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検査異常パターン出現の順序性 と 個別性

順序に何の意味があるのかと思われる方もいらっしゃるかと思いますが、ひとは歳を重ねつつ変化してゆき、パターンプロセス上の位置は、自分の過去とのつながりで存在します。

また、将来を予測し個人の生活習慣の改善ポイントや具体的な目標などを指摘するためにも現在に至るまでの経緯の解釈が重要で、今までの検査結果の履歴(データプロフィール)のパターンの推移の中に多くのヒントが含まれています。

健診を受けると各検査の判定結果が存在し、判定というからには正常と異常を分つ基準値なるものが存在します。基準値を超えた検査項目同士の関係から考えたのがパターンプロセス理論で、検査異常パターンの出現に強い法則性があるのがポイントです。
以下が、現時点のパターンプロセス(男性)の概要を示した図です。

続けて健診を受けていますと、自分自身の結果も変化してゆきます。ついつい悪いとされる項目だけに目がいきがちですが、基準値を超えたということで検査結果全体を見直すと異常パターンが存在し、今までの結果の中に順序性が存在します。

パターンプロセス上では、生活習慣型項目から始まり素因型項目につながってゆきますが、現実には、素因型項目から始まる方々もいます。素因型とするLDLコレステロール(LDL-C)、血圧、耐糖能(HbA1c)などの異常を最初から指摘される方々で、ここでは1型と定義します。高LDL-Cは基本パターンにも含まれており、本来加齢とは関係のない素因と考えられます。 Note 「高LDLコレステロール血症の男女差の意味するところ」 参照。

素因型3項目は、肥満とは関係なく存在し、最初から存在しますから、体質として認識されやすいのですが最初から治療を要するほどの方は稀です。

ほとんどの方々は、生活習慣の問題で生活習慣型異常(GPT γGTP 中性脂肪)が出現するような体重増加が開始すると、検査値が上昇し、要治療判定の領域に入ってゆきます。20〜30歳代の若年の重症化例は1型のパターンの生活習慣悪化および体重の急増例に多く含まれますが、それ以降は2型のパターン(後述)でも増加してゆきます。
パターンプロセスは、構成する64群の平均年齢と平均BMIの関係ですので、素因型で始まる高血圧、耐糖能、高LDL血症単独異常群は、パターンプロセス上では正常群よりも高齢側の途中経過の中に含まれてしまいますので注意が必要です。

いっぽう、生活習慣型異常が出現し、以降素因型の高血圧、耐糖能異常が加わってゆく方々、ここでは2型と定義します。2型は、パターンプロセス上の推移そのもので、素因型項目の悪化はやや緩徐ですが個人差が大きく、生活習慣の影響を受けやすい(裏を返せば生活習慣の改善で進展を予防しやすい)のが特徴です。

各異常パターン群内における個別性

パターンによって肥満に多いもの高齢者に多いもの、その逆などなど存在位置に違いがありますが、ひとつのパターン群内でも、自分自身のパターンの位置を見てみると、実際はもっと若い方、歳とっている方、太っている方、痩せている方とずれが存在すると思います。そのずれが個人差と解釈でき、肥満の質や生活習慣の影響度(y軸方向)、素因の強弱を伴った加齢の質(X軸方向)の評価につなげてゆきます。
肥満が悪いから痩せましょう…ずっと言われ続けてきましたが、今は腹囲を減らせ…。高齢になるにつれて病気が増え治療者が増加。医療費は増加し、ついでに健康食品の需要も増加。男性が女性より血管イベントを始め生活習慣病の重症化が多い…いずれもエビデンスをもとに問題が提起され対策も講じられてきたはずですし、健康診断もそのために行われていると思いたいところです……が、各個人に対して肥満の質の問題、加齢の質の問題、性差の問題についてはまだ効果的かつ具体的な対応がなされているとは言い難いと思います。

生活習慣病…言うは易し。生活習慣病および生活習慣病に影響する生活習慣の解釈が異なるのがパターンプロセス理論の特徴ですがお気づきになられたでしょうか。

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