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考察 「なぜ先生は剣を何振りも作るのか?」(その4)

執筆:狛犬(狛犬&獅子)


天沼矛は、「天之御中主神」を迎える剣とわかった私は、ついに137の謎に辿り着く。

137と神武東征の意味

刀の意味が分かったところで、今度はなぜ刃渡り137cm、なぜまたこの時期に「神武東征」ツアーを圀手會で行うのか?
実は九州鎮魂ツアーは4年前にも行われていた。「なぜ今、また行うのか?」と私は疑問に思っていた。そして137cmと、とてつもない長さの剣である。

先生は137cmについてこうおっしゃっていた。

・宇宙誕生から137億年。
・タケミカヅチを祭る茨城県の鹿島神宮の宝物館に全長271cm、日本最大の「布都御魂」という直刀がある。刀(片刃)なので半分に折れば剣(諸刃)になり137cm(厳密に言うと135.5cm)。冗談かもしれないがそんなことを言ってらした。
・微小最大係数としての137。

うむ・・・。
いや、でもきっと何か他の意味があるはずだ!
調べ始めたが、すぐに頭に浮かんだのが、乳酸菌L137のCM。そんな飲料があった。最近先生が菌がどうしたといっていたので間違いないと思ったが・・・。
乳酸菌L137は「なれ寿司から発見」と書いていたが、それ以上のつながりは発見できなかった。
まぁ137でイザナギ・イザナミではあるが、さすがにこれだけのはずがない。
こんなバカでかい剣(失礼しました)刀匠が苦心して作った初めての巨大な剣。
何かあるはずだ・・・!


古事記の中の137

色々調べてついに見つけた。なんと慣れ親しんだ「古事記」の中で、である。
古事記の中に137年生きた天皇がいるのである。しかも2人。
一人は神武天皇137歳まで生きた、神武東征を行った天皇である。
ここで私は確信した「間違いないと」この時期に九州鎮魂ツアーに行ったこととも符合する。
面白いことに、もうひとつの日本最古の歴史書「日本書紀」には神武天皇は、127歳で崩御と記されている。
もう一人の天皇も「日本書紀」では147歳(106歳という説もある。)で崩御と記されている。なぜ「古事記」はこの2人の天皇を137歳で崩御にしなければならなかったのだろう?

もう一人の天皇は、第12代景行天皇である。景行天皇も九州征伐をおこなっている。神武東征九州ツアーにつながっているのでこれも間違いないだろう。

そこで気になることが出てきた。景行天皇には歴史の中で最も有名な皇子がいる。
第3皇子「オウス」のちの名を「ヤマトタケル」。

「ヤマトタケル」は九州征伐・関東征伐の後、不運な死を遂げた皇子である。

この三振りの剣を作った意味はこの「ヤマトタケル」にたどり着くために作られたのではないだろうか?
そんな思いが私の頭に浮かんだ。

「ヤマトタケル」ことオウスは父景行天皇の名を受け、九州の大豪族クマソタケル兄弟を打った。その後イズモタケルも打ち取り、そうして東方12か国征伐も行った。この時に「ヤマトタケル」が持っていたのが叔母「倭姫」から譲り受けた天皇の象徴『三種の神器』の剣「草薙剣(天叢雲剣)」である。 

東国平定の後「ヤマトタケル」は、妻ミヤズヒメのもとで過ごしたあと「草薙剣」を置いたまま伊吹山の神退治に出かけ、その時に大粒の雹を受け病のまま崩御した。
その後、「草薙剣」は妻ミヤズヒメの手で熱田神宮に祭られた。

そこでもし「ヤマトタケル」が伊吹山で死なずに生きて天皇になっていたら・・・?

If  もしもヤマトタケルが天皇になっていたら

歴史に「もしも」はないというが、神道には「禱り直し」というのがある。「古事記」の世界を「禱り直し」するのが先生の本当の目的ではないだろうか?
少し大胆な発想かもしれないが、「天沼矛」を作った意味は、新しい世界「天津太祝詞音図」の世界「言霊エ」を中心とする知恵(実践英智)の世界の国生み。その為には「ヤマトタケルノミコト」「倭建命」、別の記し方は「日本武尊」、日本の国生みをはじめからやり直し、新しき世を作る。そのためにそこにつながる「失われた剣を作る」。

そうして「古事記」の世界を完成させる。そのためにどうしても剣が必要だったのではないだろうか。

「古事記」に登場する代表的な剣は、

・「天沼矛」:国生み・神生み
・「天尾羽張剣」:火の加具土命を切る
・「布都御魂」:国譲り・神武東征(鹿島神宮現存)
・「草薙剣」:八岐大蛇・ヤマトタケル西征東征(熱田神宮)

これらの剣があって初めて世界がかわる。もうひとつ「ヤマトタケル」が天皇になり、第14代「仲哀天皇」→ 第15代「応神天皇」そして、「稚野毛二派皇子」(ワカヌケフタマタ皇子)→「意富富杼王」(オホホド王)→「乎非王」(オヒ王)→「彦主人王」(ヒコウシ王)→第26代「継体天皇」から今上天皇へ。

武烈天皇で途切れてしまう天皇の血統ではなく、「日本武尊」から今上天皇へと途切れることなく続く世界へ。
今の「古事記」のままでは、妻のミヤズヒメのもとに「草薙剣」を置いたまま伊吹山の神退治に行って死んでしまい、「草薙剣」は熱田神宮に奉納されてしまう。三種の神器である「草薙剣」が天皇のもとに帰ってきていない状態である。

これでは今上天皇が剣を振るうことができない。今上天皇に剣を振るっていただくためにはもう一度「古事記」の世界を「禱り直し」、今上天皇まで血統をつなげる必要があるのである。

この思いが核心に変わったのが令和2年4月3日の九州鎮魂ツアーの時の先生のお話である。

「今回の九州ということを考えますと、しかも天之御中主神という神を、九州から開いていくということ、もちろん、明治の時に我々の先輩である、宮内忠正先生が、最終的には、この甲府の上帯那というところにある、脚気石神社までお出で頂いて、そして、天之御中主神の足跡を辿っていただいたということは、まさに、流れとしては、神武天皇の統制と、そして、日本武尊の統制というんですかね。
そして、白川での脚気石神社までの、そういう流れというものは、ひとつの何というんですかね、帯状のようにというんですかね、連鎖のように、これでもか、これでもかという形で、天之御中主神を検証する、あるいは、世界に御出になっていただくというかね。」

そして、こんなことも先生はおっしゃっていた。「甲府で圀手會のツアーも行いたいですね」と・・・。

甲府にはヤマトタケル縁の神社「日本武尊」を御祭神とする「酒折宮」(東征の帰り立ち寄って歌を詠まれた)や「脚気石稲荷神社」(足を痛めたヤマトタケルが天照大御神を祭ったところ痛みが治まった)がある。そこにあえて七沢賢治先生は、白川の「おみち」を行う場所「祝殿」を建立して「この地でずっと守り抜くことを誓われた」のである。

「ヤマトタケル」は没したのち白鳥(八尋白智鳥)になり北天に旅立ったという。
北天=妙見様=天之御中主神。ヤマトタケルは天之御中主神の元へ旅立ったのです。
そう、「智鳥」になって。

淡路島   通う千鳥の鳴く声に   幾夜目覚めむ須磨の関守  源兼昌

「ア」と「ワ」を行き来する十理(とり)になって。

次回、いよいよ完結。全ての謎が明かされる。
 

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【狛犬(狛犬&獅子)プロフィール】
道人(どうじん)
 【狛犬】
大野靖志との出会いがきっかけとなり 七沢賢治と対面。その折「弟子にしてください!」と言う。
賢治先生は弟子は取っていなかったが、なんと言った者勝ちで「一番弟子となる。
その後、白川学館が立ち上がり一期生として入門。七沢研究所に参加。

【獅子】
狛犬の誘いを受け、大野靖志に逢う。その後、白川学館二期生として入門。一人で居ると必ず「狛犬は?」と聞かれるのが悩み。
元・番組制作会社勤務の腕を買われ、七沢研究所に参加。

現在:出家1号2号となる。肩書き「道人」

作品:「白川学館入門講義」「白川探訪」
   「横綱太刀物語」 他。

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