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【遠藤奮戦記】植物愛が高まり過ぎて、実際に海外に見に行っちゃった話②

こんにちは!parkERsグリーンライフ室の遠藤です!
今回は遠藤奮戦記の第4弾として、「人生初、実際に熱帯雨林に植物を見に行こう」をお届けしたいと思います!

遠藤奮戦記とは...
parkERsグリーンライフ室所属、“自宅にも植物、職場でも植物、有給取得の目的も植物、ときどきジャグリング”こと遠藤寿紀による社内向けメールマガジン。2019年4月についに社外に向けて発信された“note版遠藤奮戦記”は、数あるnote記事の中でも人気を誇る。

今回はvol.3でお届けした「植物愛が高まり過ぎて、実際に海外に見に行っちゃった話①」の後編。まだ全編を読んでいない方は下記リンクから読んでみてください。

ぐっすり眠り、最高の目覚めの2日目


成田空港から約5時間かけて向かったフィリピンのルソン島。そんな初めての土地で、人生で初めての熱帯雨林で現地の環境や植物の姿を目の当たりにした1日目。
あまりの興奮と感動、そして疲労から気を失ったように眠りにつきました。

実はその夜、この地域はとんでもない暴風雨に見舞われていたそう…なのです。

いつ屋根が吹き飛んでもおかしくないような暴風雨だったのにもかかわらず、疲労で泥のように眠っていたので全く気付いていませんでした…
一緒に行った人からは「あの暴風雨で起きないなんて…」と驚かれました笑

そんなこんなで2日目の朝は、その暴風雨が去ってくれたおかげもあり青空のスタート!
標高が高く涼しい場所で、太陽の光と鳥の声に起こしてもらう最高の目覚め。さっそく山に向かいます。

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宿を出た瞬間から、いいことがありそう!

宿から出た瞬間、紫色に輝く何かが目の前を通り過ぎました。
思わず目を向けると、日本のタテハチョウくらいの大きさの黒っぽい蝶が…!

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(日本の八重山諸島で見られるヤエヤマムラサキに似ているような…)

外側は黒いのですが、羽を開くとキラキラと輝く紫色をした美しい蝶。
内側の写真が撮れず残念ながらお伝えできませんが、とても綺麗でした。
今日もいいことありそう!

熱帯雨林とかけ離れた風景が続く


2日目に向かったのは、前日に入った山の隣の山。
隣の山だったら生えてるものはそんなに変わらないんじゃ…?
そんな風に思っていた自分がいかに愚かだったか…。

この後、山の奥深さを実際に体感することを自分はまだ知りません。

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到着したのは1日目と同じような熱帯雨林とかけ離れた風景
進むにつれ、生えている植物の様相が変化していくのかと期待したのですが、1時間以上歩いても、ただただ同じような場所が続きます。

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標高が高いといっても日が昇れば気温34℃。かなりハードです。

熱帯雨林は突然に…

植生の切り替わる境目は突然に現れました!
山頂からすこし下ったあたりでいきなり崖が出現。そこで一同の足は止まります。

崖の下にある木の先にはディスキディアが群生。

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木に張り付いているものがすべてディスキディア

ボコボコしている部分は葉っぱ。日本で購入できるものは上から垂らして育てられるので、このように木に密集して張り付く姿を見る機会は少ないです。

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木の中央に、デンドロビウム

しかも、木の中央あたりには遠くからでもわかるくらい存在感のあるデンドロビウム。市販されているデンドロビウムは大きいものでも30cm程度ですが、この株は60cmくらいあるんじゃないかというほど巨大です。

また、形状も珍しく、通常は栄養を溜め込む部分である「バルブ」から葉が生えていますが、この種類は、「バルブ」の先から茎のようなものが生え、そこに葉がついています。

これを見た瞬間、さっきまでのちょっとした不安感や疲労は自分の中から吹き飛びました。
「これは何かある…」この環境を写真に収めた後、どんどん山奥に足を進めます。

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熱帯雨林の様相。苔生した木に着生シダや小型ランが見られる。

そこからは一気に熱帯雨林の様相。湿度が溜まりやすい環境なのか、木にはどんどん苔生した部分が増えていきます。
それに付随するように着生シダや小型ランなどが目に付くように。日本の森林ではなかなか見ることのできない光景が続きます。さらに足を進めます。

鬱蒼とした森で目的の植物に遭遇!

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その先には鬱蒼とした森が広がっていました。まさに密林。ここからは道なき道を進みます。急斜面を上ること30分、そこにあった1本の大木に、この旅の目的でもあった、ある植物に出会います。

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急斜面を登り切ったあたりで1人が声を上げます。「あれはいい株だ…」
何か見つけたのか…期待に登るスピードも上がります。

自分の視界に飛び込んできたのは、木の幹につく、大きなこぶ、そこからヒョロっと伸びた茎、先端の方につく楕円形の葉。アリノトリデです。

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アリノトリデ

この植物、名前にあるように蟻と共生する植物です。こぶのようになった場所の内部には成長する過程でいくつもの空間が作られ、表面に空いた穴から蟻が入って内部に巣を作ります。

もともと樹上では地面と違って栄養が取りにくいため、蟻を住まわせることで、アリが運んできた食物や排泄物を摂取することで栄養をとって生育します。蟻は宿を提供してもらい、アリノトリデは襲われたら蟻が防衛してくれる。そんな変わった関係性をもった変わった植物で、このような関係を持った植物をアリ植物と呼んでいます。
しかもこれ、かなり大きい!この地域では珍しいサイズだそうです。

そしてよく見るとアリと共生する植物をもう一種類、発見!

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アリノスダマ

アリノスダマです。こぶ部分から複数の茎が生えていますが、こぶの部分はアリノトリデと同様空洞があり、そこに蟻を住まわせるアリ植物です。こちらもかなりの大きさ…

興奮のあまり樹上にばかり目が行ってしまっていることに気づいたのは間もなくのことでした。

上に気を取られ過ぎて、植物のツルに足を取られ盛大にコケました笑
しかも斜度30度。3mほどずり落ちました。
そのときはあまり考えてませんでしたが、これが転がってしまっていたらと思うと…ぞっとします。

アドレナリンが出ているとはいえさすがに焦り、冷や汗をかきながら泥まみれになった体を起こした瞬間。目の前にあったのが、アグラオネマ

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アグラオネマとスキンダプサス

最近有名な色鮮やかなピクタムではないですが、葉に若干色の濃淡が出ています。
これも列記としたアグラオネマ!

しかも下には日本でも観葉植物として流通のあるスキンダプサス

スキンダプサスは日本では鉢植えで葉が詰まった状態で流通してますが、現地ではツルはかなり伸びて葉と葉の間はかなり広く空いていて、木に絡まるというよりは地面を縦横無尽に這うように生育するようです。この差はなんなのか…面白い!

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奇妙に凹凸のある葉をもつ見たことない植物とセラギネラ

辺りを見回すと奇妙に凹凸のある葉をもつ見たことない植物が生えていたり、周辺にはシダの葉のような大きなセラギネラも…

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青光りしているタキミシダ

苔にびっしりと覆われた幹には多湿環境でないと出会えないタキミシダもあり、奥の方からはショウガの仲間の花も咲いていて甘い香りが漂ってきます。
他にも紹介しきれないほど多くの植物が辺り一面に生えていました。

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山ひとつ変われば…

1日目の山とは違った植物にこんなにも多く出会えるとは思っていなかったため、引き続き、いやそれ以上の興奮と感動でした。
植生の多様さに、この山に入る前に思っていたことを恥ずかしいと感じたのは言うまでもありません。

山が1つ変わればここまで劇的に生える植物も変わるということを学んだ貴重な機会でした。
それと同時に、周囲には沢山の山があり、入った場所によって異なる植物に出会えると思うと、そこに入った人しか感じられない感動があるに違いない!
ますます山の魅力に取りつかれてしまいました!

この日も山を全力で走り、ご紹介したくてもしきれないほど様々な植物に出会いフィールドワーク最終日を終え、帰国しました。

人生初の熱帯雨林へ行ってみて

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正直、熱帯雨林の山に入ることがこれほどまでに感動することだとは思ってもみませんでした。
今まで写真や映像でしか見たことのない環境が目の前に広がっていて、そこは魅力的な植物たちの宝庫。この先ではどんな植物に会えるだろう。この植物に会ってみたい。そんな気持ちで1日1日が非常に充実していました。

小学生の時から日本では見られない植物を育てる魅力にハマってから少なからず「海外」に興味はありましたが、英語もろくにしゃべれない自分が海外に行く。ましてや観光ではなく、山に入るなんて大学までの自分だったら考えもしなかったと思います。

ですが、色んな方々にご協力いただきながら、社会人になって実際に足を運び、現地で生の植物の姿を見たときに、育てているものとは一味も二味も違う魅力があることを体感しました。
そこで育っている独特な姿、周囲に生えている植物、共生する生き物、そして環境。それぞれに魅力があり、もっといろんな地域・国に行ってみたいと感じざるを得ませんでした。

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しかし、楽しい事ばかりではありません。今回行ったところは、フィリピンの中でも山奥の地方。シャワーも無ければ温かいお風呂もない。滝行かと思うほどの冷水で体を洗ったります。いたるところにムカデやムシはいるし…食べ物も基本美味しくいただけますが、なかにはとんだゲテモノが入っていることも…
自分も今回洗礼を受け、しっかりとトラウマを刻み付けられました笑

自分はそれを含めても圧倒的に楽しい、また行きたいが勝ってしまう…
見事に山の魅力に取りつかれてしまった遠藤です。

今はまだサポートしていただきながら山に入っていますが、これから知識を蓄えて山の魅力をみなさまによりガッツリお伝えできるよう精進していきます。
次号はどこを旅するのか。乞うご期待!

この記事を書いた人

parkERs グリーンライフ室 遠藤寿紀

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農学系の大学・大学院で学び、植物の知識・栽培技術の理解を深めていく。
趣味は、自作で作ったビニールハウスで洋ランなどの栽培とフットサル。
最近は海外に旅に出て植物の自生地を巡っています。