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#89 子どものやる気を奪う方法

授業をしていると、子どもたちの意欲が下がる場面がある。問題が解けない、文章が書けない、リコーダーをうまく演奏できない、8段の跳び箱が跳べない、などだ。これらのことができるための力が身に付いていない場合、子どもたちはつらい思いをするだろう。「できないことが、できるようになりたい」という気持ちは誰もがもっている。しかし、僕たち授業を構成する側が、そのために必要な力が何なのかを把握しその力が身に付いた状態にしてあげなければ、子どもたちが目の前の課題を超えることは難しいだろう。きっと、PCを用意されリモート授業をするように言われて、やる気がなくなった先生はいたはずだ。(それでも、責務として乗り越えた方がたくさんいるだろう。)

だからといって、どこまでも程度を下げて準備してはいけないよ。よく「教師が準備し過ぎるから、子どもが育たない」という批判があるよね。適切に把握し、その力を組み合わせたり、使い方を変えたりすれば解ける問題を用意すればいいんだ。子どもは、脳に汗をかくくらい考えてくれる。どうにか問題を解こうと必死に考えてくれるんだ。程度を間違えると、準備し過ぎになってしまい、子どもは脳に汗をかくことなく問題を解いてしまう。

難し過ぎても、簡単過ぎても、子どものやる気を奪ってしまうんだ。


実はもう一つ、子どものやる気を奪う方法がある。

それは、「もっている力を発揮させない」ことだ。

できないからといって罰を与えられるよりも、自分の力を発揮できない方がつらいんだ。だから、子どもは自分の得意なことをやりたがる。自分の力を発揮したいからだ。でも、授業では、子どものそんな姿にストップをかける場面を見かける。これは、子どもにとって最もつらいだろう。自分の力を発揮する場を奪われたからだ。

何か教師側にねらいがあるのならまだいいだろう。今ではなく、後で自分の力を発揮できる場がある(違う場面で力を発揮してもらうことで授業が深まる)、違う形でその力を発揮できる場がある(もっている力をさらに高めるために我慢させる)などだ。これらは、子どもの未来を見据え、その可能性を広げるためだから。

しかし、教師の都合で、または、周りの児童の学びの保証という大義名分で、力を発揮する場をつぶしてしまうのは、学習意欲という面で、かなりのデメリットがあることを知っておく必要はある。

君も、自分の中で自信のある授業法、指導法を禁止されたらどう思うかな。やりがいのある仕事を奪われたらどうかな。

子どもも大人も、「できない」よりも「できる」ことを禁止される方がつらいことがあるんだ。

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