見出し画像

ピースマインドの臨床心理士に在宅勤務中の「コロナブルーとの付き合い方」について聞いてみました。

こんにちは。
ピースマインド・広報担当の末木です。

緊急事態宣言が発令されて2週間経ちました。

自由に出歩るくことができない環境、いつもと同じようでいて違う日々の生活、先が見えにくい不安感・・・いろいろな事が重なって「コロナブルー」になってしまう・・・

この状況の中で起こる心理状況の変化とその対応方法について、ピースマインドの臨床心理士が対談形式で解説した記事をコーポレートサイトに掲載しています。
https://www.peacemind.co.jp/kokoro-care/column

今回は、このコロナブルー対談のメンバー、コンサルティング本部 統括マネージャーの後藤麻友さんにインタビューし「コロナブルーとの付き合い方」についてさらに掘り下げて語ってもらいました。


:)   :)   :)   :)   :) 

後藤麻友プロフィール
臨床心理士 公認心理師 EAPコンサルタント
夫・8歳の娘・6歳の息子と4人暮らし。
趣味はアウトドアと料理・ソーイング・子どもの遊び道具など、”作ること”全般。

画像1

*今回のインタビューはZoomで行いました!

:)   :)   :)   :)   :) 

対岸の火事から自分事に・・・

末木
対談の中にもありましたが、3月末に志村けんさんが亡くなった事で、私も大きなショックを受けました。
新型コロナウィルス問題がまさに他人事から自分事に変わった瞬間で・・物心ついた時からずっとファンで親しんできた人だったので、実際には知り合いではないのに、親戚が亡くなったような喪失感を得ました。
私の身の回りにも、あの日から新型コロナウィルスの捉え方が変わったという人がとても多いです。

後藤
私も同じです。
ニュースで毎日発表される死者何人という数字の中の一人が志村けんさんなんだ・・・と。それまでは遠くにあったものが、どんどん自分にせまってくるような感覚です。対岸の火事が急に自分事になる出来事の一つでした。


働き方の多様性と子どもたちへの対応

末木
国から緊急事態宣言も出て、後藤さん自身の身の回りに変化はありましたか?

後藤
夫は普段から出張が多いのですが、緊急事態宣言が発令される少し前に、急を要する用事でどうしても取引先に行く必要があった時、たまたま帰りが少し遅かったんです。そうしたら、いつもはそんな事言わないのに、6歳の息子が急にパパに会いたい・・・と泣き出してしまって。最近の何となく緊張した世の中の様子や不安な気持ちが掛け算となって、心配な気持ちがあふれてしまったのだと思います。

末木
この状況の中でお子さんの対応について気をつけている事などありますか?

後藤
気持ちをそのまま受け止めること、また体調の変化について意識しています。災害時の時のケアでも言われていることですが、子どもは言葉の代わりに感情や体調の変化という形で反応が現れます。例えば、子どもが「お腹が痛い」と言ってきた場合、いつもなら風邪かな?食あたりかな?と真っ先に考えますが、今は心因性の可能性も十分にあり得ると思って様子を見ています。

末木
その後、ご主人の働き方に変化はありましたか?

後藤
今は取引先と交渉してリモートでの対応に切り替えています。

末木
変化のきっかけは緊急事態宣言ですか?

後藤
そうですね。危機管理の問題もあるし、心理的にも外を出歩くこと自体が人目を気にしなければいけない状況になったのは大きいと思います。誰もが感染とウィルスを運んで広めてしまうかもしれないリスクを抱えているのだから、心配だから家にいてほしい!という家族の願いがマインドチェンジの後押しになったのかな。さすがに家族からの冷ややかな目線には耐えられなかったのかと・・・笑

末木
コロナ対策で在宅勤務を余儀なくされて、オフィスワーカーは否応にも働き方を変えざるをえなくなりましたよね。みんなそれぞれ苦労はありながらも工夫しながら、なんとかリモートワークできる仕組み作りが加速していて。これは今後の働き方改革においてはプラスの側面だと思います。

後藤
そうですね。ダイバーシティとかインクルージョンといった人の多様性について、ようやく日本でも意識が高まってきていますが、アフターコロナの世界では、働き方の多様性にも本格的に取り組む事が大事だと感じます。旧来型のドメスティックな体制では、今後は採用活動などに影響が出る可能性が高いのでは・・・と。

末木
コロナ対策で運用できると実証されたことを、アフターコロナの世界で、「あの時は緊急事態だったから、これからは元に戻しますよ。」というのでは、あまりに時代に逆行してしまいますもんね。

後藤
ですよね。

末木
対談の中で、在宅勤務の傍ら、子ども達が遊んでいる様子を見ていると、知っているようで知らなかったことがたくさんあることに気づかされました。とありましたが、具体的にどんな発見があったのですか?

後藤
例えば兄弟喧嘩が始まった時、普段だったら2人の様子を見てどちらかに非があったら、謝りなさい!と叱ったりもするのですが、在宅勤務だと仕事中はずっとかまっている訳にはいかないので少し放置したんです。そうしたら、子どもだけでちゃんと仲直りして完結できていた。親が介入しなくても大丈夫なんだな、成長したな〜と、嬉しかったです。最近、「ねー、ママ」と親の仲裁を求める事が減りました。

末木
近くにいるのにかまってもらえない時間もあることで、ママも仕事で忙しいんだから、自分達で解決しなきゃと学習しているのでしょうね。頼もしいですね。

後藤
外に出られないけれど、家の中だけでできる遊びを工夫して、2人で替え歌を作ってうたったり、独自の戦いごっこで遊んだり、昔は使っていたけど最近は全然使っていなかったお人形達に名前をつけ出したり・・・子どもの想像力は無限で面白いなぁと関心しています。

末木
「お人形に名前をつける」のは大人でも楽しめそうですね。わたしもやってみます!

画像4

*わが家の人形たちを集合させてみました。何て名づけようかな・・


コロナブルーとの付き合い方

末木
日々の生活の中で、後藤さん自身が「コロナブルーに陥っていたんだな」と感じた事はありますか?

後藤
それが私自身はそういうところ鈍感なのか、これといってないのですが・・・ただ、ちょっと最近疲れたなと感じることの原因がコロナブルーなのか在宅勤務疲れなのかわからない・・・といった事はあります。
そんな中でも、子どもの成長に目を向けたり、この状況だから得られた感覚に目を向けて過ごしています。「普段だったらやらないことをにチャレンジしてみる」こともマインドチェンジには有効なので、コロナブルーかな?と感じたらぜひ試してみてほしいです。

末木
対談の中で、自分の気持ちを書きだして思考を整理するのもよいとありました。それはなぜなのか詳しく聞かせてください。

後藤
自分の素直な感情を書き出して向き合うことで「意識していなかったけれどいまコロナブルーという状態だったのか」と気づきがえられます。すると「ああ、だからこんなに心配だったのか。苦しいのか。いらいらするのか。」と納得できるようになります。
わからなかったことが理解できると、ほっとして気持ちが軽くなり、プラス思考へのマインドチェンジがしやすくなります。

末木
なるほど。納得するというのが大事なんですね。
いま、多くの人が在宅勤務や在宅待機で普段より家族との距離が物理的に近い状態にあって、気分転換に自由に出歩くこともできない時期ですし、環境にストレスに感じる人も少なくないと思うのですが、そういった感情と向き合うにはどうしたら良いでしょう?

後藤
普段より家族間の物理的距離が近くなったことで、DVや虐待が増加することへの懸念の声があがっていますね。良くも悪くも、この環境変化に対して、様々な感情の変化が起こります。例えば、「休校になった子どもが毎日家でダラダラ過ごしているのを見ているとイライラする」というケース。一見すると、子どもに対するイライラのように捉えられますが、実は自分自身の日常が変化したり、この先どうなるんだろう、という漠然とした不安な気持ちが、違う形として表現されることは実はよくあることなんです。表面的な感情にとらわれず、少し俯瞰してみると、実は今の自分に本当に必要なことがわかったりします。

末木
自分で気づいていなかった自分を知ると納得がいく。ということですね。
わたしの住んでいる街では、テイクアウトを始めた飲食店が多いのですが、少し割高だな・・と感じても、この買い物が少しでもこのお店の役に立つなら・・と買うことが増えました。お気に入りでしょっちゅう通っていたお店では、店員さんと会計の短い時間だけですが世間話をしたり、入ったことのなかったお店の店員さんとは「今まで気になっていたけど入ったことなくて。テイクアウトできて嬉しいです!」と話したり、買い物する瞬間のほんの少しの時間でも同居家族以外とのコミュニケーションはこの時期だからか、とても気分転換になっている気がします。

後藤
そういった地域との一体感や援助行動が自分のマインドを支えるという側面は大きいと思います。

末木
『援助行動』というのは聞きなれない言葉ですが、心理学用語ですか?

後藤
そうです。困っている人をサポートする意図で行われる自発的な行動のことを援助行動、と言います。アブラハム・マズローという心理学者がいて、人間は自己実現に向かって成長していく生きものである、と考え方に基づき”欲求階層説”というのを提唱しています。見返りを求めずに「誰かのために役に立ちたい」というのは、その中でも高次な人間らしい欲求と言われています。つまり、他者を援助することは、自分の内面を満たすことにも繋がっている、ということです。先ほどの地域に貢献されているというお話しは、まさにこのことかなと思います。末木さんにとっても、自分の内面を支えるという側面においても、意味ある行動になっているのではないでしょうか。

末木
なるほど。国や自治体からの支援もありますが、共に支え合う人間らしい行動で、個人でできる範囲でも相互に支援していく事って大事ですよね。その行動が自分自身の安心感にも繋がるという発想はなかったので勉強になりました。
今日はありがとうございました!

:)   :)   :)   :)   :) 


インタビューしながら、改めて自分の行動を振り返って掘り下げてみると、だからあの時あんな風に感じたんだな。と、自分自身にも気づきが多く納得感があって何だかスッキリしました。


ピースマインドでは4/24に無料Webセミナーを行います。

020_在宅勤務でのコロナ疲れへの対応:コロナウイルスの流行中に落ち着きを保つために_Web_20200424

具体的なセルフケア対策、チーム内コミュニケーション対策、家族対応等を臨床心理士が解説します。
コロナブルーを感じている方の一助になれば幸いです。


詳細はこちら☟
https://www.peacemind.co.jp/newsrelease/archives/219

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?