3−8:われわれの事業のうち何を捨てるか
ドラッカー先生はコンサルティング先の経営者に対して、頻繁にある質問を投げかけていました。
「ここ半年であえてやめたことはありますか」
一度始めてしまった事業はなかなかやめられません。特に企業は一度顧客がついてしまった仕事をやめることはハードルが高いですよね。
でも、ドラッカー先生はあえて「捨てる意識を持つ」ことを重視しています。
ドラッカー先生の考えを読み解いていきます。
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新しい事業の開始の決定と同じように重要なこととして、企業の使命に合わなくなり、顧客に満足を与えなくなり、業績に貢献しなくなったものの体系的な廃棄がある。
新しく事業を始めることは大事です。
でも、それと同じぐらい古い事業を廃棄することは大事です。
「われわれの事業は何か、何になるか、何であるべきか」を決定するうえで不可欠のステップとなるものが、既存の製品、サービス、工程、市場、最終用途、流通チャネルの分析である。
自分たちの会社の事業とは何か?
市場の変化によってそれがどう変化するのか?
また、顧客の欲求を満たすためにどう変わっていくべきなのか?
まずは現状分析をしていきます。
「それらのものは、今日も有効か、明日も有効か」「今日顧客に価値を与えているか、明日も顧客に価値を与えるか」「今日の人口、市場、技術、経済の実態に合っているか。合っていないならば、いかにして廃棄するか、あるいは少なくとも、いかにしてそれらに資源や努力を投ずることを中止するか」
顧客の需要と企業の供給のバランスを考えてみる。
供給過剰になっているものについては抑えるべきです。
例えば、ユニクロの日本国内店舗数をみてみます。2015年841店舗でしたが、2017年817店舗と減少させています。
国内にユニクロの顧客が飽和状態にあったこと、オンラインで購入する顧客が増加していること、ユニクロは市場構造を考慮した上で意図的に店舗数を削減させているのです。
この問いを体系的かつ真剣に問わないかぎり、またこれらの問いに対する答えに従って行動しないかぎり、「われわれの事業は何か。何になるか。何であるべきか」との問いに対しての最善の定義を下したとしても、単に立派な手続きを経たにすぎない。
重要なのは行動です。
ただ分析をしただけで満足していても意味がありません。十分に分析をした上で行動を起こすことに意味があるのです。
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IBMはかつてコンピュータの王者でした。しかしハードの製造が競争力がないことに気づくと、すぐにハードに関する部門を切り離してソフトウェアとコンサル事業に特化し始めました。
古きを捨て新しきを手に入れる。
イノベーションといえば、何かと新しい取り組みのことだと考えられがちです。しかし、イノベーションを根幹から支えているのは、この廃棄への意識です。
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