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考察 「なぜ先生は剣を何振りも作るのか?」(その2)

執筆:狛犬(狛犬&獅子)


「タケミカヅチ」に秘密があることを掴んだ私は、次に「言霊学」で読み解いてみた。 

三振りの剣の言霊学的運用

まず「横綱太刀」太刀は断つに通じる。今の世は「天津金木音図」の世界(言霊ウの世界)。
言霊学では、五十音図表は「母音・半母音・父韻・子音」に分けられる。
音図にはいくつも種類があり、それぞれ五十音の並びが違う。
音図には意味があり、その音図が今の世を反映している。
今の世は「天津金木音図」ウを中心とする世界。

言霊学を説明すると、母音「ア・イ・・エ・オ」には、それぞれ意味がある。

:感情
:意志(生命意志)
欲望
:知恵(実践叡智)
:記憶(経験知) 

その他に、

半母音:ワ・ヰ・ウ・ヱ・ヲ
父韻:カサタナハマヤラ
子音:それ以外の音
(注:詳しくは小笠原考次先生の「言霊百神」をご覧ください。)

その中で、今の世は言霊ウを中心とする欲望の世界。それが「天津金木の世界」。
この世界を「言霊エ」を中心とする叡智の世界、「天津太祝詞音図の世界」に移行させる。
物質世界から次なる世界への移行こそ次の目標である。そのためにこの剣を運用する。

まず「横綱太刀」太刀は刀(片刃)「天津金木音図」を断ち、バラバラにする。
そうして「八握剣」で「父韻・子音」を切る。「剣」は刀(片刃)とは違い、「両刃」、剣には2つの働きがあり「断つ」と「結ぶ(霊ひ)」ことができる。
⦅但し、この八握剣は「母音・半母音」があらわす「主体・客体」「アイウエオ・ワヰウヱヲ」には(十握剣ではなく八握剣のため)届かない。そのため、まず8父韻・32子音を断ち、並び替え、結ぶ。⦆

そして、「この剣には他にも不思議がある」と言ったのを覚えているだろうか?
この三振りの剣、すべて隕鉄でできているが「横綱太刀」と「八握剣」「十握剣(天沼矛・天尾羽張剣)」とでは違う隕鉄を使っている。
「八握剣・十握剣」の隕鉄は、高倉下が鎚打ちをした隕鉄である。

そしてこの剣。実は・・・自ら振動しているのである。

「八握剣」は、刀匠が剣の押し形(刀拓のようなもの)を採るときに、何度やってもブレてしまい、テープで止めて押形を採った。
そして、スチール撮影の時はピントが合わずテープで固定してから撮影した。
「十握剣」も同じく、刀匠が押形を採るときに何度やってもズレてしまい、何度も採り直したという。こんな経験は、後にも先にもこの二振りだけだと刀匠がおっしゃっていた。

私事だが、完成した「十握剣(天沼矛・天尾羽張剣)」を持たせて頂いた時のことである。剣の柄に目釘穴という穴が開いており、そこを触った瞬間、「振動している」と感じ思わず手を放してしまった。その時に「剣 自らが振動している」ことを私も確信した。

振動とは布留部「御意振動」である。新嘗祭の前夜、天皇の御衣を筥に入れ天皇の魂を復活させる儀式がある。
「ふるべゆらゆらとふるべ」と、モノの魂を活性化させるために振動させる。
振動にはそんな意味もある。

この剣「八握剣」は8父韻と子音を振動させ配置を変え、「カサタナハマヤラ」から「タカマハラナヤサ」へと「天津太祝詞音図」の配置に変える。
そして「十握剣」で主体・客体「アイウエオ・ワヰウヱヲ」を「アイエオウ・ワヰヱヲウ」に組み換え、「天津金木の世」から「天津太祝詞の世」へ組み換えて振動させ発動させる。
新しき世を「天沼矛」を使って「古事記」の国生みから禱り直すのである。
「その為のこの三振りの剣が必要だったのである」と私は考えた。

令和2年4月18日のこと、「天沼矛御神体祭」が甲府の祝殿で行われた。御神体としての最初で最後のお披露目だ。
やはりこの日も大雨が降った。祭祀が終わるころにはいつものように晴れ、雲間から斜光が差していた。その時の先生のお話で、開口一番、「この祭祀は天之御中主、水中主をお迎えする祭祀でありますから」・・・。

「天之御中主」今までの考察で一度も出てきていない神様である。
そして、「天之御中主」をお迎えする・・・「神」。また何とかしなくては・・・。

次回、無事「天之御中主神」を迎えられるのか?

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【狛犬(狛犬&獅子)プロフィール】
道人(どうじん)
 【狛犬】
大野靖志との出会いがきっかけとなり 七沢賢治と対面。その折「弟子にしてください!」と言う。
賢治先生は弟子は取っていなかったが、なんと言った者勝ちで「一番弟子となる。
その後、白川学館が立ち上がり一期生として入門。七沢研究所に参加。

【獅子】
狛犬の誘いを受け、大野靖志に逢う。その後、白川学館二期生として入門。一人で居ると必ず「狛犬は?」と聞かれるのが悩み。
元・番組制作会社勤務の腕を買われ、七沢研究所に参加。

現在:出家1号2号となる。肩書き「道人」

作品:「白川学館入門講義」「白川探訪」
   「横綱太刀物語」 他。

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