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2022年夏の夜空明るさ調査結果(環境省)

環境省は、毎年夏と冬に星空の明るさ調査を全国規模で行っています。いちばん最近のものは『令和4年度夏の星空観察 デジタルカメラによる夜空の明るさ調査』。その結果が出ていましたので、見てみましょう。

観測期間:2022年8月18日~31日(月齢20~4)
データ総数:380件(うち、有効データ318件)

この調査は、観測期間中の日没1時間半後~日没後3時間半の間に、一眼レフデジカメを真上に向けて星の写真を撮り、そのデータをウェブサイト経由で提出してもらうというものです。集まったデータから、写っている星の明るさを手がかりにして「何も写っていない空間=夜空」の明るさを測定する、という仕組みになっています。

夜空の明るさは、星の明るさと同じく等級で表します。星ならその1点の明るさを測ればよいですが、夜空は「空間」なので、ある面積の明るさを合算することになります。よく使われるのは1平方秒角(1秒角四方=1/3600度四方)当たりの明るさで、リンク先では mag/□" という表記になっています。

調査によれば、天の川が見やすい(空が20 mag/□"より暗い)と考えられる報告は81地点でした(資料 別紙2)。北は北海道の陸別・名寄から南は沖縄の波照間島まで。星空保護区にもなった東京都神津島岡山県井原市美星町、星空保護区を目指す福井県大野市も含まれていますね。

この調査は、ある期間に撮影された写真1枚での診断になりますので、気象条件などによって結果が多少変わる可能性があります。なので、このデータひとつだけから「夜空が日本一暗いのはココ!」というのはちょっと言い過ぎかもしれません。実際、今回の調査も結構僅差です。ということを踏まえたうえで、今回のデータの中で夜空が特に暗いという結果になったところを挙げてみると、
北海道陸別町(銀河の森天文台、21.9等)、東京都神津島村(21.8等)、石川県能登町(柳田星の観察館 満天星、22.0等)、鹿児島県奄美市(21.8等)、沖縄県竹富町(波照間島、21.9等)
の5か所が、21.8 等/□"より暗いという結果になっています。

逆に明るいのは、東京都文京区 (東洋大学、16.9等)、神奈川県川崎市(16.9等)、愛知県名古屋市(名古屋市科学館、16.7等)、広島県広島市(16.7等)、福岡県春日市(16.7等)。薄雲があった場合など「参考値」となっている場合は除いています。そもそも都心部からの報告は多くないですが、最も暗い地点と比べるとその差は5等級、つまり100倍明るいということになります。

全データは表でしか提供されていないのが残念ですが、継続的に観測する地点として登録されている151地点からの報告は地図にまとめられています(下図、資料 別紙1)。

環境省『令和4年度 夏の星空観察 継続観察登録地点においてのデジタルカメラによる 夜空の明るさ調査結果 別紙1』より転載

長野の観測点の多さが目立ちますね。天の川が見やすいのは21mag/□"より数字が大きい場所ですので、濃いめの青色の丸が置かれている場所ということになります。なお、継続観測地点については平成30年(2018年)以降のデータは国立環境研究所の環境GISに登録されているので、地点ごとの経年変化も見ることができます。

緯度経度と明るさをスプレッドシートで公開してくれたら分布調査もやりやすくなりますが、難しいんですかねぇ。

さて、冬の観測期間も発表されました。肉眼での調査は2023年1月13日~23日、デジカメ調査は1月12日~25日。肉眼ではリンク先の観察シートを使って、オリオン座の周りの星の見え方を報告することになっています。条件に合うデジカメをお持ちの方は、撮影のほうでもぜひご参加ください。


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