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消極的抵抗: 「マイケル・K」 I J.M.クッツェー

クッツェーを読むのは初めて。

ドイツの反ナチ抵抗運動として有名な白バラ。先日、邦訳ではたぶん一番新しい文献「白バラ尋問調書」を読んだ。その中に〈消極的抵抗〉なる言葉が繰り返し出てくる。この単語では概念が理解できず、元のドイツ語は何かを知りたくなった。幸運にも教えていただき意味を調べたところ、「マイケル・K」はその考え方に拠って書かれていると説明されていた。

消極的抵抗Passiver Widerstand は、第一次大戦後、1923にフランス、ベルギーに占領されたルール地方で起きた、ドイツ人の抵抗運動の思想。暴力ではなくデモやストライキなどによる抵抗を指すとのこと。

まさかドイツ史が南アフリカの作家クッツェーにつながるとは思いもよらなかった。これだから読書はおもしろい。疑問をそのままにしないでほじくると、おいものように収穫がある。楽しくてたまらない!

岩波文庫版74ページまできて、まだわからないのがKの肌の色。白人だからといってみんなが恵まれているわけでもない、というアメリカ風社会もあり得るし、南アではこんな厳しい目に遭うのは有色の人だけなのかも、という無知ゆえの想像で、どちらの絵も思い浮かべながら読んでいる。

アパルトヘイトやマンデラ元大統領の名は知っていても、表面だけで何にも知らない...。無知を知っただけマシと開き直って、先へ進む。

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