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不条理な映画/哀れなるものたち(哀れな造形物)


(映画感想文なので本当に散文ですみません)

哀れなるものたち。良い邦題である。
Poor Things
これフランス語では Pauvre Créetures
だから、哀れな造形物となる。

この監督は不条理映画『ロブスター』を思い出させる羊とか鶏とか馬車とか。。ああ?妙だよなぁ、この不協和音何よ?というオープニング。長いんだけど全然飽きさせなかった。

ウェスアンダーソンの細々としたかわいさ?っていくら細工をしても趣味が貧乏くさくて好きになれないのだけど、この人の美術はすんなり入る。なんなんだろう。ウェスアンダーソンのあのカメラの端のごちゃごちゃしたあの感覚は虫酸が走るが、彼がすると許せてしまうのはなぜか?基本が有る安心感があるのよね。なんか古典を入れたがるところとかが安心。それからのズレ具合の趣味が好き。

リスボン、パリ、アレキサンドリアの景色。すべてAIっぽいのだけどなぜかすんなり入るんだよね。しかもセットって。なぜだろう。ウェスアンダーソンなら許せないんだけどこの映画だとすんなり入る。

フランケンシュタイン博士、アナーキズムへの挑戦、社会コードなしの女性の登場とか。一体どうなっていくんだろう?マーク・ラファロの色男ぶりも最高だし。

テーマはいっぱいあって書ききれない。ただ私がズシンと響いたのは。。

女性が母性を否定することさえ恐れない本当の自由な社会への期待

こんなアナーキズムには私はすごく感動した。 『バービー』は最後産婦人科で女の身体を得て女になるがもうこの映画は一歩先に行ってる。バービーにはやはり自由さがないのだ。しょせんホワイトなのだ。バービーはうるさい赤ちゃんを叩きにいかなかった。バービーは嫌でも大きい口で笑ってた。


ただこれもホワイトしか出てこないが彼女の叫びはホワイトではなく全人類に通じる社会コードの否定。

宗教、人種、習慣、伝統、歴史、、、すべてを超越したベラちゃん。

もっと言うならこれはピノコの話。ピノコが奇子化するなかなかおもしろいのである。もちろんこれは手塚治虫ファンにとってはたまらん。

手塚さんはもともと非モテ自慢をする人だったからか、男女の描き方に関しては、ビートたけし的に日本人男性の枠を出ない気がする。ピノコを性的に目覚めさせることはさせなかった。多分ピノコはそういう役ではなかったのだろうか。


あと彼女に群がる男たちの裸体もよかったね。

パーフェクトデイズの役所さんの裸体は美しい。我々はエマの裸体はすんなりと消化するがそのへんのおじさんの裸体を消化する時にかなりの苦痛を覚える。それをわざわざ監督は観客に強いるんだよ。すごいよね。たまらんわ。


最後になちゃったけどアンディ・マクダウェルの娘はああやってお人形にしたい気持ちがなんとなくわかる。かわいいよね。次はあの子ね。


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