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大和言葉、すなわち『言霊』の力。 日本人としての目覚め〈前編〉

執筆:ラボラトリオ研究員 杉山 彰

麻尼(まに)を以(もつ)て構成された高天原(たかあまはら)の国の国語を「大和言葉」と云う。 

斯(か)くして黄泉国(よもつくに)の罪穢(つみけが)れをみずからの生命自覚の原理をもって禊祓(みそぎはらひ)することを得たことによって、その権威が証明された五十個の麻邇は、人間の魂(たましい)に大自然から附与された種智として、同時に大宇宙の事物の原素の精神的把握として、すなわち文明創造の能動体の中枢としてこれを運用し組み合わせて、宇宙の森羅万象の名を悉(ことごと)く的確に表現し、その名によって事物相互を有機的に関連せしめて、然(しか)もこの事が無限に可能であるところの「声字即実相(しょうじそくじっそう)、文字即涅槃(もじそくねはん)」の世界を実現する基礎となる。斯くの如き神の魂すなわち人の魂、神の言葉すなわち人の言葉、神すなわち言葉である麻邇を以て構成された高天原の国の国語を「大和言葉」と云う。神代の日本語がすなわちこれである。現在、我々日本人が日常使用している日本語の半分は、この神代ながらの原理によって創作された言語である。(出典:言霊百神) 

文部省学習指導要領にとらわれない小学校一年生のための国語教科書が、「にほんご」という題名で福音館書店から発刊された。言語を知識としてというよりも、自分と他人との関係をつくる行動の一つとしてとらえている。ことばの豊かさを、まるごととらえること。ことばは口先だけのものでも、文字づらだけのものでもなく、全身心をあげてかかわるものだということを、子供たちに感じてほしいと願ってつくられた教科書である。以下に、一部を引用する。

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出典/http://www.fukuinkan.co.jp/book/?id=387

ひとは ことばをつかって、 
じぶんの きもちを ほかの ひとに つたえる。

ひとは ことばの おかげで、
ほかの ひとの きもちを じぶんの きもちのように かんじる。

ことばは はじめ こえだけ だった。
くちで はなし、みみで きく ことばから、
てで かき、めで よむ もじが うまれた。

もじを つかうように なると、
かんがえを まとめやすく なり、
ひとは それを とおくの ひとに つたえたり、
いつまでも せいかくに のこして おいたり
できるように なった。

言葉は、やがて「敵」と「味方」を区別する道具になっていった。

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「驚くべき日本語」を著したロジャー・パルバースは、“世界には、なぜこれほどまでに多様な言語があるのだろうか。それは単純に、人類が世界中に分散していったからだと論じた。それぞれの集団は、自分たちは同じ仲間であるということと、他者とは違った集団であるということを裏付けるために、自分たち独自の言語を発展させながら、それぞれの状況に応じた言葉をつくりだしたという。人間は、言語を持つことで、より効率的に、社会における協力活動を促進する状態を創り出すことができるようになったのだという。

人間は、話すことによって、周辺にあるものごとを互いに伝達して共有し、社会生活において調和と安定を手に入れようとした。しかし人口が増加していくに従って、移住や分裂などが発生し、地域ごとに、集団ごとに様々なグループが生まれ、同時共時に集団ごとに新たな言葉が、いわば方言として次々に分化していった。言葉は、やがて「敵」と「味方」を区別する道具になっていった。言語を共通に理解できるものとしてではなく、「共通して、互いに理解できないもの」としてとらえてみると、そこには、人間が、新しい言葉を次々と発展させてきた理由が見えてくる。「同じ集団の人間」のように見える相手でも、ひとたび言葉を交わせば、誰でも、その人間が同じ集団の人間かどうかがわかるという。言語は、ある民族のアイデンティティを構築する道具として使われるようになった。私たちのアイデンティティは、「言葉」によって創られるのである”と述べている。

20世紀の世界言語は英語だった。それは、世界共通の言語としてコミュニケーションのツールに役立つ特徴を備えていたからである。しかし、今後は人工知能の発達によって、言語は次第に自動翻訳が可能な表現手段になってくることは明白である。世界に何千もの言語があることを考えると、個人が学習によってそれらの言語に精通することは不可能である。英語が世界の共通語になったのは、言語の習得に時間がかかることから、言わば消去法として選ばれたという事情があったにすぎない。人工知能が世界中の言語の自動翻訳を可能にする時代に、言語に求められる役割は、もはや世界の人々とのコミュニケーションではない。

新しい時代の言語の役割は、コミュニケーションのツールではなく理解や認識や思考のツールとしての役割である。しかし、ある言語が認識のツールとなるためには、その言語が母語として血肉化されている必要がある。こう考えると、日本語は、感受性と理解力と創造性を育てる言語として、将来の世界共通語になる可能性がある。

しかし、このことは、まだ日本人以外には、ほとんどの国の人が気づいていないと思う。また、日本人でさえ、このことに気づいているのはわずかでしかない。「日本人としての目覚め」として、日本語のすばらしさに日本人が自ら気づくことによって、世界の人たちが気づいていく、という連鎖状態を喚起する。私たち日本人が、ふだん何気なく使っている日本語には、そのような力、現実の出来事を引き起こす力が「言霊」として秘められている。(後編につづく) 

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【杉山 彰(すぎやま あきら)プロフィール】

◎立命館大学 産業社会学部卒
 1974年、(株)タイムにコピーライターとして入社。
 以後(株)タイムに10年間勤務した後、杉山彰事務所を主宰。
 1990年、株式会社 JCN研究所を設立
 1993年、株式会社CSK関連会社 
 日本レジホンシステムズ(ナレッジモデリング株式会社の前身)と
 マーケティング顧問契約を締結
 ※この時期に、七沢先生との知遇を得て、現在に至る。
 1995年、松下電器産業(株)開発本部・映像音響情報研究所の
 コンセプトメーカーとして顧問契約(技術支援業務契約)を締結。
 2010年、株式会社 JCN研究所を休眠、現在に至る。

◎〈作成論文&レポート〉
 ・「マトリックス・マネージメント」
 ・「オープンマインド・ヒューマン・ネットワーキング」
 ・「コンピュータの中の日本語」
 ・「新・遺伝的アルゴリズム論」
 ・「知識社会におけるヒューマンネットワーキング経営の在り方」
 ・「人間と夢」 等

◎〈開発システム〉
 ・コンピュータにおける日本語処理機能としての
  カナ漢字置換装置・JCN〈愛(ai)〉
 ・置換アルゴリズムの応用システム「TAO/TIME認証システム」
 ・TAO時計装置

◎〈出願特許〉
 ・「カナ漢字自動置換システム」
 ・「新・遺伝的アルゴリズムによる、漢字混じり文章生成装置」
 ・「アナログ計時とディジタル計時と絶対時間を同時共時に
   計測表示できるTAO時計装置」
 ・「音符システムを活用した、新・中間言語アルゴリズム」
 ・「時間軸をキーデータとする、システム辞書の生成方法」
 ・「利用履歴データをID化した、新・ファイル管理システム」等

◎〈取得特許〉
 「TAO時計装置」(米国特許)、
 「TAO・TIME認証システム」(国際特許) 等



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