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ケーキ屋さんをより良くするための100のアイデア【在庫管理編】

ケーキ屋さんをより良くするための100のアイデア。今回はケーキ屋さんの在庫管理についてです。
商品や材料の在庫を把握できていないと、過剰在庫が発生します。つまりそれはお店のお金が動いていない状態であり、気づかぬうちに少しづつお店の経営を圧迫していきます。
また、在庫が不足している場合も販売機会のロスになり、売り上げを取り損ねてしまいます。
前回の【情報管理編】にも通じる内容で、情報も在庫も整理整頓をし管理していくことが大切です。

在庫の状況を整え、お店の経営に活かすきっかけになれば幸いです。

68:材料の在庫表を作る

使っている材料を全て書き出しましょう。
書き出したら、使用頻度の高い順に並べ、使用頻度の低い季節モノの材料はざっくりと春夏秋冬で分けましょう。
例えばこの様なイメージです。

品名は見やすくシンプルに記載し、詳細は備考の項目でフォローします。ちなみに同じ要領で包材の在庫表も作れます。
大切なのは、すべての材料を記載し、在庫数を一目で把握できるようにすることです。材料を欠品させたり、過剰に発注をして材料が眠っていないかを把握することで、お店の経費のハンドリングを細かくとることができます。

69:半製品(仕掛品)の在庫表を作る

商品になる前の半製品(仕掛品)を全て書き出しましょう。
まず、ジャンル毎に(例えばショコラ、コンポート、クリームといった様に)書き出していきます。次にそれらを使用頻度の高い順に並べ、更に賞味期限の短い順に並べます。
例えばこの様なイメージです。

基本的には材料と同じ感覚で管理しますが、違う点は賞味期限の管理をします。自店のルールに沿って各半製品に賞味期限を設定し、管理しましょう。半製品は材料と違い、賞味期限がわかりにくいため、つい冷蔵庫や冷凍庫の奥で眠ってしまいます。明確な期限を設け、管理しましょう。

70:商品の在庫表を作る

お店で販売している商品を全て書き出しましょう。
これはレジに登録されている商品情報をCSV等で書き出すと簡単にできます。同じ商品でも入り数が違う場合は、それぞれ別商品として管理します。
そしてジャンル毎に並べ替え、ジャンルの中でよく売れている順に並べ替えましょう。例えばこの様なイメージです。

売れている順に並べるのは、管理の重要度をわかりやすくするためです。
売れている=よく動く商品なので管理の頻度が高く、表の中でまとまっていると管理がしやすいです。
また、一方で売れていない商品も項目の下の方でまとまっているため、管理がしやすくなります。在庫が動いていない商品は、お店のお金が動いていない状態です。POPを書く等、すぐに販売促進の手を打ちましょう。

71:倉庫の棚に番号をふる

在庫が狂う原因のひとつに、保管場所の管理ができていない事が挙げられます。
そこでおすすめの方法は「ロケーション管理」です。倉庫の場所や棚の段ごとに番号やアルファベットをふりロケーションをします。どこに何があるかを、漠然とした場所ではなく、具体的にA-1と言った具合に正確に管理しましょう。なお、棚の段は、後から増えることも考慮し、下から番号を振ると管理がしやすくなります。例えばこの様なイメージです。

先ほどの材料や商品の在庫表に、このロケーション番号を書き加えると、より管理がしやすくなります。

72:最適な資材を用意する

保管場所である倉庫は納品されたままの段ボールで置かれがちです。もしくは番重で管理されているかと思います。
ですが、それだとどちらも中が見えず一目で在庫がわかりにくくなります。
なので、一目でわかる保管ができるように棚や引き出しを用意しましょう。
そこで、おすすめは「折りたたみコンテナ」と言われる折り畳める箱です。

これなら透明なので中身が見やすく管理がしやすいです。
また、番重やケースなどは使わない時に場所をとる事がマイナス点ですが、これなら使わない時には折りたたんでコンパクトに収納できます。

また、段ボールや番重は積み重ねた時に下の方の物を取るのが大変ですが、これは側面が開閉するので取り出しやすくなり、管理が楽になります。
在庫管理を正確に行うためには、みんなが使いやすい資材を用意する事が大切です。

73:安全在庫を設定する

需要というものは一定で安定しているというわけではありません。需要の波に対応できるように安全在庫を設定しておくことが大切です。

安全在庫とは、急な売れ行きにより在庫が一気になくなった場合や、発注してから納品されるまでのリードタイムなどに対応できるように予備に持ち、欠品を防ぐ最低限の在庫量の事です。

需要は季節や流行り、月内でも月初や月末によって必ず変動していきます。そんな変動に対応するのが安全在庫です。材料や包材というよりは、主に商品の在庫になりますが、欠品しないようにするための大切な基準です。

例えば、常に1ヶ月で100個売れている商品があるとしたら、製造のリードタイムも考慮して150個は常に在庫しておく。
といった具合に、急な需要にも対応できるように欠品しない安全な数を設定しておくといいでしょう。 

ただし、全ての商品で安全在庫を設定しようとするとかなりの手間がかかってしまうので、まずは売り上げ上位の商品から初めてみるといいでしょう。

74:在庫回転率を計算する

在庫回転率とは、ある商品の平均在庫数が、ある一定の期間に何回売れたのかを示す数値です。商品回転率と呼ぶこともあります。

お店の規模にかかわらず、在庫回転率は店舗経営を安定させ、利益を出すために重要な意味を持っています。在庫回転率の数字は大きければ大きいほど、在庫が入れ替わっている回数も多く、仕込みにかかった費用が、しっかりと売り上げになっていることを表します。

計算方法には金額で計算する場合と、個数で計算する場合がありますが、ケーキ屋さんでは個数で計算したほうが実態が把握しやすいかと思います。

実際の計算方法ですが、【販売した商品の総数÷平均在庫数】の式で計算します。たとえば、1か月に販売した商品の個数が500個。
月の初めの在庫の個数が70個、月末の在庫が30個だとすると、
平均在庫数は「(70+30)÷2」で50個となり、在庫回転率は「500÷50」で「10」と算出されます。

この数値は、1か月に何回在庫が入れ替わったのかを表します。1か月に在庫が入れ替わる回数が多く、在庫が1回転するまでにかかる時間が短いほど適正在庫が維持できていると判断できます。

この数値を見て、在庫が無くなるまでの日数があまりに長いものがあれば、製造ロットや頻度を見直しましょう。短すぎる場合も製造効率の面で悪い可能性もあるので製造ロットを見直してもいいかもしれません。常に作りたての新鮮なお菓子を売ることも大切なので、バランスを考慮してして在庫回転率を見ましょう。

75:適正在庫量を決める

倉庫のレイアウトが整うと、保管可能な「量」が見えてきます。
この保管可能な量を超えると乱雑な保管になり、先入先出などの基本的な事ができなくなります。
そのためにも、お店で持てる在庫量の適正な在庫量を把握しましょう。

適正在庫とは、多すぎず少なくもない、お店にとって最適な在庫量です。これをキープすることにより過剰在庫と欠品を防ぎます。

適正在庫の計算方法は複数ありますが、ケーキ屋さんは需要数から適正在庫を算出する方法が良いかと思います。
【 一定期間の需要数 + 安全在庫数】
例えば1か月の需要数が200、安全在庫が50の場合、適正在庫は250となります。
この需要数はレジの販売データを元に算出できます。ただし、繁忙期と閑散期で需要数は大きく差があるので、ここを分けて考えます。ひとつ気を付けたいのは、商品が売れない日が続くと在庫が増えてしまうので、実在庫はこまめにチェックしておく必要があります。

この適正在庫を出していないと、感覚的に足りないかも?と思い過剰在庫になってしまったり、まだ足りるかな?と思い欠品してしまう事になります。

この適正な在庫量の基準値を出しておくだけで、発注業務や製造数を考える時間が削減できるだけでなく、過剰在庫や欠品を防げるのでお店のキャッシュを圧迫する事も減るでしょう。
そのためにも適正在庫量を数字で出す事が大切なのです。

以上で…

ケーキ屋さんをより良くするための100のアイデア【在庫管理編】として、8コのアイデアを書いてみました。
在庫管理の作業は手間と時間がかかり、仕込み作業に比べるとなかなか優先順位が低くなってしまいがちです。

ですが、お店の経営をする上で正確な在庫の把握は強い武器になります。
より美味しいお菓子を安定して作り出していくためには、安定した経営が必要です。在庫管理は美味しいお菓子作りに繋がっている事を忘れずに、しっかりと管理していきましょう。

100コ全てを読むのは大変なので、必要な時に読みたい項目だけを読んで活用していただけるような構成で書いています。まだまだ長いシリーズですが、最後まで読んでいただけると嬉しいです。

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