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【感想】美少女万華鏡 -忘れな草と永遠の少女-

ブランド : ωstar     発売日 : 2012-07-27
原画 : 八宝備仁  シナリオ : 吉祥寺ドロレス

⚠️ここからネタバレあり⚠️






◾️ネタバレ感想

予想以上に衝撃的なラスト。
忘れな草が見せてくれた愛のかたち。


★はじめに

2012年にリリースされた美少女万華鏡シリーズ第2弾。前作同様に、今回もおよそロープラ作品とは思えないハイクオリティな作品でした。

前作は主人公とヒロインの関係性や、幻想的な世界観と美しさに心奪われましたが、今回は雰囲気を変え、本格的オカルトストーリーに没入する事になります。

どこか寂しげな雰囲気、甘美さに陶酔してしまう魅惑のヒロイン、そして儚さが作品を支配する理。
美少女万華鏡シリーズ、やはりただの抜きゲーではないようです。

この記事は批評空間に投稿したものに加筆修正したものになります。
いつもより若干コンパクトな記事ですが、どうぞお付き合いください。

※この記事を投稿する時にはシリーズ第4弾までクリアした状態です。
過去の感想記事もリンク貼っておきます。



★世にも奇妙な物語

本作の奇妙な世界を喩えるなら”世にも奇妙な物語”でしょうか。大物グラサン芸能人がストーリーテラーとなり、オムニバス形式でオカルトドラマを案内していくアレです。

序盤から中盤にかけてはヒロインの言動や行動に違和感を感じながらも、愛しあうゆえに淫らな二人の情事を俯瞰して見ていました。

何か含みのあるヒロインの言動や行動を疑いながらも、物語中盤までは振り幅の少ない淡々とした展開で進みます。
これがなかなか起承転結の”転“が訪れない。

中盤までは現実なのか虚構なのか、プレイヤー側に与える情報はごく僅か。
若干の中弛みに焦らされ、前作とは異なる仕様に不安が募ります。

ただ、まだこの時自分は知らないんですよね。
この後から続く衝撃的な終盤を‥‥。

本作の物語構成は、序盤から中盤まではただのジャブ。丁寧にヒロイン雫との愛欲を見せておいて、後半からは全部ひっくり返してくるというものでした。
いわゆる強烈なドンデン返しを用意した瞬間風速で吹き飛ばす系の奇妙な世界の答え。

うわ、やられた‥‥。

実は勝手に雫が幽霊のような奇妙な存在と仮説を立てて、物語を先読みしていたつもりだったんです。分かりやすいフラグだから先が読みやすいなーと、頭が冴さえていると悦に浸っていた自分が恥ずかしい。

これは仕組まれたミスリード。
この物語で展開されていた事象そのものが、まさかループする夢だなんて‥‥。
そもそもその発想すら自分にはありませんでしたよ。

そしてループものだからこそのEDの振り方も見事でした。
湖に沈んだ二人が実は生きていたTRUEルートは一番読後感が良いですが、個人的には二人共助からず愛に沈んだルートに惹かれました。
儚さや切なさが忘れな草の真実の愛になぞられて好みです。

バッドEND延々ループも救いが無く、この奇妙な世界にはしっくりきます。
むしろこれを正史とする方が儚く美しいとも思えます。
マルチENDはノベル形式作品の強みですので、そこが光る作品はやはり良いわけです。


★ヒロインについて

本作ヒロインの雫は献身的で尽くすタイプ。
男性の理想を体現したような少女。
ひたむきさは全てにおいて発揮されていて、これをこの物語に置いてみると若干の恐怖も感じます。
まぁ可愛いんですが、個人的にはストレートに好きにはなれませんでした。(ビジュアルはめちゃくちゃ好きですが)

主人公にいいようにされ過ぎているというか、愛する人の全てを受け入れてしまう危うさというか。

幸せの形は人それぞれなので無粋な意見かもしれませんが、もし転が起きずに中盤までの展開で結ばれていたら、二人はいずれ歪んだ愛に溺れて破滅しそうな気がします。

とは言え、この要素があるからこそ、歪な関係も奇妙な世界観にマッチしていたとも言えるわけで。
この奇妙な物語の登場人物として見れば、雫は理想的なヒロインと言えるのは間違いないでしょう。


★甘くも特殊なえちシーン

本編最大の魅力は美しいえちシーン。
今回も前回同様にキャストの方の声が素晴らしい。このシリーズは声に全力出してますね。
雫役の御苑生メイさんは可愛い甘声を主にしながら、えちシーンでは吐息が艶めかしすぎる超技を披露してくれました。
さらにそれを淫語で畳み掛けてくるので、抜きゲーとしての評価が高いのも分かる気がします。

アクロバティックなえちシーンも見どころ。自転車二人乗りでナニが始まった時は流石は美少女万華鏡シリーズと感服しました。

おい!なんだこの状況?w

それでも相変わらずCGも美麗で、シーン音楽も美しいのでこれはえちシーンとして見ない方がいいかもしれませんね。

驚いたのはサブヒロインのめぐみ。
主人公に都合のいい関係にされている事に憐れみを感じますが、シーンが始まったらあまりにカオスだったので、清楚な見た目からイメージする脆さを思い知る事に。

うわ‥‥コイツはヤバい!!

肉欲に堕ち豹変した姿は期待を超えた展開で評価を上げるものとなりました。豹変しためぐみヤバすぎ。えっち狂いすぎ。
雫とは異なるパターンだったので、これはコレでアレで色々と良しでした。


◾️最後にまとめ

シリーズの方向性が見えた2作目でした。
どうやらストレートに恋愛をやる気は無いですね。凝ったシナリオと甘美で淫靡な魅力的ヒロインという様式美を確立させようとしている気がします。
本作のプレイを終えて改めて思ったのは、絵が素晴らしいのは説明不用、シナリオも優れている事がよく理解できました。

美少女万華鏡シリーズのクオリティは、他のロープラ作品とは一線を画しているのは明らか。
今後も期待出来るシリーズでしょう。

オメガスターの皆様をはじめ、制作に関わられた全ての方に感謝を。
また、この感想にお付き合いいただいたあなたにも最大限の感謝を。
ありがとうございました。

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