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計画的な努力で実現させる!医学部入学前から考えるアメリカ臨床医への道

2024年度医学部学士編入試験で国立大学医学部医学科から合格をいただきましたまりめっこです。
私には日本の医学部卒業後に「アメリカで臨床医として働く」という夢があります。この夢は非常に大きく簡単ではないと自覚していますが、早い段階から計画的に戦略的に努力することで実現可能性をできる限り高めたいと考えております。
医学部進学が決まってから入学までの間にできる限りの情報収集をしたいと思っており、今回は自分の情報整理のためにも記事にしてみました。
入学後何に注力すべきか、どう時間を使うべきか、考えていきたいと思います。


アメリカで臨床医になりたい理由

私がアメリカで臨床医として働きたいと思っている理由は色々ありますが、分けてみると大体3つくらいになると思います。

アメリカという国が好き

まず、私はアメリカという国が大好きです(ちなみに日本も大好き)。正確にいうと、アメリカの西海岸エリアが好きです。
大学時代そのエリアへ留学しており、その期間がすごく刺激的で楽しかったため、それ以来そこにいつか住みたいと思ってきました。
緑が多く水辺も多い、公共交通機関が比較的整っている、アメリカの中では治安も良い、人々が優しい、人種に多様性があるため人種差別もほぼない、日本人も一定数いるため日本の食材が容易に手に入る、など、自分にとっては生活の満足度が非常に高い地域に思えました。
それに加えて、アメリカにいる間は「せっかくアメリカにいるのだから、できる限りの挑戦してみよう!」と心を奮い立たせることができ、今振り返るとよくあの時一歩踏み出せたなと思えるようなことをたくさん挑戦・経験できました。逆境に立たされると頑張れるタイプなので、母国から出ると最大の力を発揮できるのかもしれません。当時は、大学の授業&運動のハード目の部活、銀行口座開設、家の賃貸契約、現地企業でのサマーアルバイト、ソーシャルセキュリティナンバーの取得など、学生ながらに一人前に現地の大人のような作業をこなしました。
日本にいる時も目標を見つけて努力して…という生活をしているタイプですが、アメリカにいる時には自分の活力が異次元だったと感じています。母国語ではない言葉を話し、母国ではないところで一人前に生活をしようとしているその環境自体がすでにチャレンジングで、私は毎日ワクワクしていました。
留学終了後も度々時間があれば現地へ旅行で戻っていますが、そのワクワクの感覚は不思議とすぐに戻ってきます。そしてやはり人生の中でもう一度この場所に戻りたいと強く思います。日本も大好きですが、自分の活力が最大になる場所であるアメリカに身をおきたいのです。

アメリカで子育てをしたい

昔から私は人生の中でできれば子どもを持ちたいと強く思ってきました。これから医学部生→研修医と多忙な生活になりますが、どこかで子どもを授かれれば嬉しいと思っています。
そして、私はその子どもにネイティブレベルの英語を身につけて欲しいと思っています。英語を話せるということで、仕事や生活の選択肢を大幅に増やすことができますし、英語を通して人間関係にも多様性が生まれ、人生が豊になると感じているからです。自分自身は日本の学校教育を含め多くの時間を英語習得に費やしてきました。語学を学ぶことは楽しくて好きですし、その時間はとても有意義であったとは思っています。しかし、生活する中でネイティブレベルの英語を身につけられるなら、それに越したことはないと思っています。これを実現するためには、どこかで自分自身の生活拠点をアメリカに移して子育てをするタイミングを設ける必要があると思っています。

患者に関わり、医療を提供したい

日本の医学部を卒業し医師免許を取得してから渡米する方法としては、「研究」と「臨床」の2つに大きく分けられると現時点では理解しています。
どちらも決して簡単なものではありませんが、私の理解の範囲では「臨床」の方がハードルが高いイメージです。「臨床」という言葉は、大きく言えば「患者を診療する」ことを指します。アメリカで患者を診るためには、日本の医師免許ではなく、アメリカの医師免許が必要です。ただ「医師」として医療の仕事をするので、特に一定のレベルまで行けばお給料の面で恵まれるケースが多いようです。一方で、「研究」であれば患者を診ることはほぼない(研究室に所属して研究活動をする)ので、アメリカの医師免許がいらないことが多いです。ただ研究者としてのお給料は厳しいらしく、家族を帯同して渡米する研究者の中には経済的な困難から数年で帰国を選択せざるを得ない方も多いようです。
この2つの選択肢の中でも、私は「臨床に携わる医師」としてアメリカで働きたいと思っています。これは働く国は関係なく、もともと私が研究医ではなく、患者と直接関わる臨床医になりたいと思っているからです。特に私は現時点では小児科医を目指しており、患者である子どもを直接治療できるポジションで働きたいと考えています。そのため、アメリカの医師免許が必要で険しい道であっても、臨床医を希望しております。

医学部に入学する前の私のアメリカへのモチベーションはこのようなものです。現時点では「アメリカで臨床医をやりたい」というより「アメリカに移住したい」という思いの方が強いと思います。一方で、医学生として勉強や実習の経験を積み重ねていくうちに「なぜアメリカで医療に携わりたいのか」もはっきりさせていけたらと思っています。

実際に医学部の合格が決まってから調べるまで、日本の医学部を卒業してから、アメリカで臨床医として働くのは現実的に可能なのか、どんな手順を踏むのか、全く想像できませんでした。一方で、現地で臨床医として活躍されている日本人の先生からお話をお伺いする機会に恵まれたり、インターネットで情報収集を行なったりする中で、かなり解像度が上がってきました。

簡潔にいうと、「もちろん簡単ではなく多大な努力を要するが、現実的」というのが私の印象です。私が調べて理解している範囲で、卒後から渡米までの具体的な手順を、キーワードの説明も交えてご紹介していきます。

今後より情報収集に努め、この記事をアップデートしていきたいと思っています。私自身すごく詳しいわけではなく必死に情報収集している段階ので、もし何か間違いなどありましたらぜひお気軽に教えていただけると幸いです。

「医師になる王道ルート」@アメリカ

アメリカで現地のメディカルスクールを卒業した人々が臨床の医師になるまでの王道ルートは下記の通りです。

★アメリカの医師になるまでの王道ルート

※アメリカでは一般的に4年制の大学を卒業して学位(生物学など医学に関連した学位のケースが多い)を取得して、メディカルスクールへ進学する。

-----メディカルスクール在籍中-----
●Medical Student(日本の医学生の位置づけで、4年間)
●Intern(①の最終学年4年で、日本の初期研修医と同等の実習を行う)

-----メディカルスクール卒業後-----
①Resident(トレーニング中の医師で、既に特定に診療科に所属)
②Fellow(トレーニング中の医師で、より専門を極めている)
③Attending(指導医)

アメリカの卒後の進路において特徴的な点は、日本では初期研修医の段階では各診療科をローテーションする形ですが、アメリカでは③レジデントの時点ですでに特定の診療科に所属している点です。また、日本では自由に診療科を選ぶことができますが、アメリカでは各科所属できる人数が決まっているので自分の希望以外の診療科に進むことになる人が出てきます。例えば、整形外科や放射線科などはアメリカですごく人気があるため、競争率は非常に高く、希望が通らない人もいるようです。

日本の医学部を卒業すると、③以降でアメリカへ行くことになります。日本と同様に、各医療機関が「プログラム」を持っており、それとマッチするかどうかでアメリカで働けるチャンスが手に入るか決まります。

①レジデント

日本でいう診療科の研修(後期研修)のような位置づけでしょうか。アメリカの現地人もみんな通る道であり、外国人にとってはそれだけ競争率が高いため難易度も高いと考えられます。診療科により内科では3年、外科では5年など、修了年数は異なります。
ただこのレジデントから入れれば、そこから先も幅広い選択肢を持てたり、スムーズに進める可能性が高まったりするようなので、ここを私は目指したいと思っています。より早い段階でアメリカへいきたいと思っていますが、一方で日本で初期研修をしないと保険診療医になれないなど日本での選択肢が極めて狭まるので、人生の選択は難しいな〜と思っているところです。

②フェロー

日本でいう診療科のサブスペシャリティーを習得する場です。こちらはアメリカの現地人が必ず通る道ではなく、これをスキップして⑤アテンディングに行く人が一定数いるため、その観点では外国人でも枠を取りやすいと考えられるかもしれません。
基本的にはアメリカで③のレジデントを修了していることがここに進む条件ですが、母国でレジデントの位置づけを修了していて、アメリカの医師免許を取得できていれば、ここから入ることも可能なプログラムもあるようです。
レジデントでアメリカに来ることができなければ、経験・研究成果のアピールや人脈などを駆使してフェローから入ることを目指す手もありそうです。

③アテンディング

ここに来ればアメリカでも一人前の医師として認められるようで、お給料もレジデントやフェローとはかなり異なるようです。もちろんそれなりに難易度も高いですが、レジデントやフェローでしっかり経験を積んでいくことでより近づけるようです。
世界的に有名な医師であれば、アテンディングの段階から渡米できるパターンもあるようです。

米国の医師免許を取得するには

日本の医学部に進学・卒業すると、ほぼ自動的にアメリカの医師国家試験(USMLE)の受験資格を得ることができます。在学している段階から受験資格は得られるので医学生のうちに挑戦する人もいますし、研修医以降に挑戦する人もいます。

アメリカの医師国家試験は、USMLE(ゆーえすえむえるいー)と呼ばれています。最初私はこれの発音(読み方)が分からず、医学部学士編入試験の面接前に急いで調べた覚えがあります(笑)

USMLEは、United States Medical Licensing Examinationの略です。Step1~3の3段階の構成です。

★Step1
基礎医学に関するテストで、日本でいうCBTのようなものだそうです。休憩はあるものの7時間という長丁場のコンピューターで回答する試験で、東京と大阪で受験することが可能だそうです。この試験はpass/failだけなので点数は重要ではないそうですが、この試験で一度でも不合格を取るとアメリカでのマッチングはかなり厳しくなるそうです。プレッシャー極限系試験。

★Step2CK
臨床医学に関するテストで、日本でいう国家試験のようなものだそうです。こちらも休憩はあるものの8時間のコンピューターで回答する試験で、東京・大阪で受験可能だそうです。こちらの試験は点数が出るため、高得点をとるに越したことはないです。USMLEのstep1,2と、医療従事者のための語学試験OETを受験することにより、ECFMGの認定を受けることできます。

★Step3
医学部卒業後に受験するもので、日本では同等とされる試験はないとされ、強いていうなら専門医試験の詰め合わせのような感じらしいです。こちらは2日間を要する試験で、日本で受験することはできないのでグアムなど日本から近く時差の少ない米国で受験する日本人が多いそう。ECFMGの認定を受けてから、step3に挑戦することができます。

基本的に日本の医学部を卒業すれば自動的にUSMLEの受験資格は得られますが、一部米国の審査・評価機関に認められていない日本の大学もあります。私は医学部学士編入試験を受験する際に、この点も見て志望校を選んでいました。将来USMLEを考えている方、アメリカで臨床をしたいと思っている方は、この点は要注意です!
↓ご自身の志望・在籍大学がここに載っていれば、自動的に受験資格が得られるということなので気になる方はぜひ一度チェックしてみてください。


日本人が米国臨床医になるための選択肢

日本の医学部を卒業した後に、アメリカで臨床を行いたいと思ったときに取れる選択肢はいくつかあります。

王道ルートのどこかに自分で応募する

先述した現地人にとっての王道ルートのどこかに自分で応募するルートがまず1つ挙げられます。

アメリカの医療業界では、アメリカ現地の大学を卒業した者、日本を含め外国の大学を卒業した者に対して、AMGとIMGという呼称があります。

★AMG
American Medical Graduatesの略で、アメリカのメディカルスクールを卒業した人(※ただ外国人でもアメリカのメディカルスクールを卒業しているケースもあるので、国籍を含めた概念ではない点に要注意)
★IMG
International Medical Graduatesの略で、外国のメディカルスクール(医学部)を卒業した人(※アメリカ国籍の人も外国のメディカルスクールを卒業している場合もあり、それは厳密にはU.S.IMGと呼ばれている)

日本の医学部を卒業すると上記の概念においては「IMG」に属することになります。
アメリカの王道ルートにおいてマッチングを希望する場合は、「IMG friendly」のプログラム・州を探す必要があるようです。レジデントやフェローなど各段階、各プログラムごとに、応募に際して必要な条件や資格などは異なり、IMGの候補者がその条件を満たしていたとしても、「IMG UNfriendly」の場合は通らない可能性が高いようです。希望する診療科、プログラム、そのプログラムがある州ごとによって、そのポジションを手に入れられるかは異なるのです。

下記のサイトで、IMG friendlyの程度を調べることができます。

現時点で私は小児科に興味があり、アメリカの中でも働きたい地域が決まっていて、レジデンシーからアメリカへいきたいと考えています。
実際に調べてみたところ、私の住みたい地域はIMG unfriendlyなようでなかなか難しそうな印象を受けました。人脈を形成するなど何か打開策はあるのかなど、今後調べていきたいです。最悪のケース、下積み時代はIMG friendly地域で腕を磨いて、その後希望の州に移動することもできるだろうと信じて…

N programに応募する

実は先述のアメリカでの王道ルートに入らなくても、実は日本人のためにアメリカの臨床に進むルートが存在します。私はありがたいことに早い段階からこちらのプログラムの存在を教えてくださる方がおり、現在でも積極的に視野に入れております。

こちらのプログラムの特徴は、診療科が限られること(主に内科、例外的に小児科・神経内科などで、外科系はこのプログラムを通して進むのは難しい)、プログラム(働く病院はニューヨークにあるマウントサイナイ・ベスイスラエルというところ)が決まっていることです。
応募に必要なのは、TOEFL100以上の英語力や、USMLEのstep2・OETの合格(ECFMG Certificate 所持者)などで、出身大学や年齢の縛りはありません。年に数名の採用があり、日本人間での競争になるという点が大きな特徴です。

★ECFMG
Educational Commission for Foreign Medical Graduatesの略。アメリカの医師国家試験であるUSMLEのstep1、step2、そして後述のOETに合格することで取得することができる。

★OET
Occupational English Testの略。外国人の医療従事者(医者や看護師など)が英語圏で働く英語力があることを証明するための試験。

VISAの注意点

私のように米国籍やグリーンカードを持っていないけれど、米国に長期滞在し就労したい人にとって、ビザは避けては通れない壁です。
医師として働くために取得できるVISAは、主に下記の2種類であると考えられます。

★J-1ビザ(交換訪問者ビザ)
国の間の人材交流の目的で発行されるビザ。最大7年まで延長可能。
【メリット】
・手続きが比較的簡単で、取得のハードルが高くない
・Jビザの配偶者は働ける(夫や妻を帯同していく場合、その相手が働ける環境を作りたいならこちらが良い)
・最初の2年間は米国で税金を納めなくて良い
【デメリット】
このVISA使用後に2年間日本に帰国し滞在する義務がある
→アメリカの僻地で3年間医療に従事すれば、このルールから脱することができ(=J1 Waiver)、これを実行しているIMGも実際にいる。
・トレーニング用のビザなので、レジデント・フェローまでが限界

★H-1Bビザ(専門職ビザ)
「アメリカで不足している職種に対して発行されるビザ」という位置づけなので、事実上研修医などはこれに該当しないとされるので、研修先病院との交渉が必要になる。最大6年まで延長可能。
【メリット】
・指導医まで、つけるポジションに制限がない
期限終了直後に、グリーンカードの申請ができる
【デメリット】
・step3まで合格していないと取れない
・プログラムがある病院と交渉しないといけない

上記のうちJ1visaで渡米しトレーニング(レジデント・フェロー)終了後、引き続きアメリカに残るためにはビザを切り替えなければいけません。
その場合、選択肢は下記の2種類があります。※どちらにせよ、J1 Waiverを終了させてからでないと、永住権であるグリーンカードの申請はできない点が要注意です。

★O1
病院が許す限り、指導医として勤務できる。研究費を獲得する際に不利になる可能性がある。
★F1
学生ビザであり、MPHやPhDコースに進む場合に適用される。

私の場合は、まだ考えている最中ですが、長期でアメリカに住みたいと思っており、日本に2年間帰国する義務が生まれるJ1visaは避けたいと考えています。また、将来はグリーンカードを取りたいと考えています。したがって、H-1Bvisaでいける道を探したいかなと漠然と考えています。

最後に

今回はアメリカで臨床医をすることを目指す上で重要な「実現するためのルート」について調べたことを記載してみました。
大きな目標を持った時に重要なのは、それを実現するまでの道を細分化して「何をどう頑張るのか」を明らかにすることだと思っています。そのためには情報が非常に重要です。医学部学士編入試験の際もそうでした。
今回は、アメリカで一人前臨床医になるまでの具体的なルート、どのような挑戦の仕方があるのかを明らかにしました。次回は「では具体的に医学生のうちに何を頑張れば良いのか」を明らかにしていきたいと思います!
読んでくださり、ありがとうございました!

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