見出し画像

寂しさが泳ぐ景色

僕たちは、いつも何かと新しさを求め続けている。
夜風に当たって、過去の悔恨を感じ、それを消している。未来都市は、その事を深層の裡に隠し、何だか軽い偏頭痛を伴いながら生きている。冬に巻いたマフラーは、もう記憶のどこかに薄れて、何かしらの感覚として残っている。暑い夏が、長い間に存在すらも透明に彩り、果てのない水平線の途中で射した光景を現在と表現するかのように。その連続した感覚が少しズレて闇が続いた「時」は、もう幻の果てに発散している。燃えた夏の無くしがたい感性、ノスタルジックな夢を過去に追いかける。そういう風に、口実した約束には、薔薇のように過激なプレゼントであった。

白熱灯が優しい光を灯して、また巡り合う予感と対峙をした。それは、少し近い未来を意味していた。遠くから聞こえてくる祭りの騒ぎが、僕を狂わせて、もう戻れない過去を追う。過去の経験的な瞬間が、茜色の夕暮れ、これから始まる恋、そして問い続けた答えはどれほど一致するのであろうか。一種のフラストレーションが、明日という宴を風の中に運びながら。

一本の線で、現実を表し、その「曲線」が、しらばっくれた灼熱と合わさる。現実への甘い傾き、僕が守るのだと強がってみせた瞬間は、陽だまりの中に、すっと溶けてもう戻れない過去だけがぐらついている。微笑した眼差しが、そうとは言わせぬ信念が儚い青白い光を放射する。笑顔で存在できる人、思いもよらぬ間違い、風の中を駆け抜けた以前の輝き、そんなものが直線上を横切っていく。真夏に見えた幻影を、騎士団が幾重にも破壊して、そこから放たれた炎は、ぐっと夏の暑さと共鳴する。

汗をかきながら、許せぬ想いは去り、時空の中を彷徨っている僕らに融合していく。君と一緒に乗った春の馬車、あの頃見せてくれた涙、寒い冬の暖かさは、いつも僕を強くしてくれた。そんなことも忘れたのかい?と幸せを追い求めた憧憬が、幾重にもフラッシュバックして、何回も泣いた夜に落ちる。太陽は、きっと僕らに光を与えてくれると。格好の良い帽子を被った君は今どこにいるの?もう、深海でくたばったの?忘れたのか。あの頃の情熱、誰にも負けぬ心を。君はもういないんだ。けれども、過去の中にひっそりと秘密の鍵をかけて存在している。日傘を差した群れの中に、君を見つけることはない。お互いがそれを認識している。未練?後悔?懺悔?そんなことで、弱音を吐いていたのかい。

何もしなかった休日のように、幸せで均衡を保った季節が思い出になること、聳え立つ塔を見ていた知識や洞察は、時として人を変えることがある。花が咲いた懐古の灯火は、現世を照らし出して行く。一緒に人格を形成したお伽話や古代の夢物語の中に、虹がサーっとかかっていた。

僕は一人で考え事をしながら、そんなに弱い君じゃないだろ?と語った。少し、僕の胸の中にある気持ちが、ほんわりと溶けて、届けばいいな。叶い岬に流れる希望、屈辱的な思いをした苦しみ、弱さを克服しようと叫んだ頃。悲しさを忘れて、生きていけるほど人間は、愛という名の賛美を垂れ流すものではないんだから。また、会えるよね?そんなやり取りが交錯する空で、僕たちは、自然に、あるがままに生きているではないか。トンネルを抜けた先の綺麗な景色はいつ見るのかと、何回も自分に問いかけた。自己欺瞞で終わる人生などまっぴらだ。

笑っている人たちには、それなりの理由はある。そんな現象はどうでも良いと悟った夜。白い鳥は、自由で滑らかな軌道を描いている。ある女性は、その風景をみて、少しばかり希望を持ったようだ。そして、形のない愛の中に寝そべった。ベッドにすとんと落ちていくように自由になって、諦めかけた小さな輝きを取り戻す旅に出かけた。

幻想の中で

僕たちは、きっと生きていけるさ。だから、泣かないで。何度も、彼女に言った言葉と現実は、一重になって春風を追い越し、魔法をかけられた姫のように強い秘め事を発散したくなった。ここは、幻想などではない、きっとまたやり直せる、君はトンネルを超えた先に、もっと良い夢景色を見て、そこを目がけて生きていける。だって、朝露のかかった寒い銀世界を見てきたではないか。サーっと流れて、走って行く想いが四方八方に散らかっていく。自分の想いは、いつも歪曲していると思っているの?妬みや嫉妬、モヤモヤとした想い、そんなことは考えないで!僕たちは、幻想の中を走る小さな馬車なんだから。もっと自由に、もっと捉えられないように、強く生きるんだ!人恋しい世界に、自分を変えて生きてくれよ。

木々が揺れて、いつも愛してくれた人や、微笑んでくれた人が現れる。
心と心のぶつかり合いは、いつも斥力に働くとは思えない。現実は、いつも夢ばかりで、揺らし続けた微々たる心の旋律に、自分の想いを刻みながら。人は決して、負け犬ではない。大切な故郷を内世界に作るんだ!そんな心はきっと誰かを励ますかも知れない。

空を見上げた僕も、心の弱さを持っている。そうして、君もそれを追体験するんだ!同じ景色を見れることは、未来とは言わない。けれども、ピアノが奏でる旋律、響き上がるギターの音色のように、どこかを走って行く。

心のモヤモヤを解き放つ矢になって、内世界はどこか遠くの外世界と関連した。そして、遠くにいる君の笑顔をいつか違う形でみたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?