毎日童話『本屋とぼく』
ここは近所の本屋
毎日この本屋に来ていた子供のころのぼく
理由は好きな女の子が毎日来ていたからだ
でも声をかけられず
いつからか女の子は本屋に来なくなっていた
ぼくはいつか来るんじゃないかと
それでも毎日通った
でも来なかった
今は結婚し子供もいる
今はその本屋を任されている
ある日から女の子が毎日来るようになった
ぼくの息子も毎日来るようになった
その女の子を好きになったかどうかは聞かないようにしている
ある日その女の子をお母さんが迎えにきた
驚いた
あの女の子だった
「いらっしゃいませ」
「こんにちは。こちらまだあったんですね。私が子供のころに毎日通っていたんですよ。娘が毎日行く本屋があるって聞いてきてみたんです。そしたら、まだあったからびっくりしちゃいましたよ。」
「そうなんです。奥様が子供のころの本屋のオーナーさんは既にお亡くなりになられて、今のオーナーさんはその息子さんで任されているんですよ。この辺りはココの本屋さんしかないですからね。」
「そうなんですね。娘が毎日こちらに来ているのは、好きな男の子が出来たからじゃないか思って、私も来てみようと思ったんですよね。実は、私も子供のころに毎日こちらに来ていたですが、本も好きだったんですが、実は気になっていた男の子が毎日来てたからなんですよね。結局、私が引っ越しをしてしまって気持ちを伝えられないままでしたが」
ぼくはビックリしてしまい、その後は女の子のお母さんの顔を見れなくなってしまった
あの時毎日来ていたのは、この子とぼくだけだったからだ
うれしくもあり苦くもある記憶
『その男の子は僕です』
その一言は口に出せなかった
「こちらの本屋は僕が守っていくと、オーナーさんとも約束してるんで、娘さんにも毎日来てもらいたいですね。その気になる男の子にも思いをいつか伝えてほしいなと思います。」
「ありがとうございます。これからも娘を宜しくお願い致します。」
娘さんを連れて帰っていった。
僕は女の子の為にこのお店を守り続けようと改めて思った。
あの頃のぼくに伝えたい
『また女の子に会えるよ。その女の子の子供と、君の子供が、その鍵だ』
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