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#26 コトを自分事にする

君の周りに、会議中にせっせと資料にインデックス(タブ)を付けている人はいないかな。または、自分の担当のところにはマーカーを引いている人はいないかい。これらの行動は、仕事を忘れないための基本の行動だ。

実は、この行動(マーカー引き)は、視覚的に見やすい、目印、以外にも、大きな効果があるんだ。それは、脳のある働きをうまく生かしている。

脳は自分について語られた言葉に無意識に飛びつくようにできている。この働きをうまく活用しているんだ。

会議資料の中にある「入退場曲・・・放送」という文字を読むときに、「わたしがやるのは、入場曲をかけることだな」と頭の中で言いながら、マーカーを引いていると思う。主語を自分にすることで、意識を向けることができるんだ。一方で、「司会・・・教務」という説明を聞いているときは、脳はさほど大きな反応は示していないということだ。これは、みんなも実感があるんじゃないかな。

では、この働きを、学級指導でうまく活用できないかな?

30人を同時に相手にすることが多いぼくらは、「みんなは・・・」で子どもたちに話すことが多いと思う。これは、主語を「みんな」にしている。これでは、聞く側の子どもたちは自分事として聞いてくれない。

ちなみに、ちゃんと話を聞ける子は頭の中で、「みんなは・・・」を「私は・・・」に変換しているんだ。だから、こちらの伝えたいことがしっかり伝わる。

全員が頭の中で変換してくれるわけではないのだから、こちら側が工夫しよう。子どもたちの名前を入れて話すようにしてみるといいよ。例えば、「みんなマラソンをがんばっているね。」では、なかなか伝わらない。

次のように変えてみよう。

「みんなががんばっているのは、分かる。一郎君、花子さん、次郎君が走っている姿をよく見たよ。きっと、先生の知らないところで走っている人もいたんだと思う。」

ここでは意図的に名前を挙げている。名前の挙がった3名は自分の話だと強く意識する。そして、走っていた子は「先生の知らないところで走っている人」なのだから、同じく意識する。今回は該当しない子どもたちは、具体的な誰かが褒められると、自分もそうなりたいと思うだろう。こうして、子どもたちに伝えたいことは、名前を挙げることで、自分事として受け止めやすいようにしてあげるといいんだ。

話し手として、受け手として、「コトを自分事にする」コツは「主語を自分にする」ことだ。

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