見出し画像

LEONE #5 〜どうかレオネとお呼びください〜 序章 第3話 1/4


序章:Running On Empty

第3話  手術の後 目覚め


セロン・レオネとタリア。二人が階段を降りて、手術室があるフロアに着いたころには、すでに約束の時間を2分超えた後だった。もちろん、この旗艦内に遅刻を理由でセロンに文句を言える人は存在しなかったが、彼は自分自身が時間の約束を破る行為自体が嫌いだった。セロンは少し焦りを感じながら急いでタリアと別れようとした。

「あの、タリア」

「えぇ。時間だってことよね。わかってるわ」

彼女の声には、いつもと変わらない悪戯っぽさが戻っていた。彼女は親指を立てて天井の方を指した。

「あの上のフロアのスクリーンであなたの手術を見届けるから。もし何かが起こりそうだったら、すぐに措置をするから心配しないで」

「……それはとても心強いです」

セロンはタリアがまるで肝っ玉母さんのようだという感想を飲み込んで、苦笑いをした。

「では。3時間後に会いましょう」

「えぇ。あっ待って」

タリアが行こうとしたセロンの腕を掴んだ。怪訝な顔で振り向くセロンの手に、タリアは親指ほどの大きさの神像を渡した。

「もともとはこれを渡すつもりだったの」

タリアは笑いながら話を続けた。

「これはゼインが私にくれたものなの。幸運をもたらすそうよ。これで手術してる間少し安心できるんじゃないかしら?」

しばらくの間、セロンは無言で手のひらに乗せている神像を見つめた。彼は最後にタリアの顔を見た後、その神像を大事そうに握って言った。

「ありがとうございます。タリア」

前のページに戻る  続きを読む


著者プロフィール チャン(CHYANG)。1990年、韓国、ソウル生まれ。大学在学中にこの作品を執筆。韓国ネット小説界で話題になる。
「公演、展示、フォーラムなど…忙しい人生を送りながら、暇を見つけて書いたのが『LEONE 〜どうか、レオネとお呼びください〜』です。私好みの想像の世界がこの中に込められています。読んでいただける皆様にも、どうか楽しい旅の時間にできたら嬉しいです。ありがとうございます」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?