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膝痛がある人のスクワット時の関節負担を軽減するフィードバック方法

▼ 文献情報 と 抄録和訳

リアルタイムの視覚的フィードバックが膝蓋大腿部痛を持つ人のスクワット時の膝蓋大腿部関節力を軽減する

T Kernozek, M Schiller, D Rutherford, et al.: Real-time visual feedback reduces patellofemoral joint forces during squatting in individuals with patellofemoral pain. Clin Biomech (Bristol, Avon). 2020;77:105050.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed(Full text), Google Scholar

[背景] 膝蓋大腿部の関節力の上昇は、膝蓋大腿部の痛みの発生に寄与していると考えられる。そのため、膝蓋大腿部痛の治療には、膝蓋大腿部の関節力を軽減するための運動の再トレーニングが含まれることが多い。しかし、スクワット時の膝蓋大腿関節機構に対するリアルタイムの視覚的フィードバックの影響を検討した研究はこれまでなかった。

[方法] 膝蓋大腿部に痛みを持つ20名の参加者は、リアルタイム・ビジュアル・フィードバック・トレーニング・セッションを受ける前(ベースライン)と受けた直後(ポストフィードバック)にスクワットを行った。セッション中、参加者はスクワット中の膝蓋大腿関節力(筋骨格系モデルを用いて推定)に関する視覚的なフィードバックを受け、これらの力を最小化するために動作パターンを変更するよう求められた。フィードバックがスクワットのパフォーマンスにどのように影響するかを調べるために、ベースラインとフィードバック後の試験で、膝蓋大腿関節力、股関節、膝関節、足関節の力学を比較した。

[結果] 参加者は、フィードバックセッションの後、膝蓋大腿関節力を14.4%減少させた。この膝蓋大腿関節力の減少は、膝の曲げ伸ばしが少なく(97.26±17.11°対102.96±16.55°)、膝の伸展モーメント(0.10±0.02Nm/体重対0.11±0.02Nm/体重)と大腿四頭筋の力(4.06±0.87体重対4.67±0.98体重)が少ない状態でスクワットを行うことで達成されたと思われる。

[結論] リアルタイムの視覚的フィードバックは、膝蓋大腿部痛を持つ人のスクワット時の膝蓋大腿部関節力の軽減に有効であると思われる。その結果、このようなトレーニングは、膝蓋大腿部の痛みを治療する際に有益であると考えられる。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

『筋電図フィードバック』、『鏡やレーザーポインターを用いた視覚的フィードバック』、『力のフィードバック』など、様々なフィードバック方法がある。もちろん、どれでも一定の効果はあると思うが、本質的にどのようなフィードバックを用いることが必要であるかを考えてみる。

膝蓋大腿部痛(PFPS)は、膝蓋骨のマルトラッキングによって生じることが知られている。特に外側へマルトラッキングすることで、関節への過剰な圧が生じる。こうした機序を踏まえたときに、様々なフィードバック方法の中で、本論文で用いたフィードバックが一番適切ではないかと思う。つまり、どういう理由で疼痛・障害が生じているかによって、フィードバック方法は自ずと決まってくるはずだ。

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