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もしいつか、橙色を見かけたら。

もしいつか
橙色を見かけたら
思い出して
ほしいのです


ながいことあなたと
ご一緒ができて
わたくしはとても
しあわせでした

霜がきらきら凍る朝
雲間から差す金の筋
輝く夜の入道雲
黙った湖のおもて
小雨にふれてちる櫻


今日のあさあなたは
わたしに言いました

わたくしが
ちかぢか鉄に
なるということ

わたくしは
嬉しかったのですよ
ふしぎに

ただの機械のわたくしに
おわりの日のこと
おしえてくれて

 

でももっと
うまいことできず
ごめんなさい

本当はもっと
あなたを乗せたくて

うまいことできず
こわれてしまって
ごめんなさい

わたくしは
あなたの車で
しあわせでした

もしいつか
橙色を
見かけたら
思い出して
ほしいのです

あなたの車
わたしのことを


もしサポートして頂けた暁には、 幸せな酒を買ってあなたの幸せを願って幸せに酒を飲みます。