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3−2:われわれの事業は何か

「会社=●●」という定義を決めることで、会社全体として一体感ある考え方を構築することができます。では、その定義をどう決めていけば良いのでしょうか。

ドラッカー先生の『マネジメント』から考えていこうと思います。

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自らの事業は何かを知ることほど、簡単でわかりきったことはないと思われるかもしれない。(中略)しかし実際には、「われわれの事業は何か」との問いは、ほとんどの場合、答えることが難しい問題である。

「あなたが働いている会社の事業は何でしょうか。」

鉄道会社の事業は、貨物と乗客を運ぶこと。
保険会社の事業は、火事のリスクヘッジをすること。
銀行の事業は、金を貸すこと。
と言う答えが浮かぶかもしれません。簡単ですね。

でも、これは間違っているとドラッカー先生は言います。

わかりきった答えが正しいことはほとんどない。「われわれの事業は何か」を問うことこそ、トップマネジメントの責任である。

わかりきった答えが正しいなんてことはほとんどあり得ないのです。
さらに、ドラッカー先生はこの「事業とは何か」と言う質問の重要性を強調します。

企業の目的としての事業が十分に検討されていないことが、企業の挫折や失敗の最大の要因である。逆に成功を収めている企業の成功は、「われわれの事業は何か」を問い、その問いに対する答えを考え、明確にすることによって収められている。

「事業とは何か」という問いに対して、十分に検討することもなく、浅はかな回答をしてしまった場合、その企業は挫折や失敗を経験してしまうでしょう。

つまり、「鉄道=貨物と乗客を運ぶ」「保険=火事のリスクヘッジをする」「銀行=お金を貸す」なんて浅はかな回答をしてしまうなら、それらの企業は潰れるだろうと言うのです。怖い。。

でも安心してください。

「事業とは何か」という問いに対して、正しく明確な回答を持つことができれば、その企業は成功するとも言っています。

そんな企業の命運をも握る「事業とは何か」という問いに対して、どう考えていけば良いのでしょうか。

企業の目的と使命を定義するとき、出発点は一つしかない。顧客である。顧客によって事業は定義される。

答えは顧客です。
顧客起点から企業の目的と使命を考えれば良いのです。

でも、なぜ顧客なのでしょうか?

事業は、社名や定款や設立趣意書によってではなく、顧客が財やサービスを購入することにより満足させようとする欲求によって定義される。顧客を満足させることこそ、企業の使命であり、目的である。したがって、「われわれの事業は何か」との問いは、企業を外部すなわち顧客と市場の観点からみて、初めて答えることができる。

なぜなら、顧客の欲求を満たすために企業は生まれたからです。

企業は顧客の欲求を満たすためのものであるから、企業の事業も顧客から考えれば良いのです。

さらに顧客視点から考えることは企業にとってもメリットがあります。

顧客にとっての関心は、彼らにとっての価値、欲求、現実である。

顧客は(良い意味で)とても正直です。

価値あると思うもの、欲しいと思うもの、値段が高いか安いか、自分がお金を払って購入する物やサービスであるからこそ、極めてシビアな目で企業を判断しています。

この事実からしても、「われわれの事業は何か」との問いに答えるには、顧客からスタートしなければならない。すなわち顧客の価値、欲求、期待、現実、状況、行動からスタートしなければならない。

だからこそ、顧客視点に立つべきなのです。

企業が独りよがりに「われわれの事業は何だろうか」と考えるより、「顧客視点でわれわれの事業は何だろうか」と考える方がより生産的ですよね。

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ドラッカー先生の『マネジメント』を読むと、「顧客」という言葉が繰り返されています。

マネジメントは顧客の欲求を考えること。
イノベーションは顧客の欲求を満たすために変化を生む行動を取ること。
利益は顧客の欲求を満たした成果として得られるもの。

そして、企業の事業もまた顧客の立場から考えることが大切なのですね。

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