第3回 投資のリスクは「分散」で抑えよう
この記事でわかること
投資のリスクはリターンに比例する
「第2回 資産運用の「リスク=危ない」ってホント?」で、投資にはさまざまなリスクがあることを説明しました。リスクとは、収益であるリターンが不確実であることを意味します。その振れ幅が大きいことをハイリスク、小さいことをローリスクといいます。
投資におけるリスクはリターンに比例します。リターンが大きければ大きいほど、その分リスクも大きくなります。ローリスクでハイリターンだけを得ることはできません。大きなリターンを得ようと思えば、それ相応のリスクも覚悟しなければならないのです。
ただし、投資のリスクは工夫することで、ある程度コントロールすることができます。そのキーワードが「分散」です。投資対象や時間を分散することによって、リスクを軽減することができるのです。
投資の世界には、「卵は1つのカゴに盛るな」という格言があります。これは、1つのカゴにすべての卵を入れておくと、そのカゴを落としたときに全部割れてしまう、という戒めの言葉です。これを避けるには、別のカゴに卵を分けて入れておくことが必要です。そうすれば、もし一方のカゴを落としても、別のカゴの卵は割れずに済むからです。
資産運用には、株式、債券、金(ゴールド)など、さまざまな投資対象があり、それぞれ違う値動きをします。資金を株式だけ、また債券だけなどに集中させると、それが不調だった場合に総崩れになりますが、いくつかに分散しておけば好調な分野がカバーしてくれる可能性があります。
保有株は値動きの異なる業種に分散
株式投資を行う際も、たとえばA社の株に資金のすべてを集中させてしまうと、もしA社に何か問題が起こって株価が下落した場合にダメージが大きくなります。でも、A社、B社、C社と分けて買っておけば、たとえA社の株価が下落して損失が出ても、B社、C社の利益で相殺できる可能性があります。
なお、銘柄を分ける際は、株価の傾向が違う業種に分散した方がより効果的です。同じ業種の銘柄だと、業界の動向によって株価が同じ方向に動きがちです。それではリスクを減らす効果が期待できません。したがって、たとえば景気に敏感な小売業株と、比較的景気に左右されず動くインフラ株など、値動きが異なる業種の銘柄に分散するといいでしょう。
投資対象だけでなく、購入する時期(時間)を分散することもリスク軽減につながります。日々刻々と価格の変わる金融商品は、買うタイミングによって収益が大きく変わります。たまたま高いときに大量に買ってしまうと、その後価格が下がった場合にダメージが大きくなります。
でも、資金を一気に投じるのではなく、何回かに分けて購入すれば、そうしたリスクは避けられます。価格が下がったときに多めに買えば、その分平均購入単価を下げることが期待できます。
時間分散に効果的な「つみたて投資」
タイミングを分けて投資を行うのに最適な方法が「つみたて投資」です。毎月数千円とか数万円ずつ、あらかじめ選んだ投資信託や株式などを購入していくやり方で、一度設定すれば自動的に積み立てられるので、手間いらずです。
第1回でも触れましたが、投資は期間が長ければ長いほど大きな成果が期待できます。ただ、リスクを恐れて「なかなか始められない」とか、「いつ始めればいいのかわかない」「まとまった資金がない」という人も少なくないでしょう。
そういう人にとって、少額ずつ、タイミングを分散して行えるつみたて投資は、リスクをコントロールしながら始められる資産運用の「はじめの一歩」といえるのではないでしょうか。
記事作成日:2023年2月2日
関連リンク
PayPay証券株式会社
https://www.paypay-sec.co.jp
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第2883号