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映画で社会を動かすために作られた 韓国映画【権力に告ぐ】

いつもよりちょっと忙しくしていたら、あっという間に10日近くもnoteをサボっていました(汗)。
毎日書いている方や、書く習慣が身についている方を、心底尊敬します!
ほんと、それがどれだけすごいことで、どれだけ幸運なことか、心から伝えたい!!(笑)

今回もまた、骨太な映画に出合いました。
2020年公開映画(韓国では2019年)の【権力に告ぐ】。原題は【Black Money】です。
以下、ストーリーには触れていますが、最終的なネタバレはしていません。

この映画、公式サイトもないし、日本発信の記事もほとんどないのです。コロナ渦の上映になったため、PR活動を縮小したのか、それとも主役のチョ・ジヌンさんが、軽んじられたのか…(汗)。
なかなかいい映画だったのに、残念です。

【あらすじ】
韓国最大の金融スキャンダルとも言われる実在の事件をもとに、巨大な利権に立ち向かう熱血検事の奮闘を描いたサスペンスドラマ。ソウル地検のヤン検事は、かつて当て逃げ事件で聴取をした女性スギョンがヤンにセクハラをされたと遺書を残して自殺したことで、停職を言い渡される。身に覚えのないヤンは汚名返上のため、独自に調査を開始。大韓銀行の職員だったスギョンは、自殺する前に大検察庁の捜査部からも聴取を受けていた。大韓銀行は、破綻寸前という虚偽の報告書によって安値でファンドに売却されたが、その報告書を金融監督院に送ったのがスギョンだったのだが……。
映画.comより抜粋)

チョ・ジヌンさんは恰幅の良い演技派といった感じで、ソン・ガンホキム・ユンソクなどの系統かなって個人的には思っていて。
そして、「この人が出ていたら、その映画は間違いない俳優」の一人だと思います。高地戦悪いやつらファイ 悪魔に育てられた少年群盗お嬢さん工作 黒金星と呼ばれた男などなど、出演作は傑作ぞろい。

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主演を務めた毒戦 BELIEVERや、ドラマのシグナルの出演時には突然スリムになっていて、一瞬誰だか分からなかったってこともありました。

この「権力に告ぐ」は、2003年に、ローンスターというアメリカの投資会社が、破綻寸前となっていた韓国外換銀行(KEB)を不当な低価格で買収した事件を基にしています。

チョ・ジヌン演じるヤン・ミニョク検事は、かつて聴取した女性が自殺してしまい、その理由がミニョクのセクハラだと濡れ衣を着せられ、停職処分になってしまうんですね。
それはいいがかりだ!と、血気盛んなミニョクは独自に捜査し始めるんですが、そのうち、スターファンドという投資会社が大韓銀行を買収した事件と、彼女の死が関連があるのではないかと疑念を抱くようになります。

ミニョクが捜査している相手は、何やらものすごく強い権力を持っているようで、あらゆる妨害を受けるのですが、持ち前の正義感と、かなりグレーゾーンの捜査方法で真実に近づいていきます。

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そんな中、出会うのが大韓銀行側の弁護士であるイ・ハニ演じるキム・ナリ弁護士。父親も国家の中枢にいる人物で、超エリート街道を歩いてきた人。
ミニョクとは対立する立場にいるのですが、彼女も弁護士らしい正義感で、銀行の買収に不正があったのか知りたくて、ミニョクと協力しながら真実を明らかにしようとするのですが…。

この映画のモデルになった事件、本当にヒドイです。
金融危機で多くの人々が生活に苦しむ中、ごくわずかの人間だけが、どれほどの巨大な富を貪ったのか…と思うと、韓国人ならずとも怒りが湧いてきます。
今のコロナ渦の日本とリンクするところもあり、怒りも倍増だったり。

実はこの問題はまだまだ続いていて、もしかしたら今後、巨額の税金が投入される可能性があるのですが、この事件、韓国でもあまり知られてなかったそうなのです。

だからこの事実を伝えるために、世の中を変えるために、この映画を作ったそうです。熱いなー!。
でも映画がきっかけで法律を変えてしまったトガニなど、韓国では前例があり、本当に映画が大きな影響力を持っているんだと思います。

イ・ハニさんがインタビューで、「世の中に公開されるだけでも半分は成功だと思う」とおっしゃっていますが、まずは周知させて社会が関心を持つことといった点では、本国でヒットしたということから見ても、目的を果たしたのではないかと思います。

ちなみに、そのインタビュー記事を読んで、もともと好きだったイハニさんがますます好きになりました。

それにしても、世界には理不尽な事件が溢れていて、善悪ではなく権力や金や専門的知識の有無で、合法か違法かに区別されるような気がして嫌になるけれど、社会を変えるためには、まずは「一人ひとりが知ること」から始まると信じて、これからも映画を観続けようと思います…。

(画像は映画.comさんにお借りしました)

極私的スキ度★★★★★★★(7)

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