元施設長のつぶやき
今年の7月の終わり頃、88歳になる母が体調を崩しました。
はじめは軽い風邪の症状で、葛根湯を飲んだら回復した様子でした。
ところがその数日後、右足の痛み、そして同時に全身にだるさを感じると言い始めました。
風邪薬を飲んでも改善が見られず、だんだん起き上がるのもつらくなってきたようだったので、近所のかかりつけのお医者様に診てもらうことに。
受診後、抗生物質を処方してもらったのですが、改善が見られませんでした。
身体のだるさと右足の痛みがどんどんひどくなるようで、トイレまで歩いていくのにも数分かかってしまうほどになり、今度は地域の大きな病院に検査に行くことを決めました。
8月9日、地域の大きな病院でいろいろ検査して、お医者様のチームで検討をしていただいたところ、
肝臓の嚢胞にウイルスが入ってしまい、それが化膿して肝臓の機能に支障が出てしまったとのこと。
全身の倦怠感の原因がわかり、その膿を取り除けばだいぶ楽になれることがわかり、一安心。
残るは、右足の痛み。
お医者様も、検査結果を睨みながら、頭を抱えていました。
数日後、右足の膝下に血栓がみつかり、痛みはこれが原因と思われる、という診断結果が出ました。
血液をサラサラにするお薬が処方され、ゆっくりと血栓の治療が始まりました。
それからはや3ヶ月が経とうとしています。
全身の倦怠感は、一週間程度でなくなったようでした。右足の痛みも、当初からするとだいぶ収まったようで、今では歩行器を使いながら、なんとか歩けるまでに回復しています。
ここまで診てくださったお医者様達には感謝しかないです。
一方、この血栓ができ、右足が痛むことで母の生活スタイルが一変しました。
これまでは、年相応に足腰が弱ってきてはいたものの、元気に一人暮らしをしていました。
でも今は、右足の痛みから立ち続けることが難しく、ある程度手をかけるお料理をすることが難しくなりました。
お料理のほかのことも同様で、丁寧に心をこめた生活を送ることが難しくなったのです。
この血栓は…
実は今から3年前、母が ”原田病” という免疫系の病気を患ったことが発端のように思います。一時は視力がかなり落ちたのですが、それ自体はお薬の治療で回復できました。
ただ、免疫系の病気ということで、それ以来3年半、ずーっとステロイド剤を服用しているのです。
原田病の症状は落ち着いたのですが「再発のリスクがあるからお薬を継続して服用するように」とお医者様から言われているためです。
私自身素人ではありますが、少し調べたところ、「血栓」はかなりの確率で発症するステロイド剤の副作用とのこと。
3年以上もステロイド剤を服用してきましたから、目の炎症は十分抑えられているのですが、その分血圧が高くなったり、筋力が低下したり、そして今回は血栓が足にできて、歩くことも難しくなってしまったのです。
この状態で眼科の先生の診察を受けに行く機会があったのですが、歩くことが難しい状況を見ても「歳ですからね、気をつけてくださいね。」とだけ。
ステロイド剤の副作用ということには触れないようにしているのかな。
副作用を考えている身としては、眼科の担当範囲の症状が抑えられていれば身体の他の機能が衰えることは仕方がない、と切り捨てられているようにも感じられます。
視力が衰えることは、生活に大きな支障をきたします。けれど、同時に歩けなくなることも、生活に大きな支障をきたします。
生きていくためには、二者択一ではなく、バランスをとりながら柔軟な対応が必要なんじゃないだろうか…。
そして、「高齢者だから」という一言は、患者の立場で聞くと「前向きになることさえ無駄ですよ」と言われているように感じるほどの言葉です。
というようなことを考えれば考えるほど、お医者さん達の「高齢者バイアス」や「担当領域の症状のみ気にする姿勢」について、いろいろ感じてしまいました。
「症状」ではなく、「その患者さんの生活」を診てほしい、と。
眼科の次回の診察の際、「セカンドオピニオンを伺いたいので、紹介状を書いてください」とお願いしようと思っています。
少しでも、いい方向に進むように…
ライター:さくらもも さん(PastelD家族介護コミュニティメンバー)
大手電機メーカーを早期退職し、有料老人ホーム施設長を経験。現在は介護DXのコンサルテーション事業を行いつつ、PastelD家族介護コミュニティを運営している。
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