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PMは何を求めて転職するのか。転職理由あるあるTop3

はじめまして。クライス&カンパニーの山本と申します。
第2弾noteのテーマとして、

・PMのみなさんがなぜ転職したいと思うのか
・何を求めて転職という選択肢を取るのか
・現職で何を悩んでいるのか

をお伝えしたいと思います。

というのも、PMのみなさんのキャリア相談にのっていると、

・自己流でやってきているので、このままでいいかわからない
・自社しか知らないので、こんな理由で転職していいものなのか
・この悩みは我慢すべきことなのか、転職に足る状況なのかわからない

こんなようなリアルな声を聞くことが珍しくありません。

弊社ではこの1年間で約300名のPMの方とお会いしています(ジュニア/シニア/CPOクラス含む)。
様々なPMの方の声を聞いている我々だからこそ、今のPMの実態を示す情報をお届けできればと思っています。


■転職理由Top3


早速ですが、山本が独断で集計した「転職理由Top3」は以下の通りです。

・1位:優秀なPM、ロールモデルとなるPMがいない
・2位:経営陣がプロダクトやユーザーファーストではなく、売上ファーストの方針である
・3位:Howしか関われない。Why / Whatに関われない

厳密な集計は取っていませんが(いずれ集計してレポートを出す予定です)、肌感ではこの3つで7~8割は占めているのではないかと思っています。
もちろん複数理由が重なるケースもあります。


それでは1つ1つ解説していきましょう。1位からいきます。


■1位:優秀なPM、ロールモデルとなるPMがいない


転職市場を見ていると、PMという職種が大きくマーケットで認知/使用されはじめたのは、2019年頃。いっきに拡大したのは2020年だと思っています。

その前から、PM的な仕事が存在した企業もありますし、「Webディレクター」という職種名がいつのまにか「プロダクトマネージャー」に変わっているケースも珍しくありません。

2021年の今ではPMというポジションが市民権を得て、組織としても2桁人数のPMを抱える企業も出始めました。

しかし、世の中にあるITサービスを展開しようとする企業(スタートアップ~大企業まで)のうち、その組織を引っ張り、後輩を育て、体系的な仕組みを整えられるPMがいる組織はごく僅かです。

ほとんどの企業は、

・PMっぽい動きをしてきた人がいるか、
・「君が1人目のPMとして頼むよ」と言われた人しかいない


状況です。

極稀に、PMレベルの高い企業から転職してきた「師匠となりえるPM」がいるスタートアップもありますが、これは一握りです。
そして、世の中のほとんどのPMが実際は孤軍奮闘で、もしくは「このやり方って違うんじゃないの?」という疑問を感じながら、毎日プロダクト開発をしているといっても過言ではないと思います(2021年10月現在)。

特にPMの方々はエンジニア出身の方も多く、エンジニアの方は他のどの職種よりも「師匠」を求める傾向にあります。

なぜなら自分が成長していくことが価値貢献であり、成長できなくなった瞬間に叩き売りされるという恐怖心があるからです。
そのため、事業側の職種の人よりも、師匠を求める傾向が強く、モデルとなる師匠を探す転職になるのだろうと思います。


~~~~【そんな思いを抱えている方へのアドバイス】~~~~

師匠やロールモデルを探しているPMの方には、我々から見て、師匠やロールモデルとなりうる方がいる企業をご紹介しています。
具体的には、

・そもそもお人柄が素晴らしく、お話ししていて尊敬できる
・部下や後輩の育成について個人として強い関心を持っている
・自社のプロダクトのあるべき姿、課題、どういった人を採用したいかが非常にクリアに言語化されている

といった面をお持ちのPMがいらっしゃる企業をオススメしています。



企業選定のアドバイスは、もちろん「師匠がいるかどうか」だけで決めるべきではありませんが、こういった悩みを抱えている方の次のステップとしては非常に良いのではないでしょうか。


■2位:経営陣がプロダクトやユーザーファーストではなく、売上ファーストの方針である


これは非常に悩ましい問題です。
PMは、ユーザーの声を聞き、ペインを理解し、適切なソリューションをプロダクトを通じて提供する人、であるとは思いますが、だからといって慈善事業であってはなりません。

理想像を追いかけ、無償でユーザーのペインを解決する存在は、PMとは言えないと思います。

しかし実際の声を聞いていると、

「ユーザーから大きな不満が出ており、解約も出始めているが、目先の売上のための開発を急かさせる」

「売上を見なければいけないのはわかるが、セールス&マーケへの投資が中心で、プロダクト開発に投資をしようとしない」


といった声が聞こえ、ユーザーが後回しになっている状況に幻滅している人が少なくありません。

なお、こういった不満を抱える方々の声をさらに聞いていくと、
・ユーザーインタビューはほとんどしていない
・事業計画ありきで、それを達成するための開発計画が一方的に降りてくる

といったような現象も同時発生しているようでした。

PMとは、「誰よりもユーザー、プロダクトのことを考え続ける存在」と言われることも多いです。
そんな人種の人たちにとって、ユーザーが置き去りにされる状況は、耐え難いものだと思っています。


~~~~【そんな思いを抱えている方へのアドバイス】~~~~

軽いトーンでいうと「ユーザーファースト、プロダクトドリブン会社を選んだほうがいい」というアドバイスになります。
ただ、その会社を見つけるのが非常に難しいですよね笑

以前弊社の及川にも同じ質問をぶつけたことがありました。「どうやって見極めればいいですか?」と。そこで返ってきたのは、

・正直見極めるのは簡単ではない
・しかし、経営者やプロダクトトップが出ている記事やプログなどをよく読むと、ユーザーやプロダクトを大事にしているか、事業を大事にしているかがなんとなくわかってくる

というアドバイスでした。また別の話題で出てきた会話では、

・ウォーターフォール型組織よりも、アジャイル型組織のほうがプロダクトドリブンになっていることが多い(とはいえ、ウォーターフォールが全てダメというわけでは全くない)

という視点も出てきました。

加えて、普段PMの方々との面談を通じ、我々自身もこの問いをぶつけてみることもあるのですが、

・ユーザーインタビューの仕方や頻度を問う
・プロダクト開発の要望を誰がどうやって挙げているかを聞く
・KPIがどう設定されているかを確認する
・開発内容は誰がどのように決めているかを聞く

といった質問を面接や面談時に直接ぶつけていくことで、プロダクトドリブンかを見極める1つの材料にしていることもあるようです。
パッとしない内容で大変申し訳ありませんが、少しでも参考になれば幸いです。


■3位:Howしか関われない。Why / Whatに関われない


この理由もよく聞く点なのですが、比較的大手IT企業に多いのが特徴かもしれません。
というのも、アジャイル型ではなく、昔からのウォーターフォール型の開発をしており、WEBでの広告課金型モデルや、メディアモデルをしている企業ほど、この構造になっています。

そういった企業では、組織構造として、

・事業企画人材がその事業の計画、PLづくり、プロダクトの方向性を決定し
・PM人材(旧Webディレクター)が、その方針に沿ったプロダクトの要件を決め
・開発チーム(エンジニア)が実際に手を動かして作る

というまさにウォーターフォール型の片方向で流れるプロセスで開発されているケースになっているためです。

そのため、PM人材は、事業企画人材から落ちてくる計画に基づいて、淡々と機能を作り込んでいくことが多く、

・なぜ、何にユーザーは困っているのか
・何があればユーザーのペインを解消するのか

という点をPM自身が携わっていけないという、役割分担が発生しているようです。

これはまさに「Webディレクター」であり、プロダクトマネージャーとは言えないと思っています。
こういった「実際はWebディレクターなんだけど、求人名はプロダクトマネージャーになっている案件」、実はかなりマーケットに存在しています。
「PMブームに乗っかろう」的な動きもあれば、違いをよく理解していないままポジションを作るケースなど、背景はいろいろです。

いずれにせよ、転職活動時にはこういった案件をいかに避けるかが大事になってきます。


~~~~【そんな思いを抱えている方へのアドバイス】~~~~

ここでもやはり、「アジャイル開発をしているか」という確認は有効です。
また、個人的には「PMはどんなKPIを持っているか」という確認に意味があるのではないかと感じています。

というのもWebディレクターやプロジェクトマネージャーはKPIを負っていることが珍しく(納期は除く)、PMが正しく位置づけられている組織では、PMがKPIを持っていることが多いためです。


いかがでしたでしょうか。
だいぶ長くなってしまいましたが、少しでもPMのみなさんが抱える問題を、業界として解決していけたらと思っています。
これからもこういった「PMあるある」は発信していきますね。

最後までお読みいただきありがとうございました。

※2022年5月31日追記
PMキャリアに関するポッドキャストも始めました!
是非ながら作業中などにお聞きいただければ!


クライス&カンパニー プロダクトマネージャー支援チーム 山本

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