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【時々エッセイ】 猫の手ざわりは魔法でできている 10

うちの長にゃんのジョルジュが大怪我した時の事を書きます。
7年前。まだ家から自由に外出させていた時の事。よその猫とけんかになったらしく、耳の後ろをかなりざっくりやられて出血していました。その時、私は愚かなことに、ネットで調べて唯一猫にも使っていいと書いてあったマキロンを塗ってそれで済ませようとしました。
実際、怪我は少しずつではありますが、地味に治っていくように見えました。かさぶたが被った頃、かゆいのか、しきりに後ろ足で引っ掻きます。そして、かさぶたが取れて出血。またかさぶたが被って引っ掻いて取れて。そのうち膿が出るようになり、それを引っ掻かないようにアマゾンでエリザベスカラーを買ってあげたのですが、家の中のどこかに落として失くし、二日後に見つかりました。でも、どうせまたはずすからともう着けずにいました。

エリザベスカラーを着けたジョルジュ

そして数日後。
人相が、いや、猫相が違う。何かおかしい。こんな顔じゃなかった。
頬が異様に膨れあがっていました。押しても痛がらない。なんか、ぶにぶにしている。心配になって獣医へ連れて行きました。
膿皮症と言われました。猫の傷はふさがっても中で膿をもっていて、そこから細胞組織が腐っていくそうです。恐ろしい話でした。
傷の治療をしてもらって帰るはずが、泊りがけで手術の段取りになりました。朝ごはんを食べさせていたので、麻酔をするためには時間をおかなければならず、日帰り手術にはできなかったのです。
帰ってから、自分でできることが何もないのでやみくもに掃除をしました。
祈っているとどんどん怖い考えが浮かんでくる。体を動かしていないと耐えられない。そこでとにかく、帰ってきた時に歩き回りやすく飛び乗りやすく危険がないように整えておこうと思ったのです。
半世紀の間年末には必ず大掃除をしてきましたが、あんなに掃除に集中したことはありません。
家もきれいになり、黒いものが何もかもジョルジュに見え、手や足に何か触るとジョルジュだと思ってしまう症状が出始めました。
夜になると、ジョルジュがうちに来てから撮りためた写真を午前1時まで全画面スライドショーで眺め続けました。
翌日、慣れない場所で手術に耐えたご褒美とお詫びを兼ねた七面鳥のテリーヌ入りの高級猫缶を買って、ピックアップしに行きました。
病院でもエリザベスカラーをもらい、帰宅初日はそちらを着けて過ごさせていたのですが、翌日にははずし方のコツを覚えてしまったためアマゾンで買ったものに取り換えました。
膿皮症。怖いです。怪我をした時点で連れてきてくれればここまで大事にならなかったと獣医に言われました。

術後の経過良好で、逆境を楽しむ余裕が出てきた飼い主

あれから7年。
いまだに手術跡の皮膚からは毛が生えません。
猫の病気と怪我に自己判断は禁物です。


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