毎日童話『おじいちゃんとたけるくん』

僕は「たける」

明日から小学一年生

幼稚園ではバスが迎えに来てくれていたから

遅刻せずにすんでいた

でもこれからは歩いて登校しないといけない

大人になる一歩なのかな

と、生意気な「たける」は思っていた

小学校への登校は明日からになるんだけど

ママから練習ということで

一日前に小学校まで一人で歩いたんだ

出発から全然問題なし!

全然余裕だよ!

相変わらずの生意気な「たける」

「あら、たける!どこ行くの?」

近所に住むおばあちゃんが声をかけてくれた

「小学校に行く練習なんだよね」

大人ぶって説明する「たける」

また歩きだす

しばらくして、小学校に着いた

明日が入学式だから誰もいない

なんだか怖くなって

速足で来た道を戻った

帰りに入院していたおじいちゃんと逢えた

おじいちゃんが大好きな「たける」は大喜び

「お帰り!」

生意気な「たける」が一気に孫の顔になった

「今日からおじいちゃんとまた一緒に遊べる!」

それからおじいちゃんと一緒に家に帰った

家にもう直ぐ着くという所で

「たける」は家まで走り出した

やはり一人で初めて小学校に行ったのが怖かったのだ

玄関に着いたところで

「たける!気を付けてな!」

おじいちゃんが声をかけてくれた

振り返ったけど、おじいちゃんはいなくなっていた

「おじいちゃん~?!」

「おじいちゃん~?!」

「おじいちゃん~?!」

家に帰ったのだと思った「たける」は

また明日遊びにおじいちゃんの所行こうと

楽しみで仕方がなかった

そして家でママにおじいちゃんと家に帰ってきたことを告げた

お母さんはビックリした顔で

僕に教えてくれたんだ

いつもとは違う優しい口調で

おじいちゃんは今日死んじゃったんだって

僕を守るためとお別れを言いに来たんだよ

と教えてくれた

あれから6年経って、小学6年生になったけど、

今でもおじいちゃんとお別れしている気持ちにはなってないんだ

なぜなら、あの日の次の日からもおじいちゃんと遊んでいたし

それに、今日もこれからおじいちゃんと遊ぶんだ!

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