはらおばさんが、子どもたちと
野原を散歩しようと「のはらクラブ」を作る。
すると、女の子たち8人が集まる。

みんなで野原を歩きながら、
すずちゃんは「すずめのかたびら」を、
カーラちゃんは「からすのえんどう」を・・・と、
みんなが思い思いの草花を紹介して遊ぶ。

野の草花となかよくなれて、
最後はびっくりする、
とても楽しい本です。小学校低学年から。

面白かった!

まず、草花の由来を知ることができて
楽しいです。この本に登場する草花はどれも、
草花の特徴を動物に見立てた名前がついていて、
可愛いのです。

植物と動物ってこんなにも接点があるんだなあ。
植物好きな子はもちろん、
動物好きな子もきっと楽しく読めると思います。

子どもたちの名前と植物の組み合わせにも拍手!
最初、子どもたちの名前を
一気に紹介されたときには、
「うわぁ多い。覚えられない!」と思ったけど、
読み進めるうちに、
その名前であるワケがわかりました。

みいちゃんは「ねこじゃらし」、
こんちゃんは「きつねあざみ」を
紹介するように、子どもの名前は
動物をモチーフとしてつけられていて、
その動物にピッタリな草花を
紹介していたのです。

のんちゃんはどうするのかなと思ったら、
バレリーナになりたいのんちゃんは、
「おどりこそう」を紹介するという、
ちゃんとした理由がありました。

子どもたちが草花で思いっきり
遊ぶ姿も微笑ましいです。

ねこじゃらしを髭にしたり、
踊り子草をかぶって踊ったり、
うしのしっぺいで叩きあったり、
ひつじぐさが開く瞬間に歓声をあげたり・・・。

みんなでお昼寝するときには、
「ひつじぐさ」の数を数え始めたものだから、
「なんて素敵なアイデア!」と心が躍りました。

「自然と遊ぶ」っていいなあ。
つむぐとこんなふうに遊びたいなあ。

そして衝撃のラスト。子どもたちは、
のはらおばさんとのんちゃんが
お昼寝している間に消えてしまい・・・。

どうなったかは言わないけど、
まるで狐に化かされたような
不思議な気持ちになって、でもすごく納得して、
お話の素敵な世界観を
たっぷり味わうことができました。

再読したときには、子どもたちが
「どうぶつのせいばっかり」と
怒っていた理由がわかったり、
子どもたちのお弁当の中身を見て
「こんなところに秘密が隠されていた…!」
と気づけたりして嬉しかったです。

草花を知る楽しさだけではなく、
動物と植物のつながりを最大限に生かした、
お話としての面白さを味わえました。

紡と一緒に読みたいと心から思う、
大好きな一冊になりました。

『のはらクラブのこどもたち』
たかどのほうこ作・絵
理論社、2000年

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