システマにおける腹筋 力の通ったお腹

今回のテーマは腹筋です。夏に6パックに割れると格好良いアレです。昔、私は筋トレをしていたので腹筋が多少割れていました。今は割れが目立たなくなっています。お腹を固めるより柔らかくする練習を行ったのが原因だと思います。

私がそういう練習をした理由はシステマにおいては、柔らかいお腹のほうが単純に得だからです。システマの打撃が筋肉の隙間を通り、衝撃が内部まで浸透します。そのため、筋肉で固めるより、身体全体を柔らかくして衝撃を全身に散らしたほうがダメージを軽減できます。また、お腹の緊張を解消し、横隔膜や骨盤底筋が滑らかに動きやすい身体のほうが呼吸が通るので動きやすい、という理由もあります。

硬い腹筋を柔らかくするために、具体的に行ったことはシステマにおける腹筋ワークとみぞおちから下腹部にかけて緩めるマッサージです。それらを繰り返した結果、以前よりは腹部が柔らかくなってきました。

柔らかな腹筋を手に入れることで得られた心身共に変化を感じました。まず自分の精神にストレスがかかった状態を認識しやすくなった、というのが大きな変化です。普段お腹を緩めたおかげで、鳩尾付近に硬さが出てくると、それが変化として感じやすくなりました。自分の身体でストレスチェックができるようになると、セルフケアもしやすくなるので、助かりました。他にも横隔膜が動きやすくなったおかげか、呼吸や運動のしやすさが向上したと感じます。

さて、今までは良い変化について書きましたが、同時に課題も生まれました。普段が柔らかくなったぶん、自分が日常でお腹を硬くする場面が想像以上に多いことに気が付いたのです。身体を曲げるとき、走るとき、運動するとき、ちょっと姿勢に負荷をかけるだけでも、お腹に力を入れすぎたり、逆に抜きすぎて動きにくくなったりする場面が度々出てきました。「どんな状況でもお腹に適切に力が通り、かつ固めない状態にする」。それが、大きな課題として生まれました。

そんな課題を抱えていた自分にとって、先日開催されたシステマのウェビナーは大きな助けとなりました。なんと、システマの創始者ミカエル自らが腹筋の正しい使い方を解説してくれたのです。

ミカエルによると、システマの腹筋ワークは「お腹を締め、内臓の位置を適切にし、身体全体を繋げて全身の力を引き出す」ものとのこと。とにかく緩んでいればいい、と考えていた自分にとって、この考え方はまったくの予想外で、自分の腹筋の使い方を根底から変える必要があると感じました。

締めるといっても、いわゆる「固める」というわけではなく、呼吸の力でお腹を平らにするイメージです。具体的なやり方を以下に記述します。

① 仰向けに寝る 

② 吸って、内臓の位置を適切な場所に保つイメージで緊張させる。このとき胸よりお腹が一切前に出ないようにする(触りながらやるとわかりやすい)。吐いて、その形を崩さないままリラックス。

③ 呼吸を変える。吐いて、お腹を平らにさせる。吸って、リラックス。

④ お腹を平らな状態にしたまま、上半身、または脚を上げる。最初から一気に上げず、少しずつ動かす。徐々に平らなお腹を保ったままより高い位置に上げられるようにする

厳密にお腹を平らにしたまま上体起こしや足上げをやろうとすると、かなり難しいです。お腹が出てしまいがちなところで動きを止め、呼吸で平らにしていくイメージでスタティックをすると、短時間でもかなり効くエクササイズになると感じるので、練習していきたいですね。

このワークは内臓の位置を整え、身体全体の力を使い易くなるだけでなく、ストライクを受けた時の衝撃の逃がし方の練習にもなるとのこと。個人的にこのワークの前後でプッシュアップやスクワットをすると、身体全体の力を使い易い体感があります。

シンプルな腹筋ワークの裏にこれだけ豊かな身体の可能性が秘められているのはとても興味深いです。

今回も読んで頂き、ありがとうございました。

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