“良き母”の次は“良き祖母”になることで自己欲求を満たす、蛇のような母

 朝になったら推敲してまとめ直すと思うが、今はとにかく感情をアウトプットしないとどうしようもないのでこの日記を書いている。産後の1ヶ月、子の世話という幸福に忙殺されていて、自分と向き合う時間が取れていなかったツケがどかっと来た感じ。

 自分の親が毒親だったんだと認識して、家出して、今の夫の家に逃げ込んで、妊娠して、結婚して、出産した。夫によく似た女の子だった。

 孫が生まれたら、息をするように滑らかに、家出以来適切な距離を取れていた親と、その親族とが生活に滲んで入ってくるようになった。

退院の翌日、母から来たLINEで我に帰った。
「今日のお昼は何を食べたの?」

その言葉は、ただの確認、監視だ。ひとえに母が、安心したいがためにだけに発せられた言葉だ。今日のお昼が冷凍食品だったことを伝えたところで、摂った栄養が高まるわけでも、産後の回復が早まるわけでもない。
あるいは、安心はできずとも、やっぱり私は間違っていなかったという満足を得る道具にもなるだろう。
「冷凍食品!?やっぱり、ろくなもの食べてないじゃない」と。
いずれにせよ、私のためではない、自分のために、私が昼に何を食べたか確認しているのだ。

それから両親は毎週我が家に侵入してきた。家出した当初は、住所すら教えたくなかったというのに。親というものは、いくら突き放してもこうして蛇のようにするすると簡単に近づいて来るものなのだ。

産後三週目の土日、母は我が家に上がって、ソファで野球を見ながらすやすや寝ている孫を腕に抱いて、延々父の悪口を言い続けた。母がソファに座っているので、私は座る場所がなかったので、枕を床に置いて座布団にして、地べたに座って、母の愚痴を聞いていた。夫は前日夜なべして娘の面倒を見ていてくれたが、義両親がいる手前休めなかった。それでも文句一つ言わない、夫は本当に、私には勿体無いくらい素敵でできた人間だ。
夫に休みもあげられないなんて、私は自分が情けなかった。

産後1ヶ月で、いよいよ正気を吸い取られているのを感じた。
自分のインスタグラムに孫の写真を仕切りに載せたがるところも、GWには親族にお披露目したがっているところも、もうどうしようもなく気持ち悪かった。

この人は、私では飽き足らず、私の娘まで使って、自己欲求を満たすつもりなのだ。
いい母の後はいい祖母になる気なのだ。
娘が実家から逃げ出してデキ婚したことなど、もう頭から吹き飛んでいる。

本当に辛いことだった。母の手口は相変わらず巧妙だった。
母経由で、ろくに話したこともない母の友人や職場の方から出産祝いをいただいた。母は「内祝いはこちらでするから気にしなくていい」と言った。そうして、自動的に、いかにも自然に、有無を言わさず、私に恩義をなすりつけるのだ。

もちろん親を頼りたい場面なんていくらでもある。だけど、おんに着せられる恐怖が大きすぎて頼れない。弱みは見せられない。ただでさえ押し付けられた恩義が膨大なのに、こちらから頼もうものなら鬼の首を取ったようにおんに着せられる(私がそう感じてしまう)ことは明らかだ。
両親と、親族に対して、私は全く思った通りに振る舞えなくなる、本当の私の前に、娘として、姪として、孫として理想と思われる薄い膜を張って、それ越しでしか行動できなくなる。そのまくは、25年間私を覆って、全身を圧迫し呼吸をできなくさせていた膜だ。やっとの思いで剥がした膜だ。気づかない間に、膜は最も簡単に戻ってくる。恐ろしいことだった。

自分が無意識のうちに母親のような母親になることを漠然と恐れている。が、今はそれどころではない。まず、自分の身を親の毒から守らねば。産後の疲れと気の緩みで、ガードが疎かになっていたことを反省した。

勇気を振り絞り次の土日は休みたいと、あんに来てほしくないことを伝えた。そして、親族のグループLINEも退会した。

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