ストレッチ関連__4_

ストレッチで押さえてほしいポイントはたった2つ

皆さん、こんにちはPちゃんと申します。

私は本業として理学療法士というリハビリテーションのお仕事に従事しております。理学療法士は主に疾患を持った患者様に対して徒手的な機能訓練や動作指導・誘導、疼痛緩和などの治療を専門としており、生活動作の再獲得を行い社会復帰を目指す職種です。

今回のnoteでは「ストレッチ」をテーマに掲げております。

今回のnoteはこんな方に見てもらうと参考になると思います。

・ストレッチってどんな効果があるか知りたい。
・ストレッチのメリットとデメリットを知りたい。
・筋肉が硬くなってしまう理由が知りたい。
・ストレッチしてもすぐにまた硬くなって
 しまうのはなぜ?と思う方。
・ストレッチはどの程度行えばいいのか知りたい。

ではここからが本題です。

ストレッチ、誰でも一度はしたことありますよね?どんなときにストレッチってやっていますか?

 運動のとき?

 同じ姿勢を長時間していたとき?

 朝起きたとき?

 寝る前?

 ヒマなとき?

 クセ? (笑)

様々な場面でしている行為ではないでしょうか?

ストレッチは、身体を柔らかくするために行っていることが多く、関節や筋肉の柔軟性向上、傷害の予防、血流の増加、姿勢の改善、疲労回復、などが従来の効果として挙げられます。

ストレッチの種類も様々で、静的動的ストレッチ、バリスティックストレッチ、コンパウンドストレッチ、コンプレッションストレッチなどなど。私たち理学療法士では、PNFストレッチやモビライゼーション、筋膜リリースなどがありますが、それぞれを説明すると長くなり趣旨が変わってしまうので、これについてはまた次回。

今回はこういったストレッチの効果に対して

「どんな効果があるの?」

と、あえて疑ってみます(笑)

前置きとしてお話しておきますが、決してストレッチは効果がないものという訳ではありません。ストレッチをすることで身体の中で何が起きているのか、ストレッチの効果を高める方法は何なのか、どんな場面で有効なのか、そういった視点で作りましたので、トレーニーの方やデスクワークでストレッチをされている方のステップアップとなる記事になればと思います。

目次
1.ストレッチの目的って?
2.ストレッチのメリットとデメリット
3.筋肉が硬いとはどういうこと?
4.ストレッチが筋肉を柔らかくする?
5.ストレッチを効果的に行うために

1.ストレッチの目的って?

まず「ストレッチング」と「ストレッチ」この言葉似ていますが

「ストレッチング」とは筋を伸ばす柔軟体操のこと

「ストレッチ」とは ≪伸ばす≫ という意味

ストレッチングは、1970年代に柔軟性を高めるための運動として、アメリカのボブ・アンダーソンにより開発されました。身体をリラックスさせたり疲れをとったり、体調を整える等の目的で行われます。

≪伸ばす≫ という目的のもと、様々な方法があり、場面場面によって狙っている効果が変化します。

例えば

ー 硬くなっている関節を ≪伸ばして≫ 柔軟性を改善させる

ー 動きが硬いので ≪伸ばして≫ 短縮している筋肉を伸張させる

― 動かしている時間が少なく ≪伸ばして≫ 血流を改善させる

ー 運動する前に ≪伸ばして≫ ケガしないよう予防する

ー 筋トレをする準備運動として ≪伸ばして≫ パフォーマンスを上げる

などなどです。

目的が異なるため、状況によっては悪影響を及ぼしていることも可能性として考えられます。ですので、まずはストレッチのメリットとデメリットをまとめていこうと思います。

2.ストレッチの効果

今回のnoteでは、掘り下げた内容にするとストレッチの方法から細かい記事になってしまいボリュームが出すぎるので、出来る限り簡易的にまとめています。

【メリットのお話】

①運動パフォーマンスの向上

②ケガの予防

③関節や筋組織の血流増加

④姿勢の改善

⑤疲労回復効果

⑥リラックス効果

ストレッチにより筋肉またはその周囲の組織を伸張させることで、硬くなっている場所に血流改善をほどこし、かつ関節の可動域をUPさせることで運動パフォーマンスがあがります。また、その結果、慢性的な猫背や腰痛などの改善にも期待が出来、さらには血流が増加し局所的に過剰収縮している筋肉を良好な状態にするため疲労回復やリラックス効果も得られます。
ストレッチによる柔軟性の向上は、筋の伸長反射など中枢神経を介した変化と、局所の組織学的な変化によって起こると言われます。

【デメリットのお話】

①ある程度の筋力がないとパフォーマンスが低下

身体が柔らかいということは、その身体の柔らかさを支える関節の安定性や筋力が必要になります。
例えば、股関節の柔軟性には、体幹の安定が必要不可欠となります。
肩関節がとても柔らかいのに「肩が凝ります」なんていう方は、肩の固定力が低いことによって、身体の不調が出てしまっているという状態と考えられます。

②過度なストレッチをすると筋肉が縮もうとするため逆効果になる

ストレッチによって身体を柔らかくする場合、メリットの部分でも出てきましたが、無理に伸ばすと伸張反射によって筋肉がより固くなってしまうという性質があります。また、無理に伸ばすことで靭帯などを損傷する可能性もあるので、無理のない範囲で伸ばす必要があります。

息を止めて、歯を食いしばりながら行うストレッチは、リラックスには繋がらないということですね。

ここが今回のnoteで伝えたい1点目

ストレッチで効果を出すには、ある程度の筋力が必要

「頑張る」ストレッチは逆効果になる

という訳なんです。
ストレッチをすると言っても、ただやみくもに頑張ればいいわけではなく、運動前にされている方でしたら、過剰なストレッチは避け、痛くなる少し手前くらいの位置で行うことが適切と言えます。
また、デスクワークの方がストレッチをするのであれば、普段から運動不足の方が多いと思われ、比較的筋力の弱い方が多いと予測されます。ですので、ストレッチだけではなく、軽めの負荷でもいいので、スクワットや壁に手を当てての腕立て伏せ、腹筋運動などを生活のルーティンに組み込むことで飛躍的に効果が変わります。

このメリットとデメリット、是非覚えておいてくださいね。

ではでは、ここからはもう少し専門的な内容のお話をしたいと思います。
ストレッチしている時の筋組織について科学的な根拠もたくさん報告されているので、その部分を詳しく見ていきましょう。

3.筋肉が硬いとはどういうこと?


例えば、「筋肉が硬い」という表現が使われた時、どんな状況をイメージしますか?

少し難しい言葉での説明になってしまいますが、炎症後(ケガのあと)の癒着や、組織の線維化(筋肉や関節が硬くなる)、瘢痕化(皮膚など)が強い、CNS(中枢神経系:運動神経・感覚神経・自立神経)の影響など、様々な要因が挙げられます。

ここで注目したいのは

「組織間の滑走機能の低下」

です。

運動時、隣り合う組織(筋肉や脂肪、靭帯、神経などなど)の摩擦を干渉するような役目として、間質腔というものが存在します。

さらに細胞レベルまでイメージを広げていくと、細胞間を埋めている
「細胞外基質」というものがあるんです。

細胞外基質は

タンパク質
コラーゲン線維
多糖類分子
水分
ヒアルロン酸などのグリコサミノグリカン

などから形成されます。

~ここでエビデンスのご紹介~

Quantification of hyaluronan in human fasciae: variations with function and anatomical site.

からの引用文献。

最近、筋膜滑走様運動の変化が筋筋膜痛の病因において重要であるとされてきた。 この主要かつ衰弱させる臨床的問題を軽減するために様々な方法が試みられてきた。 最も重要なことは、筋膜層間の滑走と、骨、関節、および筋肉の構造上の動きを元通りにすることだ。

膜組織間の滑走が今後さらなるエビデンスが出てくるのではないかと思われます。

The fasciacytes: A new cell devoted to fascial gliding regulation.

からの引用文献。

ヒアルロン酸は深筋膜と筋の間で起こり、これら2つの構造の間の滑走を容易にし、また筋膜の緩い結合組織内でも起こり、隣接する線維性筋膜層の滑らかな滑りを保証する。 それはまた深い筋膜の機能を促進する。

どうやら筋滑走様運動にはヒアルロン酸の存在が重要なkeywordになりそうです。

要するに、巷でいう「筋肉が硬い」ということは、その組織の間でうまく滑走が得られていない状況になっていると考えられる、という結論に至ります。

ということは、この滑走が得られていない状態で無理なストレッチをするとどうなるのでしょうか。。。?

筋肉や組織は。。。

「損傷」

という結末を迎えてしまいます。
ストレッチを頑張りすぎると、翌日に痛みがあったりするのは、軽度の損傷が起きているのかもしれません。
組織間の滑走が乏しい時は、ヒアルロン酸が乏しいとも言えそうです。

以上のことから、柔らかい筋肉というのは、「ヒアルロン酸が豊富で、運動時に組織の間で滑走が起きている」と考えます。

ではヒアルロン酸って、どのように摂取すればいいのか。

よく膝が痛い方が整形外科に受診に注射を打たれています。あれはヒアルロン酸を直に関節内へ注入するので、あれを体中に打つわけにはいきませんよね(笑)。

食事で言えば、ヒアルロン酸はヌルヌル、ネバネバの食材に含まれています。代表されるのが、「ムコ多糖類」と呼ばれる物質です。ムコ多糖類は、ヌルヌル、ネバネバが特徴。
動物性の食品では、鶏の軟骨、鶏手羽、豚足、鮭やカレイ、魚の目、フカヒレ、うなぎなどに多く含まれます。
食物性なら、山芋やオクラ、納豆、もずくなどネバネバの食品がムコ多糖類を多く含む食品です。
これらの食品を食べると、肝臓で単糖に分解された後、体内でヒアルロン酸が合成されます、ただし、食品に含まれるヒアルロン酸は、分子が大き過ぎて体内で吸収するのが難しいものも多いのです。もっと効率的にヒアルロン酸の潤い効果を実感したいなら、吸収されやすい低分子のサプリメントを飲むのもひとつの方法ですね。

参考にしていただければと思います。

4.ストレッチが筋肉を柔らかくする?

ストレッチはやり方によって効果的にもなるし、逆効果にもなることが何となくイメージついて頂けたでしょうか?
これまでの内容で「柔らかい筋肉」の条件が見えてきました。

どうやって、その状態にするかが次のポイントです。

ヒアルロン酸が豊富であることが条件の一つでしたが、ヒアルロン酸の性質で特徴的なものとして水分子との親和性が挙げられます。

様々な研究からも、組織の弾性には水分含有量の影響が報告されています。

ストレッチにより結合組織の水分含有量は減少し、時間の経過とともに再び増加していくのだそうです。
(絞ったスポンジが再び水を吸うように)

水分の移動によって運動に対応していると考えます。

運動後に「柔らかくなった」と感じ、時間が経つと「元に戻った」と感じるのはこういった液体の動きが関係しているかもしれません。

組織間の滑走には細胞外基質に含まれるヒアルロン酸、水分が重要な役割を担っていると、先ほど予測しました。

その細胞外基質の構成物を生成する「線維芽細胞」は機械的刺激(ストレッチなど)に反応します。

これらの情報をまとめていくと「ストレッチのように機械的な刺激が組織の線維芽細胞に加わることで、ヒアルロン酸などの細胞外基質が増えることが予想できます。

そこに水分を届けることができれば、組織間の滑走が容易になる条件が整います。

5.ストレッチを効果的に行うために

つまり、「じっとしている」ことや「体内の水分量不足」は、筋肉の伸張性を阻害し、身体に有害な状態を作ってしまうということですね。

一時的なストレッチや徒手的(マッサージなど)な関わりによって水分含有量は変化します。

しかし、戻ります。

このnoteで伝えたい2点目がコレ!

ストレッチで効果を得るには、水分摂取も同時に意識すること

ストレッチの効果を維持・改善するためには、筋トレのように週2~3回、高負荷の運動をするのではなく、軽いストレッチで高頻度(週5~7回)行うことが大切になります。
あとは、デスクワークなどで普段動きが少ないお仕事をされている方は、30分に一度は背伸びをしたり、立ちあがって少し歩いてみたり、ストレッチ以外の運動も重要となります。

ではポイントをまとめます。

★ストレッチは筋肉を柔らかくする目的で行われることが多い。

★ストレッチの効果はやり方次第で大きく異なるためメリットとデメリットを理解して行う事。

★筋肉が硬い原因は組織の滑走がうまく機能していないから。

★滑走を円滑にするにはヒアルロン酸が豊富に含まれているかが重要。

★ヒアルロン酸だけでなく、水分摂取も合わせて重要。

★ストレッチは高負荷・低回数ではなく、低負荷・高頻度で行う。

トレーニーの方、デスクワークが主体のお仕事の方、普段からストレッチをされている方、していきたい方、いろんな方がこれを読んで少しでもHAPPYな生活の手助けになれると嬉しく思います。

最後まで読んで下さってありがとうございます。

それではまた。。。

              Pちゃんより

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