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バイオフィリックデザインが注目されるまでの 「四つの波」

「日常に公園のここちよさを。」をコンセプトに植物を用いた空間デザインを手がけるparkERs(パーカーズ)ですが、設立したのは約8年前。
当時の立ち上げ担当にその頃のことを聞くと、「今とは状況が全然違かった」といいます。当時は会社のブランディングとして、エントランスや来客エリアの緑化などクライアント向けの依頼がほとんどだったのが、その後はオフィス内の共有エリアやカフェエリアなど自社の従業員のために緑化を希望するケースが増え、ニーズが広がっていきました。

室内緑化のニーズが高まる中、クライアントの要望に大きな変化が現れたのは一昨年くらいからです。以前は「緑化したい」「植物(グリーン)を使って空間を作りたい」そんな依頼が多かったのですが、近年は「バイオフィリックデザインをお願いしたい」という依頼が多いのです。

植物を用いた空間デザインを独自に築いてきたわたしたちは、時代の流れとともに空間のあり方や植物に対する世の中の意識の「変化」を明らかに感じました。なぜ今バイオフィリックデザインが注目されるのか、紐解いていきたいと思います。

潮流をつくった「四つの波」とは

バイオフィリックデザインが注目された背景には4つの波があったと考えています。

一つ目の波は、いわゆるGAFA をはじめ海外のIT 企業がオフィスに自然とのつながりを求め始めたこと。世間的にはこのタイミングで「バイオフィリックデザイン」が注目を集め始めたように思います。

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Google本社

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Salesforce Park

二つ目の波は働き方改革。働き方改革以前は、エントランスの緑化など"対顧客"だったものが、"従業員への健康や幸福"に対するアプローチが増えるなど、経営者の意識に変化が現れはじめました。

三つ目の波はSDGs、ESG 投資といった社会的責任とお金の流れ(経済)が同期してきた時期、いわゆるグローバル企業からの問い合わせが急増したタイミングです。

そして、四つ目の波が新型コロナウイルス
2020 年に起きた世界的なこのパンデミックは1 年をかけ、すべての大陸を網羅しました。ヒトの移動が制限され、経済活動も停滞。今まで当たり前のようにできたことができなくなる一方で、家の滞在時間が伸び、花や植物を愛でる、窓から外を眺めるなど、普段は多忙に流されがちな事象に目や意識を向ける機会ができました。

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2020年5月に行われたアンケート調査では、「今『家で花を飾りたい』と感じている人が90%にのぼる」という結果も。

海外でもステイホームをきっかけにガーデニンググッズを購入する人が増えるなど、いかに人は本質的に自然との共生を求めているかが伺えました。

わかるようでわからない
バイオフィリックデザインの定義

IT 技術による文明の進化の一方で、高度文明社会ほど自然回帰を求める人が増えているとも感じます。そして「バイオフィリックデザイン」の定義や解釈、手法が曖昧な中で、わたしたちparkERsは、愚直に人と植物の共存共栄関係、ここちよい関係、公園の要素を追い求めてきただけなのですが、周りからは「parkERs(パーカーズ)はバイオフィリックデザインだ」と呼んでいただく機会が増えました。では、parkERsが考えるバイオフィリックデザインとは何か。

端的に言うと「人と地球を同調させること」だと考えています。

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夏は暑い、冬は寒い、雨なら濡れる、風を感じる、水は流れる(揺らぐ)、花は枯れる、植物は新芽を出す、木に木漏れ日が落ちる。この地球の自然現象と自分を同調させたときに、充足感、幸福感、満足感が得られるのではないでしょうか。

千葉大学の宮崎良文グランドフェローの研究によると、バラの花や観葉植物を見たときに副交感神経活動が平均14% 上昇することがわかっています(※ 1。これは活発になり過ぎた、つまり高ストレス状態の人間をリラックスさせるだけでなく、低活発状態、鬱状態の人間を活性させる効果があるといいます。つまり、人間を人間本来の状態へと調律する効果があるのです。

※1:H. Ikei, C. Song, Y. Miyazaki et al. J. Physiol. Anthropol. 33:6, 2014
H. Ikei, C. Song, Y. Miyazaki et al. Adv. Hort. Sci. 28:111-116, 2014
池井晴美、宋チョロン、宮崎良文ら 日本生理人類学会誌 18(3):97-103, 2013
小松実紗子、宋チョロン、宮崎良文ら 日本生理人類学会誌 18(1):1-7, 2013

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では、parkERsは一体何をデザインしているのか?それは上記にあげたような、自然の変化やそこから感じる自身の意識に気づかせること、そして行動変容を促すこと。例えばチューリップが一輪あるだけで、室内にいても春を感じさせる。ひまわりが一輪あるだけで夏を感じる。この小さな気づきを日常の中にデザインしているのです。

初見のお客さまから「parkERsは他の会社と何が違うか?」と聞かれたとき、「人と植物の距離をデザインすることに長けている」と答えることがあります。単に植物を入れたらいいというものではありません。想いやストーリーを紡いで変化や愛を届けたら、それは受け手側に伝わるのではないでしょうか。

「ここちよさ」は極めて属人的です。それをparkERsは追い求めています。千差万別ある感覚ですが、人類共通の「ここちよさ」があるとわたしたちは考えています。
人種、国籍、宗教を越えて話題にできるものは、天気と植物くらいではないでしょうか。「今日はいい天気ですね」「このお花綺麗ですね」は誰も傷つけません。

日常に公園のここちよさを。

街の中で周りを見渡すと、わたしたちは「直線」に囲まれていることに気づきます。室内、建物、街。ですが自然の世界には直線はありません。植物も雨も雲も、自然な美しい曲線で形づくられています。

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人が本来過ごしてきた自然と共存する暮らしを都市生活者にも届け、わたしたちが日常の中で植物や自然現象のここちよさを感じられる体験を届けることができたら、日常はもっと豊かになる。わたしたちはそう信じています。

「自然と共生する感覚を全人類が持ち合わせていたら戦争はなくなるかもしれない」

これはparkERsのブランドマネージャー・梅澤がよく話していることなのですが、大げさにも感じられるかもしれません。しかし、これを裏付けるようにステイホーム期間中に公園に出て一周散歩するだけで気持ちが軽くなった、もやもやした感情がガーデニングをきっかけで癒されたなど、このストレスの多いコロナ禍で少なからず植物や自然が人に与える影響を感じた人は多かったのではないでしょうか?

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植物を用いて"人の感覚を呼び覚ます"空間デザインを行なうparkERsは、誰もが思い思いに自分の時間を過ごせて、帰るときには笑顔で帰っていく、そんな場所である「公園」を軸に、これからも「日常に公園のここちよさを。」をお届けしてまいります。


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