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「だから夏はきらいだ」

夏の良いところを見つけよう。

野菜が美味しい。わたしは薬味とされているものがすき。大葉やミョウガを冷やし中華や冷たいお蕎麦にたくさんいれて食べる夏がすきだ。わたしの家では小さな家庭菜園があり、そこで父が大葉を育てている。食べたいときは蚊に刺されながら大葉を収穫しに庭まで出るのだ。蚊に刺されながら食べる大葉の味が、これが夏だと教えてくれる。

その次。洗濯物を外に干すことができる。わたしは洗濯という行動自体がすき。洗剤と柔軟剤の香りにすこし酔いながら、鼻歌まじりで洗濯物をまずは室内に干す。タオルや靴下を洗濯ハンガーに干すとき、左右のバランスが同じくらいになるように毎日ひとりでチャレンジをしている。晴れていると、洗濯物がしっかり乾く。それはすがすがしさを教えてくれる。

それ以外は思いつかない。ひたすらあつい。あつくてアイスを食べてしまう。今日は2本も食べた。あついなか食べるアイスクリームは脳を溶かしてくれる。ひとりじゃさみしいとか、ほんとうはあの人に会いに行きたいとか。溶かしてしまえ。忘れてしまえ。そしてまた思いだせ。乱暴なあつさにほんの少しだけ助けられてしまって、「だから夏はきらいだ」とわたしはつぶやく。

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