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実は難しいインタビューの極意       -基本編-

動画スクールPAVIOSの大林です。
教室では、現役ディレクターの立場から動画に関する様々な技術を教えていきたいと思っています。

今日は、『インタビュー』について取り上げていきます。

今、様々な動画が世に溢れていますが、
その中でも、ポピュラーなのが『インタビュー動画』です。

カメラに向かって質問に答える形で進んでいく動画です。
テレビ番組では、「徹子の部屋」や今でいうと「しゃべくり7」や「あちこちオードリー」などもインタビュー構成の番組です。
YouTubeのチャンネルでは、「街録チャンネル」であったり、その他数え上げたらキリがないほどあります。

シンプルで作りやすいし、視聴者にも受け入れられやすいので、
是非、やってみようと考えている方も多いと思います。

しかし、いざやってみると結構難しいことが分かります。

■インタビュー動画 よくある失敗

そこで、主にインタビュアー(インタビューする人)がよくおかしてしまう失敗についてまとめてみました。

①相手が「はい」しか答えない。
 いろいろ質問してみても、「はい」「いいえ」など、
 短い返答しか返ってこない。

②意図した答えが返ってこない
  質問をしても、自分が意図するような答えが全然返ってこない。
  別の内容の話を延々とされてしまう。

③編集してみると、使えなかっ
  現場では話が聞けたと思ったが、編集してみると全く意図した
  内容ではなかった。

■インタビューの基本

 インタビュー動画を作成する上での大前提として、インタビューを受ける人(取材対象者)のスキルが大きく関わってきます。
いわゆる話し上手の人、あるいは人前で話し慣れている人とでは全然違います。話慣れている人は、こちらが意図したことを察知して勝手に話してくれたりします。しかし、極端に話し下手な人は、どんな対策を練ってもなかなか難しいのが現実です。
 ですから、インタビュー術というのは存在しませんが、その中でも、基本的な技術はあります。動画制作25年で得た私なりのノウハウの一部をご紹介します。

①相手に言葉を話してもらう質問

まずは、わかりやすいNG質問はこんな感じです。

 Q ここのお店の隠し味は、味噌ですか?

 こんな質問をされたら、相手は「はい」としか答えられません。
いやいやそんなアホな質問しませんよ、とお思いの方もいらっしゃるかも知れませんが、敢えて極端な例を挙げているだけで、これに近い質問をしている人を私は何度も見ています。話を聞き出したいばかりに、答えやキーワードを言い過ぎてしまうケースです。
 それでは、どんな質問の仕方がよいのか?
 普通に考えたら、こんな質問になります。

 Q ここのお店の隠し味はなんですか?

 こういう質問の仕方をすれば、「はい」か「いいえ」以外の答えを得ることはできます。しかし、意図した答えになっているかどうかは分かりません。

② どんな意図で質問するか整理する

意図した答えを得るためには、まず、インタビュアーは何のために取材対象者にインタビューするのか、考える必要があります。
取材意図、目的を明確にするのです。
 例えば、お店の取材であれば、どんなお店か、どんなメニューがあるか、隠し味を聞くならばどんな答えを得れば、視聴者が面白いと思ってくれるか。意外性のある答えを引き出せるか。取材前に想定しておきます。

 例えば、有名なイタリアンレストランを取材して、シェフの隠し味を聞く場合。事前に隠し味が「味噌」だと分かっている場合、私ならこんな質問の仕方をします。

Q この動画では、視聴者の人がアッと驚くようなシェフの隠し味を
 お聞きしていますが、
 〇〇さん、一般の人が意外と思うような隠し味ってございますか?

 上記のような質問をしても、「味噌です」しか出てこない場合もあります。しかし、大抵は「隠し味って言えるかどうかわからないけど、味噌かな」など、少なくとも自然な答えを引き出せる可能性があります。

③補足質問をする

1つの質問で聞きたいことが全て聞き出せるとは限りません。より深掘りするために補足質問をしていきます。どんなときに補足質問をした方がよいかというと、私の場合、「答えは引き出せているけど、具体的な話が聞けていないな」と思うときにします。
 例でいうと、隠し味は「味噌」だという答えは引き出せているけど、味噌をどんな風に隠し味として使っているかは聞けていません。この具体例がないと、編集のときに困ります。ですから、こんな補足質問をするのです。

Q 味噌ですか…
  イタリアンに味噌って本当に意外ですね。
  どんな料理に味噌を使うんですか?

 ポイントは、話をきちんと受けるということです。
「イタリアンに味噌って本当に意外ですね」受けの部分です。
この受けは視聴者の代弁です。
取材対象者と「味噌がイタリアンでは意外だ」という一般的な感覚を共有するのです。そうすると、もしかしたら味噌以外のものも引き出せるかも知れないからです。シェフにとっては、「こんなことが意外だったら、まだまだあるのにな」と心の中で思ってくれる可能性もあります。
運が良ければ、
「ここだけの話、顆粒だしも使ってるんだよね。これ言っていいかな」
みたいな話も出てくるかもしれません。

今日は、インタビューの基本として、「相手に話してもらう質問の仕方」「意図を伝える」「話を受ける」3つのことをポイントにしてお話ししました。

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