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令和5年(2023年)度冬の夜空の明るさ調査結果(環境省)

環境省が毎年夏と冬に実施している夜空の明るさ調査。2024年1月の調査結果が発表されていましたので、ご紹介します。

観測期間:2024年1月2日(火)~1月15日(月)
データ総数:613件(うち有効データ584件)

環境省の星空観察(夜空の明るさ調査)は、平成30年(2018年)度から夏冬の2回行われています。肉眼での調査もありますが、今回ご紹介するのは、デジタル一眼レフカメラを使って日没後1時間半~3時間半の2時間の間で天頂方向の写真を撮り、それをフォームから送信することで夜空の明るさを測定するものです。全国から参加者があり、地点登録をして継続的に測定を行っている箇所も多いので、日本の夜空の明るさの変化を知るための重要な資料と言えます。昨年の冬の調査はデータ投稿総数500件、うち有効データ409件とのことでしたので、今回のほうが2割ほど増えていますね。期間中の天候によっては測定を断念する場合もあるので、今回は天候に恵まれたということかもしれません。

なお、2022年(令和4年)度夏の星空観察の結果については以下のnoteにまとめてあります。夏と冬で天候や空の透明度や街明かりの様子も違いますので今回の結果と単純比較はできませんが、ご参考まで。

さて2023年度の冬の調査結果ですが、有効データ584件のうち、「天の川が見やすい」とされる20等/平方秒より空が暗いと判定されたデータは319件、データ投稿があった継続観察登録地点181地点のうち20等/平方秒より暗いのは106地点だったとのこと。北は北海道・陸別から南は沖縄の波照間島まで、多くの場所が20等/平方秒より暗い結果となりました。星空保護区の東京都神津島、福井県大野市、岡山県井原市美星町も入っていますし、星空保護区を目指すと報じられた群馬県高山村も入っています。

この調査は写真1枚の報告から参加可能なので、結果の値はその時の空の状態に大きく左右されます。目では晴れているように見えたとしても、ごく薄い雲がかかっているだけでも地上の光を散乱して空が明るくなってしまいます。ですので、今回の結果だけで「日本一夜空が暗いのはココ!」と判断することはできません。一番夜空が暗いカテゴリ(21等/平方秒より大きな値)に含まれる地点を参考程度に挙げてみると、北海道陸別町、弟子屈町、山形県朝日町、東京都神津島村、小笠原村、山梨県北杜市、長野県長野市、松本市、塩尻市、阿智村、下條村、大鹿村、上松町、木祖村、王滝村、木曽町、小川村、岐阜県高山市、三重県熊野市、奈良県十津川村、和歌山県田辺市、すさみ町、古座川町、鳥取県鳥取市、倉吉市、大山町、伯耆町、日南町、日野町、山口県山口市、愛媛県久万高原町、高知県四万十市、芸西村、津野町、熊本県天草市、山都町、宮崎県高千穂町、鹿児島県奄美市、中種子町、瀬戸内町、龍郷町、沖縄県竹富島。もちろん広い自治体では測定箇所によって数字は大きく変わるでしょうが、「夜空が暗くて星がきれいに見える場所」がこれらの市町村にあることは確かでしょう。

逆に明るい場所は、兵庫県神戸市垂水区(16.0)、東京都千代田区(16.3)、東京都中野区(16.5)、大阪市淀川区(16.5)、札幌市東区(16.5)、東京都新宿区(16.6)、東京都文京区(16.6)、広島市中区(16.6)あたりでしょうか(カッコ内は夜空の明るさ、単位は等/平方秒)。薄雲があった場合など「参考値」となっている場合は除いています。大都市が並んでいますね。天の川がきれいに見える21等/平方秒と神戸市の16等/平方秒では、5等級の差があります。これは100倍の明るさの違いに相当します。都市部の人工光によって、夜空は100倍も明るくなってしまっているのです

継続観察登録地点181地点の測定結果は、環境省の報告の別添1資料(以下の図)にまとめられています。都市部近郊で明るく、それ以外で暗いというのが一目瞭然です。

継続観察登録地点の夜空の明るさ調査結果。
環境省の報告別添資料より転載。

過去の計測結果をまとめてトレンドを見てみたいなぁと思いつつ、なかなか時間が取れずそこまでできていません。継続観測は継続するからこそ大きな意味が生まれるもの。今後も環境省さんにはしっかり続けてほしいと思います。

今回も、ヘッダ画像はMidjourney作です。


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