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永遠
永遠はない。と多くの人はそう言う。
でも、私はあると思う。
私は本当に幸せな人生を歩んできた。すこし感情的だが、子供の事を一番に考える母親。そして、すこし論理的だが、子供の事を一番に考える父親。これほどまでにいい親がいるだろうか。と言うくらいの両親だ。
親も親なら、祖父母も祖父母で愛にあふれていた。
父方の祖母は、とても笑顔が素敵なおばあちゃんで、私が盆や正月に家に帰ると「よう帰ったなぁ」といつも嬉しそうにしてくれた。料理も上手で美味しいものを食べさせてくれた。
そんなおばあちゃんが、今年の春に亡くなった。
身内が亡くなるのは初めての事だったので、火葬の後はすごく不思議な感覚だった。
今までいた人が、この世界に跡形もなくいなくなるのだ。この世界に存在していた「意識」がなくなってしまったのだ。
もう経験したくないほど、どんよりしていた。すごいダメージだった。
母方の祖母も、いつ亡くなるかわからない状況にまで来ている。
私に取っても第二の母と言えるほどお世話になった。すごく厳しい人で嫌いな時期もあったけど、共働きの我が家に毎日のように私たち兄弟の面倒を見に来てくれていた。今のベースは間違いなく母方の祖母から授かったもの。
そんな祖母が、永遠に会えなくなってしまうところまで来ている。
永遠だ、本当に永遠に会えなくなる。
一方で、私は親元を離れ一人暮らしをしながら、体育会の部活に属し、ラストシーズンの中で一番大事な試合を控えている。今チームはいい感じで、ここは頑張りどころだ。
しかし、祖母とは永遠に会えなくなるのだ。できる限り、そばにいたい。そばでなんでもいいから、話していたい。
そんな時、母親から一通のメール。
祖母の病室に行こうとしたら、看護婦さんが点滴を持って出てきた。看護婦さんが母に気づくと、「点滴はしないというんです。」と言ったそう。その後、「自分の力で生きるの」といったんだそう。目が半開きで、声もほとんど出ないような状態の祖母。そんな状態で、他人、点滴の力を自ら拒み自分の力で生きる事を選ぶという事がどういう事か。
私は、はっとした。祖母に「私にかまってないで、あなたはあなたの人生を、目標を全うしなさい。」と言われている気がした。
人には徹底的に尽くす祖母である。しかし、人のお荷物になるのもここまで徹底的に嫌うのか、と驚かされる。
私は私の人生を全うし、社会に奉仕する。
それが、祖母が私に残してくれた永遠の学びだと考えるから。
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