見出し画像

フランス老人学:社会的格差と健康格差の笑えない相関関係

老人学の授業で印象的だった、学歴が高ければ高いほどEspérance de vie(平均余命)が長いという話。フランス国立遠隔教育センターの「老人学」、受講期間は終わったのですが、その中に「社会的格差がいかに健康格差を生んでいるか」というのがテーマの章があり、参考になるのでだいたいの内容を掲載しておきます。

大まかな内容としては健康格差の原因とみなされている社会的要素(収入、地理的、文化度、食べ物、依存や引きこもりなどの)を細かく分析しているのだけど、これがもうあらゆるデータをこれでもか!これでもか!という感じで、「貧乏+老人の不幸」を押し付けてくる。

例えば、食べ物を例にとると、

1. 普通の老人は現役時代より収入が減ることによって「社会的弱者」となる。食費が一番削りやすいので食費を抑える→栄養のバランスが悪くなる→栄養不足→様々な病気になる(体も心も)。栄養をたくさん含む新鮮な食物は往々にして高価であるため、金持ちより栄養摂取が悪くなる。(かつて労働者だった人たちの平均寿命と会社役員であった人たちとの平均寿命の差をデータとして見せつけられる。)ちなみに、フランスの貧困層独身高齢女性の一日の食費は3〜4€らしい。

2. 現役世代と比べると、肉体的に栄養の吸収が悪くなる、歯などの機能が衰えたり、近親者の死や病気、自分の死の問題などで鬱的になり食欲減退、肉体的にきつくなるので料理をしなくなる、重い荷物を下げて買い物から帰るなどというのが困難になるので、配送などに頼るしかなくなり新鮮な食べ物へのアクセスができづらくなる。→栄養のバランスが悪くなる。(1と同じ循環に陥る。)

暗い。とても暗い。そして、この暗〜い部分の一部が、お手伝いさんを雇ったりとお金を出すことによって軽減される可能性があるのが楽しくない。ならば、お金のない人は、人格を磨き、金銭を払わなくても新鮮な野菜をいただいたり、みんながワイワイお手伝いさんみたいに集まってくれる環境を作っておくことが大切である。

サポートしていただけるとウレシイでっす!