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おぼっちゃま君

前回の記事では僕が起業した理由を書かせてもらいましたが、今回から、起業まで、僕がアパレルの道をどの様に歩んできたのかを数回に分けてポストして行こうと思います。

大学卒業後、父の会社に就職しました。配属は「生産管理部」

ざっくり言うと、この洋服を○○枚作って、○月○日までに納品してね!と言われるので、そのスケジュールに沿って商品を上げる部署です。

アパレルの生産管理部で行われる仕事って一般的にはわからないと思うので、どんな感じなのか説明していきます。

1.縫製工場の選定

縫製工場も一概に全てのアイテムが縫える訳ではありません。

○得意・△不得意・×縫えないと言う三段階があります。

「○ジャケット△ブラウス」とか「ボトム以外×」とか色々ありますし、「○ジャケットでもこの素材は×」という様に、素材によっても変わってくる為、商品の出来上がりが左右される重要な選定になります。

しかし、例外として、納期最優先の場合、上記を全て無視して無理矢理縫製をお願いする場合もあります。(下述にその方法を記載しております)

じゃあ、何でも縫えて、全部得意な機動力がある工場にお願いすれば楽じゃん!ってなりますが、加工賃のやりくりもしないといけません。

なので、めっちゃ縫製が難しいか、納期までの時間が無い商品だけ、コスト管理は諦めてお願いする感じになります。

企画では、「こんなの作りたい!」とか、「取引先から言われて仕方無いんだ。」「加工賃安く上げてね(笑)」って平気で言ってくるので、このやりくり大変なんです。
「めちゃくちゃな工賃で縫える訳ないだろ!全然利益出ないのに、企画は何考えてんだ」という感じで、毎週お酒を飲みながら上司と愚痴っておりました。

2.資材の発注

洋服を作る為に必要な資材を調達します。裏地や釦(ボタン)などなど。

ここでは、どの色の裏地にするか選んだり、釦を素材に合わせて染めたりします。
縫製する時までに、資材が揃って無いとめちゃめちゃ工場に怒られます。すげー電話来ます。

3.納期管理

縫製工場と「今どんな感じですかー?」と連絡を取りながら、納期までに間に合う様に管理をします。

縫製工場はグループで分けられており、

生地を裁断するグループ
洋服を縫うグループ
まとめグループ(釦を付けたりする最終工程)
プレス(アイロン仕上げ)・検品をするグループ

などに分けられます。

納期1週間前とかに「今裁断してるよー」と言われたら絶望です。
「まだ縫ってないんですか?」
「いや、資材が遅れたのそっちでしょ?」
「そこを何とかお願いします(涙)染めの色がブレたから、釦屋さんのせいなんですよー(涙)」
「そんなの関係ないよっ(怒)!!」
って感じのやり取りですね。
もうここは、何言われてもお願いするしかありません。どうにもならない場合、1日でも納期を縮めて貰う為には何でもします(笑)

上述した3点がアパレルの生産管理部での主な仕事になります。

たくさんあった失敗・トラブル談

色々ありますが、こんな事が細々起きます。

Case1:ネームが逆さまに付いてくる。(数百枚)
そのネームを付けてくれた方が、すごくお年寄りの方だと知っているので、あんまり怒れないし言えない・・・。

Case2:寸法があまりに違う。
「パターンの通りですから!(キリ!)」と言われて、誰に相談して良いか分からず、結局アイロンで調整する。

Case3:納品2日前にあと2週間遅れると連絡が来る。
 「一昨日も話した時、余裕そうで何も言わなかったのにね(笑)」

Case4:出荷が集荷時間に間に合わず運送屋さんを追い掛ける。
 こんなに走るのは、生きていてこの時くらい。

Case5:出荷予定の荷物が翌日に出ていないと知る。
「いや、出荷の時にトラブルでさー」って毎回そんなトラブル起きるの?と人間不信になる。

Case6:無理な時はアポ無しで工場に出向く
(アポ取るとその電話で断られるので・・・)

東京13時出発→新潟16時到着→19時まで「どうにかお願いします!この納期で受けて下さい!!!」と謝り倒す→東京22時帰宅

毎回こんなスケジュールで、車で往復500kmの道中は基本「無」の境地である。

Case7:商品が全て上がった後の検品中の生地トラブル・・・
(色ムラ・汚れetc…)製品になるまで誰も気づかない。
「縫ってる時、絶対目に入ってるよね?」と純粋に思う不良もある。

Case8:見積もりの用尺(1着にかかる生地のM数)と量産の大幅なズレ・・・オーダーに対して−30枚とか出ると寒気する。

Case9:商品納品後の電話に敏感になる(製品不良の返品の電話が怖い為)
その時掛かって来る営業電話には申し訳ないが、キレてしまう…情緒不安定なので、ごめんなさい。


こんな感じで書こうと思えばまだまだ書けたりするのですが、その中でも一番辛かったのは「コサージュ」のトラブルかな。

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コサージュはイメージ画像をみてもらえればわかると思います。この画像では違うのですが、コサージュの縁(ふち)が切りっぱなしみたいになってるのを見たことありませんか?この加工をフリンジ加工と言って、その「加工が嫌!」と言われて、小バサミで400個切った思い出があります。

1時間で4個くらいしか出来なくて、会社で夜中まで切っても終わらず、翌日の夜も当時の彼女の家まで持って行き、彼女の家でも作業をしていた思い出があります。
(素材がオーガンと言って、すごく軽い生地なので、切ると舞うんです。鼻に入って鼻炎みたいになるのでキレられました)

おぼっちゃま君から脱出の一歩

長々と書きましたが、入社1年半くらいは下積みで資材の発注業務と
雑務がメインでしたね。

立場としては社長の息子として入社して来たのですが、実際、本当に
考え方は子供で、この下積み時代に何度も上司に怒られました。

「お前を2代目とは思ってない!一人の人間として仕事を教える!」

そうやって接してくれた上司だったので。頼まれた仕事を適当にやっ
てしまい、口すら聞いて貰えず、夜中に会社に戻って、上司に謝罪し
た事もあります。

楽しいと思える仕事も少なかったですし、会社が休みの日も上司は会
社に来ていて、僕も出社して「帰って良いよー」と言われて帰ってい
た時期がありました。

別に来いとは言われていませんが、当時は行かないとって思っていま
した。

働き方はそれぞれですが、僕自身の働き方の根底はこの時期に養われ
たように思います。

仕事に対する責任。自分で考えて行動する事。おぼっちゃま君を少し
大人にしてくれた上司に今でも感謝しています。

ちなみに上述した工場とのやり取りは、次回のポストで書きますが、入
社当時の上司が病気でお休みになってからのことです。

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