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父、救急搬送される

父、救急搬送された。

結果、点滴を500mlして、自宅に戻り、ここ数日、迷走してどこにいるかわからなかった父親が、自分の血圧計を見て、「やっと自宅に帰れた。」と正気に戻った。

今朝、父親と会話をすると、自宅で生活しているにも関わらず、どこかに施設にいる錯覚の世界にいた。

玄関から外に出て、表札を見せるも、ここがどこかわからない。

そこで、主治医に相談の電話を入れたら、点滴をしに自宅を訪れてくれるという。

今日は、主治医ではなく、休日担当の若い医師であった。

点滴をしたが、点滴が途中で止まり、どうやら点滴の機能がされていない。

主治医が駆けつけ、何度か点滴を試みるが、ルート確保できず、救急車を呼ぶこととなった。

以前、私が立ち会った緊急搬送は、3度。

1回が父親で、2回が母親だ。

いつも決まって、救急車と消防車2台でやってくる。

担当医の説明によると、ベットを確保したので、緊急入院となるそうなので、軽く下着の着替えと、ティッシュボックスと、靴を袋に入れて、救急車に乗り込む。

父親は、病院の救急処置室に運ばれた。

病院の待合室は、凍えるように寒い。

運ばれて、4時間が経過した頃であろうか、前を通りがかった事務員に、父親が冷房で凍えているにも関わらず、それが言えず、寒がっているのではないかと伝えてもらえるよう頼んだ。

そのすぐ後に、家に帰れると担当医から言われる。

やっぱり水分不足の影響で意識が朦朧としていたらしい。

血液検査の結果、それ以上の異常は見つからず、帰宅となった。

ケアマネージャーには、入院と伝えてしまったので、サービス中止のこれまた中止をお願いするために、電話をした。

主治医の病院にも入院ではなく、帰宅をした旨を伝え、来週の訪問診療をお願いした。

そして、帰宅の車の手配。

帰宅後、父親は、ベットの上に置いてあった自分の血圧計を見つけ、「やっと自宅に戻れた。」とのたまう。

緊急搬送される前にいたのも自宅なんだけれどね。

夕飯後、父親はおもむろに、自分の鞄から一万円札を差し出す。

「手間賃だ。」

そして、もう一万円札を違う方向に差し出す。

まだ、幻覚が見えるらしい。

父親は、渋い顔をする。

現実に戻され、現実を見ることが辛そうであった。

幻の世界にいた時も不安そうであったが、まだ、幸せだったのかもしれない。

そんな父親の口から出た言葉は、

「できるだけ、長生きしないと。」であった。

柱には、父親のお薬カレンダーがかかっている。

一つも飲み忘れをしなかった父親が、まだ、今日は、調子を取り戻せずにいる。

元通りになるのであろうか?

まだ、まだ、不安がよぎるが経過を見るしかないだろう。


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