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「魅惑の心理」マガジンvol.45(買い占めの心理学)

ツイッターでトイレットペーが品薄であるというデマを発端に、人々がドラッグストアや薬局に溢れ、消耗品を一斉に買い占めを行いました。その後、デマであることがわかった後も、買い占めは保存食品にまでおよび、一斉にスーパーの棚が空になりました。私は手で持てないほどのトイレットペーパーを抱える人に何人もすれ違い、その表情から鬼気迫る何かを感じました。

買い占めが起こった原因は、デマがきっかけでしたが、ここしばらく続いているマスクの品薄、そしてイベントの自粛要請、そして全国に広がった小中高学校の休校が影響を与えているのは間違いないでしょう。買い占めに走る人の心の中にあるの「不安」です。それも強烈に強い不安です。この不安の元になるのは、どんな心理なのでしょう。そして私たちは何をしていくべきなのでしょう。

※3月25日には東京の外出自粛が出て、翌日には首都圏のスーパーから食料品が消えました。午前中から大勢の人がスーパーに押し寄せたといいます。

今回の「魅惑の心理」マガジンは、買い占めをしてしまう心理について解説していこうと思います。

ポーポー・ポロダクションは2013年に書いた書籍『「器が小さい人」から抜け出す心理学』の中で、買い占めをする人のメカニズムと対策を書きました。人の中にある不安要素は高まっていて、こうした人が増えてくることを危惧していたからです。この傾向は止まるとはないと考えられますし、次第に高まっているように思えます。

○買い占めをするメカニズム

災害、品薄のニュースが入ってくると突然、われ先にと買い占めに走る人がいます。それも大変多くの人がそうした行動に出ます。かなりの量がないと不安になり、大量の買い占めへと突き動かされます。この心理背景にあるものの一つがものが揃っていないと、大変なことになるという強迫観念です。そして誰かに取れられてまうという強い不安です。買い占めをしてしまう主要因は主に3つ。どれも最近の人たちに増えている強い心理傾向です。それは

・現状の変化を受け入れられない心理「現状維持バイアス」
・未知のものを怯える心理がある「不安障害」の増加
・損をするのを避けようとする「損失回避性」

です。これらのメカニズムを詳しく見て、その対策について考えていきましょう。


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