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2−1:企業=営利組織ではない

社会人になる前、大人になれば会社の金儲けのために働かないといけないと思っていました。でも実際に働き出してみると、金儲けを意識することはほとんど滅多にありません。職場と顧客に恵まれており、「お客さんの要望にいかに応えられるか」ということだけをいつも意識して働くことができています。

ドラッカー先生の『マネジメント』にも「企業=営利組織ではない」とはっきりと明言しているのをみて、私の働き方の感覚は正しかったのだと確信できました。

そもそも企業とは利益を追求する組織ではありません。

◆「企業=営利組織ではない」

企業とは何かと聞けば、ほとんどの人が営利組織と答える。経済学者もそう答える。だがこの答えは、まちがっているだけでなく的はずれである。経済学は利益を云々するが、目的としての利益とは、「安く買って高く売る」との昔からの言葉を難しく言いなおしたにすぎない。それは企業のいかなる活動も説明しない。活動のあり方についても説明しない。

もし誰かに「企業って何ですか」と尋ねたら、彼は「金儲けをする組織」と答えるかもしれません。でもこれは大きな間違いなんです。経済学者は「利益を得るのが組織である」なんて言いますが、そこには企業がどんな活動をしているのかという説明が足りていませんよね。企業とは利益を追求するだけの組織ではないんです。

利益は、個々の企業にとっても、社会にとっても必要である。しかしそれは企業や企業活動にとって、目的ではなく条件である。

利益を無視しろと言っている訳ではありません。でも利益はあくまで条件なんです。企業が継続して活動していくためには利益が必要という意味で条件なんです。利益は目的ではないんですよ。

では、なぜ多くの人が「企業は利益を求める組織」という勘違いをしてしまうのでしょうか。

この混乱の原因は、利潤動機なる動機によって人の行動を説明できるとする考えにある。だが利潤動機なるものは存在するかさえ疑わしい。それは古典派経済学者が、彼らの静的均衡理論では説明できない経済の現実を説明するために考え出したものである。その存在を証明するものではない。

(利益を求めて行動する)利潤動機が生み出された理由を見ればわかります。利潤動機は経済学者たちが経済を説明するために生み出し言葉です。つまり、説明のための言葉でしかないんです。言葉だけが一人歩きしてしまって私たちが勘違いしてしまっているだけなんです。

さらにこの利潤動機は害を及ぼしているんです。

利潤動機なるものは、的はずれであるだけでなく害を与えている。この観念のゆえに、利益の本質に対する誤解と、利益に対する根深い敵意が生じている。この誤解と敵意こそ、現代社会におけるもっとも危険な病原菌である。

企業は利潤のために活動しているという考えが広まることによって、世の中の社長は金儲けのために働いているなんて誤解が生まれたりするんです。本当に迷惑な話な訳です。金儲け=悪なんていうのは大間違いな訳です。利益への理解を深めることでその誤解が解けるはず。

そのうえこの観念のゆえに、企業の本質、機能、目的に対する誤解に基づく公共政策の最悪の過ちがもたらされている。利益と社会貢献は矛盾するとの通念さえ生まれている。しかし企業は、高い利益をあげて、初めて社会貢献を果たすことができる。

経済学者ケインズは「土を掘ってそれを埋める仕事」でも社会は回るとことを言いました。これは極端な話ですが、でもケインズがそう考えたのは「企業が利潤動機によって動く」という誤解に基づくものです。

本来は利益と社会貢献は関連するものなんです。例えばユニクロが高い利益を出すことで、世の中には良質な服が手軽に手に入るようになりましたよね。JRが高い利益を出すことで私たちは日本中をこれまでにない速さで移動することができますよね。企業が利益を得ることで私たちの社会はより豊かなものになるのです。

◆今日のポイント
・利益は目的ではなくて条件
・企業は営利組織ではない

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