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食べ物の有無が記憶の定着における睡眠の必要性を左右する

▼ 文献情報 と 抄録和訳

食べ物の有無が記憶の定着における睡眠の必要性を左右する

Chouhan NS, Griffith LC, Haynes P, et al.: Availability of food determines the need for sleep in memory consolidation. Nature. 2021;589(7843):582-585.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed(Full text), Google Scholar

[概要]
睡眠は生物学上の大きな謎であり、その基本的な機能についてはほとんど解明されていない。睡眠の機能としてよく提唱されているのは、記憶の定着である。しかし、飢餓のような状況では、生物は起きて活動していることが必要であるため、睡眠に依存しない記憶の定着メカニズムに切り替えることができれば、進化上の優位性をもたらす可能性がある。本研究では、ショウジョウバエが睡眠に依存した記憶と睡眠に依存しない記憶を形成するための適応回路に基づくメカニズムを明らかにした。食欲条件付け後に餌を与えられたハエは、記憶の定着に睡眠を必要としたが、訓練後に飢えたハエは記憶の形成に睡眠を必要としなかった。餌を与えられたハエの記憶は、キノコ体の前方-後方のα'/β'ニューロンによって媒介されるが、飢餓状態の記憶は、内側のα'/β'ニューロンによって媒介される。睡眠依存型の記憶と睡眠非依存型の記憶は、それぞれ異なるドーパミン神経細胞とそれに対応するキノコ体出力神経細胞に依存している。睡眠依存型記憶と睡眠非依存型記憶では、ドーパミンニューロンとそれに対応するキノコ体出力ニューロンが異なるが、睡眠依存型記憶に必要なキノコ体ニューロンが睡眠を促進するように、睡眠と記憶は連動している。ニューロペプチドFを欠損させたハエは、飢餓状態でも睡眠依存型の記憶を示すことから、回路の選択は飢餓状態で決まると考えられる。このような記憶回路の可塑性により、ハエは環境が変化しても必要な情報を保持することができる。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

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ポイント
一般的に睡眠の機能として記憶の定着が知られているが、飢餓状態にあるハエは記憶の形成に睡眠を必要としない

面白いと感じた理由
睡眠と記憶、非常に興味があるテーマだ。睡眠、という謎が少しずつ明らかになっていくところが面白い。

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睡眠には興味がある。小さい頃から寝つきが悪かったし、ストレスから不眠症になり心療内科に通院したこともある。#豆腐メンタル

皆さんも程度の差あれ、睡眠には興味があるだろう。睡眠導入の方法としては、以下の記事が分かりやすい。

睡眠の謎を、これからも”科学的に”明らかにしていきたい。

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