文学フリマで京都に行ってきた

さて、今回は前回のnoteの続きであり本編であ る。いよいよ文学フリマの日がやってきた。
前回のnoteで書いたように、僕は初めて文学フリマに参戦した。いや〜、もうものすんごい楽しかったですよ。
たぶん出店者さんたちはみんな、この文学フリマにかける思いが強い。クリエイターの力強さというか、作品にかける思いというか、そういうものを生で、販売しておられる姿からわずかながら垣間見えたものがあった。もちろん僕の目には見えないところで努力を重ねて、そしてなにより創作を楽しんでされておられるんだろうなぁというのがわかった。や〜、いい経験でしたね。

そもそもこの文学フリマ、存在を知ったのがつい先日、去年の12月にとあるバズツイートから知ったものである。そんな僕が参加して興奮しない、感動しないわけがないのである。もう入る前の段階から、いや、家を出るときから興奮しすぎて電車に酔いそうになったぐらいだ。

今回の文学フリマ京都7、出店ブース数はおおよそ500ブース、参加者数は出店・来場者数合わせて2424名らしい(公式発表による)。参加者数はなんと、コロナ前も含めた過去最多の参加者数になった。コロナをもってしても、創作に関わる人の熱は全く冷めなかったということだろう。

さてさて、今回初参加の僕は、公式サイトで下調べをして、行きたいブースにチェックも入れて出来うる限り万全の状態で行った。参考にしたのはほとんど公式サイトだけだったが、下準備はそこに書かれたことをしておけばそれ以上は本当にいらないと言っていい。参加者ならではの"あれ持って行っとけばよかった"がなかったのは本当に、主催者さん側が参加者のニーズをよくわかっていらっしゃる。
そもそも、公式サイトに書かれてることがね、もう十分すぎるんですよ。かゆいところに手が届くどころか、痒くないのに孫の手を出してもらってもしよろしければ私が掻きましょうか?ぐらいの勢いで来てくれるのである。本当に助かりました。ありがとうございます。

そして、忘れてはならないのは、熟練文学フリマerさんに参加の心得を教えてもらおうと思って呟いたツイート に反応してくださった、小柳とかげさんである。とかげさんは出店者側でありながら、初めて参加する僕に必要なものを教えてくださいました。この場を借りてお礼申し上げます。小柳とかげさん、ありがとうございました。ぜひぜひ、これからも仲良くしていただけると幸いです。

そんなこんなで準備をした僕は、会場で本当にいろんな本に出会った。短編集や短歌集、小説などなど、たくさんの"文学作品たち"が今日のために用意され、僕を待っていてくれた。しかもそれを売る人たちはひとり残らず生粋の創作好き、また本好きさんたちである。本当にすごいところだよここは。

そもそも本好きというものは、なかなかお互いに会話をしようとはしないというのが僕の思うところである。基本的に自分の好きな作品の中の世界や自分の書庫に籠もり、そこからはあまり出ない。外界に出たと思えば本屋さんでひたすら自分の好きな世界を探す。そういうものだと思っている。しかも、そのたまに外に出たタイミングで他の本好きと会話を交わそうとは全くしない。だから本屋さんはいつだって店内のBGMが流れるだけであり、他の音は環境音しか聞こえない。
それがこの文学フリマでは全くひっくり返る。静かにというよりはむしろ、誰かと喋ることでしか本の世界に触れることができない。そういう場所である。本を買おうと思えばそれぞれのブースに向かって少なくとも「これください」は言わないといけない。
そんなところで僕は、今回20冊程度は買ったと思う。本当にどれも素晴らしく、優劣など付けられない。普段手に取る本にもこうやって作った人がちゃんといるんだなぁと実感できる。

そして、今回僕がこだわっていたのはその作品の「手作り感」である。もちろん全ての作品がそうではないけど、いくらかの作品はその「手作り感」を求めて買ったものがある。ワープロソフトで打ちました感満載の作品たちに、パンフレットのような紙だけの作品に、糸で綴じられた作品。どれも所謂新刊書店ではなかなか手に入らない貴重なものだ。これは僕が手作りのものが好きという理由もあるけど、それとは別に、将来僕が作品を作るようになったときのことをイメージしやすくするという目的もある。
僕は前回のnoteで書いたように、将来はあのブースに自分も座るという思いを持って参加した。そして、今回の参加を通してやはり作りたい、自分の作品を作ってたくさんの人の目に触れたい。そういう思いがより一層強まった。
別にそれが誰一人目もくれなくても、買ってくれなくてもいいんだ。それでも作品を作って出してみたい。そう思ったんだ。
今日見て回った中でも、人気がありすぎて早々に整理が必要なほど列を作ってるブースがあったり、その傍らで寂しそうに創作者さんが佇んでるブースもあった。でも、どの人もそこで店を構えてる顔は作品への思いが出ていて本当に素敵だった。

僕が先日買った本に、「継続するコツ」という本がある。これはnoteやTwitterで前にも書いたように、僕の心を動かしてくれた坂口恭平さんの本で、この本ももちろん僕の心を揺さぶりまくってぐちゃぐちゃにしてくれた。創作への思いを強めてくれた本である。
その作者である恭平さんはこの本を通じて、僕らに創作することの楽しさと、それを継続することの喜びを伝えてくれる。彼は決して有名ではない。そう本人の著書やnote、Twitterでは言う。しかし、彼にとっては有名になることは単なる副産物に過ぎず、本当の目的は自らの大好きな創作活動を続けるということだそうだ。
僕が今回の文学フリマで見た出店者さんたちの顔は、この喜びの表情で満たされていた。人気かそうじゃないかが目に見えてはっきりとわかるこのイベント。それでも出店する勇気を出し、愛する作品とともに購入者を待つ。そんな彼らは本当に勇者であり僕にとって尊敬するべき人たちだ。
僕はこのイベントが終われば、田舎町に戻って農業に精を出す日々がまた戻ってくる。農業は僕が一番好きな"創作活動"なわけだけど、収穫した野菜を誰かにあげるときにはやはり誇らしい気持ちで、心の奥底からじんわりとした喜びが溢れてくる。これは大金を積んでもなかなか手にすることができない貴重な感情で、この感情があるから僕は野菜作りを続けられる。たぶん創作者さんたちもそうだと思う。
これを、今の僕は田舎町でひっそりと農業を続けることで得ているけど、いずれは僕の妄想で行った世界に案内することで得られればいいなと思う。

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