自称子供好きなダブルバインド使いの毒母。

 自分が子供を産んでしみじみ思う。
 この人(私の母)、「私は世界で一番赤ちゃんと子供が大好き!ウフフフフ、アハハハハハ…」みたいな雰囲気醸し出してるけど、別に全っ然好きじゃないんだなぁ、って。
いや、最初はその言葉?というか雰囲気?を疑うこともなく、1、2時間の用事の際母に赤子を預けたこともあった。でも、誰が誰だか分かっていない&泣き声も高が知れている1、2か月の頃こそ良かったが、ママじゃないと怒り出す3か月以降は、予定直前に「え、今日本当に大丈夫かな…」と言い出したりして、預けられなくなった。
 それ以降は預けるのではなく、私+赤子で母に会う形式を取ることにした。(あれ?毒親なんじゃないの?何でそんな足繁く会うの?と思われる方もいらっしゃるでしょうが、これが過干渉毒親の本当の恐ろしさなんですよ。本当に本当に些細な会話、LINEでじわじわじわじわ娘の思考と行動を支配して、“会わなきゃ”“孫の顔見せなきゃ”“楽しませなきゃ”と、いつの間にか自分の元へ帰ってくるよう仕向けていくんですよ…………)
 その際にも、出会い頭に「孫ちゅぁ〜〜〜〜〜〜〜ん♡」と超絶ハイテンションで呼びかけこそするものの、あとはもう存在ほぼ無視。もちろん悪意がある訳では全くなく、いかに自分が大変か、いかに周囲の人間が駄目かを娘に語るのが忙しすぎるのだ。自分語りが忙しすぎるので、当然赤子が泣き出しても話を止めようとしない。私が「ちょっと、ごめんね〜」と制止してようやく「およよ、孫ちゃんどうしたのぉ〜〜?」と声だけかけるが、その舌の根も乾かぬうちに、赤子対応している私の横でまた話の続きをし続ける。
 抱っこもほとんどしないし(というか毎回でっかいブローチやネックレスをつけてるし、バッグは片手が常に塞がれるハンドバッグだし、ハナから抱っこなんかする気がないのでは…と思ってしまうような格好なのだ)、ベビーカーは彼女の買い物の荷物置きと化す。
 まあまあ出先だからね。赤ちゃんと遊んだりって難しいよな…と思ってみたりもしたのだが、よく考えると家に帰っても同じだ。
 あの人が孫と遊ぶ姿を見たことが、ない!
 あんなに口では孫が大好き大好きゆうてんのに。脳が混乱するが、確かに一度も見たことがない。家事をしている間はそりゃ仕方ないだろうが、そうでない時も、いつも椅子に座ってスマホを触っている。(ちなみに父はまああまり家事も手伝うことなく寝そべっているが、こちらも孫と本気で遊ぶことはあまりない)
 一方、私の研究職の友人は、冷静沈着で非常に理性的な人物なのだが、実は赤ちゃんに目がなかった(そんな彼女自身も、めちゃくちゃギャップ萌えでキュートではなかろうか…)。一緒に外食していても、もちろん私とも話すのだが、終始赤子にも気配りしてくれて、うちに来てくれた時も、私以上に赤子と夢中になって遊んでくれた。彼女がいたおかげで、本当の赤ちゃん好き、子供好きとはこういうものだと分かった。

 さらに、彼女が本当は大して孫に興味ないことがよく分かるエピソードがある。
 我が家は「みてね」という素晴らしい神アプリを使って、日々赤子の写真や動画を親族(我が家の場合は私の父、母、弟)に共有している。父と弟は時々チェックして、コメントもくれる。
 一方、母は一度もコメントしたことがないし、そもそもほとんど写真自体見ていない(「みてね」誰が何日前に閲覧したか分かるようになっている)。
 同じく「みてね」を愛用しているママ友がいるのだが、写真をアップするたび、一族をあげてコメント合戦になるという…。

 正直、本当に切ないよ。私のお母さんは、世界で一番愛情深いお母さんなんだと信じていた、本当に、心の底から。でも、私の母は世界で一番愛情深いお母さんのふりをしていただけだった。
 きっと母は、“女は無条件に子供や赤ちゃんを好きであるべき“あるいは“いい母親、いい祖母とは子供や孫を愛でまくるもの”と思っているのだろう。だから口では執拗に子供好きをアピールするし、手作りのベビー服をせっせと作って送ってくるなど、目に見えて形に残る貢献は(頼んでもないのに)しようとする。でも、本当はそんなことないから日々の何気ない行動がいっそ伴わない。母の話し方はダブルバインドの特徴が顕著だなあと思っていたが、ここにもその特徴が現れていたのだ。

「ダブルバインド」とは、同時に発せられた2つの矛盾したメッセージの間で「どちらを選んでも不正解」の板挟みの状況となり、メッセージを受け取った側に精神的に大きなストレスがかかるコミュニケーションパターンを指します。
https://conobas.net/blog/education/4711/

(↑出展のサイトでは、具体的なダブルバインドの例が載っていて「グワァァァァうちこれや。。。」と悶えることができると思うのでぜひご覧ください)

 しかしこのダブルバインドってタチが悪い術だなあと思う。この記事書いて気持ちを整理するまで私も普通に困惑して身動き取れない感じになってたし。おそらく母はマジで無自覚というか本当に自分は子供や赤ちゃん大好きな愛情深い人間だと信じ込んでいるはずなので、それにどう対処したらいいかが本当に分からない!(※島戸は基本的には両親との絶縁は考えていません。あくまで、適切な距離感、適切なコミュニケーションの再構築を目指しています)
 「ママ、赤ちゃんも子供もドゥぁ〜〜〜い好き♡♡♡プリプリ♡♡♡」みたいなアピールをされた時に、真顔or失笑で「いやママゆーてじゃね?w」って即ツッコむとか?多分うちの母の場合、「え……(困惑して傷ついた顔)、何でそんなこと言うの…」って、繊細ヤクザになって憤死しちゃうんだけど。
 いや、でも言うしかないか。関係を続けたいなら。そこで今まで通り思ってもないのに肯定したりお礼言ったりしてたら、また私の自我が死んじゃうし。

 

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