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【 ZINE REVIEW 】 COLLECTIVE エントリー ⑯ MIZOZINE 『MIZOZINE 緊急特別編集 おうちで、できること。』(東京都北区)

COLLECTIVE に限らず、ZINE に共通する作業の1つに(避けて通れない作業の1つに)『編集』という作業があります。ZINE のテーマを決めて、仕様(どのくらいのサイズで何ページにするかなど)を決めて、構成を決めなくてはいけません。構成は、どういう順番で何を見せていこうかなと考える作業です(これが楽しい)。写真だけが掲載された ZINE でも、ホリエモンのことだけが書かれた ZINE でも、ZINE を作る際にみんなが(無意識のひともいるけれど)やってるのが『編集』です。

よりいいと思えるものを選ぶ力、伝えたいことを伝える力、違和感を感じる力、完成を想像して、ゴールまで運んでいく力など、自己問答でもチームでの話し合いでも編集によって養われるこの力は、ZINE づくりではなく、様々な場面できっと役にたつと、ぼくは信じています。自分の暮らしを少しだけよくしたいと思った時、まるで編集者のような気分で、完成像をイメージして、テーマに沿ってものを選んだりするとか、仕事で、クライアントに、大事なことを説明しないといけない時なんかも編集する力は必要になってきます。企画書なんて、編集力の賜物ですからね。

SNS の影響もあって、『一億総編集者』と言われる時代(どこがよ)。売れた企画をベンチマークにするような保守的な編集者が多い中、『編集』をするということにもっと自覚と自信を持った人が、政治やカルチャーを煽動していってくれれば、日本ってもう少しよくなるのではないでしょうか。言い過ぎですかね。少なくとも、今日紹介する ZINE のような、若き編集者が増えると、きっとまだまだ楽しいだろうな。

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今しかできないことを、やろう

リモートが生み出した1冊の ZINE

東京からエントリーの MIZO ZINE による『MIZOZINE 緊急特別編集〜おうちで、できること。〜』は、新型コロナウイルスで自粛せざるをえないこの時期に、何かできることはないかと全リモートで作り上げた一冊のフリーマガジン(今回はステッカーをつけて3円で販売しております)。現役の大学生とは思えない編集・デザインのクオリティで過去3冊発行。2017年より発足。大学ではメディア系の学部にいる(本人談)とはいえ、このクオリティの小冊子を学生が作ってしまえる時代かと、遠い目。そして世代を感じさせない血の通っている ZINE だと思った。なんというんだろう、協力者への敬意というか、編集長の溝手君(溝手の溝で MIZO ZINE)が、本当に好きな人たちに寄稿を依頼したのだろうなと思う。

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それにしてもリモートで(編集者が部屋から出ることなく)作り上げたとは思えない。とにかくコンテンツを増やしたいというマガジンにありがちなんだけれど、寄稿だけで成り立たせようとすると、どうしてもトーンがバラバラに、雑多になってしまいがちなんだけれど、そこをうまくまとめあげている。『好き』と『敬意』がトーンを揃えてるのかな。巻頭特集のカメラマンだけ現場の稼働があったというが、そのジャッジはすばらしい。信頼している写真家に依頼して、現場に行かなくても大丈夫なようにしてる。この段階で『写真のクオリティが大事』だということを認識してるのもすごい。おかげで表紙がものすごくいい。完成をイメージする力と、選ぶ力、ゴールまで持っていく力など、どれも圧倒的に長けているとも言えるし、好きに対して従順でいれば、こういう ZINE が生まれる時代なのかもしれないとも思った。ツールやサービスに恵まれているから。

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もしぼくが学生だった頃、こういう ZINE を作って発信してる同級生が近くにいたら嫉妬したろうな、刺激になったろうな。きっとぼくもやってみようと思ったと思う。

「今しかできないことを、やろう」というメッセージが刺さる。

リモートだろうがなんだろうがぼくらはアクション起こせるのだ。

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レビュー by 加藤 淳也(PARK GALLERY)


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作家名:MIZOZINE(東京都北区)
MIZOZINEは2017年から東京に拠点を置き、活動しているフリーマガジンです。過去全3作あり、4作品目の緊急特別編集『おうちで、できること。』ではコロナウイルス感染症で活動ができない期間に今しかできないことを詰め込んだ一冊になっています。
https://instagram.com/mizozine.gram
【 街の魅力 】
下町で静かな街並み
【 街のオススメ 】
喫茶店 ダンボ(赤羽)... コーヒーが180円で飲めるから。
https://tabelog.com/tokyo/A1323/A132305/13059880




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